side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

笑えシャイロック 中山七里

2020年02月16日 | 書籍・雑誌
*****ご注意 一部ネタバレを含む可能性があります *****


不良債権の回収担当となった結城の上司は回収不可能とされた案件を次々と解決していた伝説の債権回収マンの山賀
その山賀が刺殺体で発見され、山賀の後任として結城は残る案件にとりかかることになる。

丁度銀行は合併交渉を控えていて不良債権は是非とも減らしておきたいところ。

新興宗教やフロント企業など身の危険を顧みず、奮闘する結城

読んでいて、そうだよなぁと思ったこと。

問題を公にしたくないことでその場凌ぎの対応で先送りし、自分が担当の時は静かにしていればいずれ異動となる、、、という銀行員の事なかれ主義がバブル崩壊後やリーマンショック後の不良債権問題を大きくしてしまったと山賀が語っていた。

宗教法人への回収では、幸せの定義はそれぞれの信じるもので違うとの考えで結城は教祖のCD販売を提案する。
傍からみれば信者から財産を絞りとる提案だが、信者は生活が貧しくなってもCD購入が幸せと考えるとの下り

ストーリーは債権回収事案と並行して山賀殺しの犯人を追っていき、最後に犯人がわかるのだが、今回はどんでん返しというほどではなかったかな。
個人的には 自分が転職先で優位に評価されたいからと、数年に亘って不良債権を仕込んでいた(=問題融資を積極的に行っていた)という犯人の発想とその犯人を厚遇で迎え入れる転職先が現実離れしているようであり、現実は小説より奇なりというなぁと思ったり。

初出 文芸カドカワ 2016年10月号~2017年7月号
装画 神田ゆみこ 装幀 高柳雅人


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