来週から家族が一時帰国。今週は子供の夏休みの宿題の手伝いに追われる羽目に。息子は自分で勉強をする姿勢が全く身についていない。親というものは苦労する生き物なのか。
by smmysmmysmmy on Twitter
アメリカ留学中の医局の4学年上の先輩から、連絡するようにとのお達しがあった。大学院生時代に大変お世話になった5学年上の先輩がアメリカにこられており、さらに、つい先日スカイプをされるようになったので連絡するようにとの連絡。
この先輩の留学と自分の留学が入れ違いになってしまい、年に数回のメールだけのやりとりでもう5年以上もお会いしていない。ご存じの通り、スカイプなら相手の顔を見ながら、しかも原則無料で会話ができる。その先輩の顔を5年ぶりに見ることができた。
やはりメールでのやりとりとは異なり、久しぶりの再会といった気分が味わえたことは大きい。大学院時代にみんなで朝から夜中まで長時間働き続けた事が懐かしい。いま思うと、効率など無縁の時間的「自由」がそこにはあった。週に一回の外病院への外来と当直以外は、自由に時間が使えたあのころは二度と戻っては来ないだろう。会話中に、もう一人の先輩が午前2時30分!に仕事から帰宅され、スカイプでの会話に合流され、三人でも話をすることができた。気がつけば二時間近く話し込んでしまうほど、時間の経過を忘れてしまうぐらい楽しいひとときだった。
インターネットと電話機能が組み合わさることで、一体どれだけ多くの人々が遠く離れた人とすばらしいコミュニケーションをとれるようになったのか。スカイプは、先の東日本の大震災の際には、緊急連絡の場を提供するという目的で海外と日本との通話を無料で提供していた。人々の日常生活を便利にする、すばらしいビジネスである。元来、単純な私は素直に感激した。
近頃、日本からお客さんがつづく。皆さん、アメリカを訪問して気持ちが高まるのか、いつも話題にのぼるのは、医学界のみならず日本という国自体がが将来凋落していくであろうことと、日米の医学教育の違いである。
「最近の日本の医者は研究に関心がないし、海外留学をしようとしない。最近多いのは、奥さんが嫌だからという理由で断る奴が多い。」(お約束通り、一同ここで爆笑)私は同僚の複数の人間が、奥さんの意思で留学を断念しているので、笑うに笑えなかったのだが。少なくとも三重県の女性だけが留学を拒むのではなさそうである。(笑)
その中で、50代の未だ熱いハートの先生の独演会がはじまった。
「別に医者の全員が研究をしたり留学をする必要なんてないよ。せいぜい5%もいれば十分じゃない。」
「医学教育で、研究をしたり、留学をするように仕向ける必要なんてないと思うよ。」
「要は、あんな医者になりたいと思わせるだけの成功体験を若い世代に見せる事が大事じゃないのかな。」
特許申請の是非についても熱い議論が繰り広げられる。
天下のKO大学医学部卒の某有名研究所のお偉い先生が、
「我々が今行っている治療は、先人たちが残してくれた研究の遺産を享受しているのだから、我々の世代も社会に還元できることを目指さないと行けない。だから、研究者が将来のがんの治療ターゲットとなる物質を発見しても、特許で囲い込むのは社会の利益に反するのではないか。」という崇高かつ純粋な疑問を呈される。未熟者の私には心が洗われるお話であった。
それに対して、某製薬企業の開発の方が、薬剤開発と特許の関係について理論的に語られ非常にためになった。
それにしても、よくわからなかったのは、「日本の薬価はアメリカのそれの75%が上限という不文律がある。」思わず吹き出してしまった。その数字の根拠が一同誰もわからない。以前の日本の抗生剤や抗がん剤の承認投与量がなぜだかわからないが、アメリカのそれの75-80%程度(物によっては半分以下)に加減されているという笑うに笑えない話も思い出してしまった。
私たちの国では、今もってアメリカよりも上をいっていけないのだろうか。
数字とはよくわからないものである。
アメリカに多い70-75%オフというセールについ釣られてしまう我々夫婦ももっと理論的にならないと行けないのかも知れない。(苦笑)