こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

ピアノと薔薇の日々。ー【あとがき】ー

2021年06月18日 | ピアノと薔薇の日々。

(わたしの中で、マキの原型イメージにはどこか「エースをねらえ!」のひろみちゃんがあったような気がします^^;)

 

 

 さて、あとがき。です

 

 といっても、書きたいことは大体小説の中で書いてしまったんですけど……なので、なんとなくだらだら物語の周辺にあることについてでも、何か書いてみようかなと思ったり(^^;)

 

 実はこの小説、元は別に書いた短編小説が下敷きになってて、酔っ払ったゲイの男とうっかり寝てしまう、そしてその後妊娠してしまい、結婚することになるものの……まあ、なんというか「俺はゲイだから、そういう夫婦生活はないと思ってくれ」婚というのでしょうか(一体何婚だか)。でも、こっちでも同じ名前の主人公のマキちゃんは、子供もいるのでそれでもいいと思って結婚するという。

 

 こっちの短編にはレオンは出てこないものの、君貴は建築家ではなくプロのピアニストで、長くつきあってるヴァイオリニストの男の恋人がいるという設定でした。それで、彼は出番がほとんどないに等しいくらい少ないんですけど、ある日首を吊って自殺してしまう。

 

 そのことにショックを受けた君貴は、演奏旅行その他で普段は妻に与えた豪邸にあまりいないんですけど、この日以降、家に帰ってきて割と家族で過ごすようになる……というか。

 

 マキは夫がほとんど家にいない、しかも夫婦生活もないという寂しさから、ピアノの調律師と浮気したこともあるとはいえ、彼女が根本のところで本当に心から好きなのは、ゲイの夫であることに変わりはないんですよね。。。

 

 それで、このお話ほんのりホラー風味で、最初のほうでマキが小さい頃、女性の首吊り死体を公園のトイレで発見するところも同じだったりします。ただ違うのは、この女性がその後、マキに守護霊のようにくっついていて、「もしかして彼女の幸福のために、君貴のゲイの恋人を連れていったのではないか……」と、なんとなーく、そう解釈しようと思えば出来ないこともない――みたいな感じで終わってたんじゃなかったっけ?と思います(^^;)

 

 いえ、元の短編では君貴は建築家じゃなくて、ちゃんとしたプロのピアニストだったんすよみたいな、ただそれだけのお話だったりします(笑)

 

 あと、レオンのことはあとがき。で避けて通れない気がするので、そのことでもと思います(^^;)

 

 実をいうと、↑の短編が最初にありきだったので、書きはじめた最初の頃は、マキとレオンがあんなに親しい関係になる……ということは、あまり想定していませんでした

 

 でも、体の関係まではないけど、ゲイの友人として子育てや家事をめっちゃ完璧にやってくれる――う゛~んでもそれだと、思いきってそこまでの関係にしちゃったほうが良くないかな……と思うようになりまして、ああした形になったわけです。

 

 とはいえ、あんな超のつくイケメンとラブラブでありつつ、君貴みたいな能力のある男とも??いやいや、少女漫画でもちょっとそれはない……いや、あるな。あるある。少女漫画にはよくあるよ(笑)なんて思いつつ、そのままの設定で突き進んでいくことになったというか(^^;)

 

 それでも頭のどこかに「あまりにもうますぎる設定」と言いますか、そういうのがありまして、レオンとマキのラブラブ描写はなるべく少なくしようと思ってたんですよね。でもそしたら、一通り書き終えて最初から読み直してみた時に、「あれ?なんかそんなに強い理由もなく、レオンがマキを好きになっちゃってる?」みたいに読めたので、「そっかー。レオンがどういうふうにマキのことを好きになっていったか、もう少し詳しく入れても良かったなー」と、そう思ったりもしました。というか、そのあたりのことなら、今からでも十分いくらでもエピソード入れられるくらいなので。。。

 

 でもあんまり、このあたりのことは話引っ張りたくなかったんですよね。というか、それだけ時間がかかって細かく描写した場合、かなり濃厚なラブシーンでも一番盛り上がるところで書かなきゃならないしなーと思ったりもして……それで、たぶん一番不自然なのが、レオンの死が割と短く数行でしか伝えられてないっていうことだと思います

 

 そのですね、一応自分的にはあのあたり、最初はかなり詳しく書くことになると思ってましたそれで、自分的にも大体こんなような形の文章を書くことになる――と思って、そのあたりのことを考えただけで泣いたりしてました

 

 でもこの小説、レオンがゲイでも自殺でも今は天国にいる……ということが一番大切なはずなのに、そこまで決死の覚悟をして最後に銃の引き金を引いたっていう描写を入れてしまうと――そこまで苦悩していたのに今は天国にいるって、それはマキや君貴といった、彼と親しかった人たちの、ただの気休めの願望みたいなことになってしまうのではないだろうか……と、ふと思ったんですよね。

 

 しかもですね、レオンのそうしたシーンというのは、他の章などでは結構、真面目な場面でも軽くギャグ☆が混ざったりしてるのに、そこだけ1ミリたりともお笑いの要素なんかはないわけで――そして、次にくるのがさらに、軽くギャグ風味(?)のヨウランちゃんの独白っぽい章だったので……自分的に「これはむしろ逆に、不自然でも、詳しく描写したりしないほうがいいんじゃないだろうか」と思ったというか。。。

 

 あと、これはあくまでわたしが後付け的に思ったことなんですけど、レオン=ライオンっていうイメージがあって、これは聖書の「ユダは獅子の子」っていうところから来ていたりします。というのも、イエス・キリストっていうのは、家系を遡るとこのユダ族の出身だからなんですよね。それで、イエス・キリストの家系図には、ラハブという名前の遊女の女性が混ざったりもしていて、この新約聖書の第1ページ目にあるキリストの系図というのは、「こんなの、ほんまかいな」と感じられるものかもしれません。でも、イエス・キリストの誕生に至るまでの家系図ということでいうと、こうした遊女といった女性はむしろハブいてしまって(ラハブだけに??殴☆)、もっと立派そうに見せかけることも出来たのではないかといったようにも思います。

 

 何を言いたいかというと、レオンのお母さんも実の母親にそうした行為を強要され、無理に客を取らされていたわけですけど……救世主の系図にも、遊女というか娼婦というか、そうした女性は入っているっていうことなんですよね。そして、新約聖書でイエス・キリストを信じたのは、社会的にそうした身分の低い人たちこそがまず真っ先に信じたというか。あんまり詳しく書けなかったのですが、レオンのお母さんは信仰深い女性だったので、そのあたりのことに関する罪悪感も自殺といったことには強く関係していたのではないかと思われます。

 

 それで、ルイ・ウォン氏は、実はレオンのお母さんの客になったことが一度だけあったという経緯から……彼女、メアリー・キングのお母さんが逮捕されたというニュースを見て、大体のところ事のあらましを知ることになるわけです。一度客になったことがあるだけとはいえ、メアリーさんは物凄い美少女だったので、彼女が赤ん坊を生んだのちに自殺したらしいと知った彼は、その子が自分の子とまでは思わなかったにしても、その行方を捜したんですよね。

 

 そして、引き取った当初は、ある部分ウォン氏も善意だったわけですが、大きくなるに従い、だんだんにお母さんに似てきた――というのが、レオンのさらなる不幸のはじまりだったというか

 

 それと、もし読まれた方の中で、レオンの死がといったように感じられた方がいらっしゃいましたら、レオンの死というのはなんというか、「映画の中でのそれみたいなもの」と思っていただいても、全然いいような気がします。

 

 つまり、実際には書いてませんけれども(汗)、べーゼンドルファーの前でショパンの曲を弾き、走馬灯のように自分の過去のことを思いだしてから――死が怖くないよう、マキと君貴のことを想いつつ、最後に銃の引き金を引き……ペントハウスの屋根から鳩が飛び去っていくと、「カーット!!」と声がかかる。そして、そのあとレオンは絨毯からむっくり起き上がる的な、何かそうしたお話です(^^;)

 

 そして、これでいくとですね、ヨウランちゃんも大体そんな感じでいいんじゃないかなと思ったりもします。いえ、自分的に彼女には「変な役柄与えちゃってごめんね」的な気持ちがあるもので……「ううん。いいのよ。わたし、実生活では結婚してて子供もふたりいるもの。こんな役、べつにどうってこともないわ」的な??

 

 あ、あと、主人公であるマキについて何も書いてなかったですよね(^^;)

 

 たぶん、マキのイメージは「エースをねらえ!」の岡ひろみちゃんあたりから来てるんじゃないか……なんて、随分あとから思ったりしました(笑)

 

 もっとも、ひろみちゃんの場合は十代の女の子らしさ、若さ、きゃぴきゃぴした元気の良さとか……あと、同じようにボーイッシュでも胸が大きかった気がするし、ただ、テニスのスコートから伸びる真っ白い足の脚線美だけ、マキと同じと勝手に思っているかも

 

 それはさておき、最初に名前出てきてからずっとマキと表記してるので、ヨウランちゃんの独白の章あたりまで来ると、「尾崎麻貴(おざき・あさたか)って一体だれ?」みたいに、書いたわたし自身が一瞬思ったくらいでした(笑)

 

 自分でも書いていて、「若いのに随分達観した子だなあ」と思ったりはしていましたが、でもわたしの狭い範囲で知る限りにおいて、マキみたいなタイプの若い人――というより、わたしが20代の頃よりすでに、マキみたいな考え方の子は割と多いように感じました。

 

 また、マキちゃんのように、悲観論者というほどではないけれど、「幸福引き算方式」で物を考える、捉える女性というのも、たぶんとても多いと思います。シンデレラのようにガラスの靴がぴったりあって、結婚してハッピーエンド……というのではなく、幸福になった途端、大抵の女性が考えるのは「この幸せは一体いつ終わるのか?」という、そのことなんですよね(^^;)

 

 たとえばマキだったら、好きな人との間に子供も出来て幸せといえば幸せだけれど、いつまでも君貴みたいな男の人の興味や関心といったものを引き続けることは難しい……みたいなことは、ただひたすら盲目的に相手を好きというより、マキはそうしたこともわかってしまうタイプの女性なので。。。

 

 それで、その後君貴よりもレオンと彼女は親しい関係になる。レオンはまあ、普通の恋愛だと、結婚するか子供が出来るかすると、一般的に恋愛漫画や恋愛小説ではときめきの頂点みたいなものが、以降は下降していく……のが普通と思うんですけど、「ママだって、夫と子供がいてもときめきたい!」というのでしょうか。どこの家にもレオンのような天使が時々やって来て、家事や育児を手伝ってくれた上、旦那さんを嫉妬させてから帰ればいい……みたいに思って書いてるところもあったかもしれません(笑)

 

 でも、マキはレオンと親しくなったことで、恋愛の幸福な頂点の時代が結構長く続いたのではないかと思います。「この幸福は、一体いつ終わるのだろう?」――そう思いながら、そんな状態が三年も続いた。そして、こんな幸せな時間がこれからも続いていくのだと、彼女が疑うことをしなくなった時、突然不意打ちのように悲しい出来事が起きた……とりあえず書いた側としては、「ピアノと薔薇の日々」とうお話は、そういう小説だったのではないだろうかと思ったりもします

 

 ではでは、長いお話を大変失礼致しましたm(_ _)m

 

 それではまた~!!

 

 

 

 

 


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