男女共 学
一昨日の毎日新聞プレミアムメールに,作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんが,「男女別学公立高校廃止の是非」という題で,一文を寄せていた。
埼玉県には男女別公立高校が12校あり,県の男女共同参画苦情処理委員会が「共学化の早期実現」を求める勧告を出し,公立高校における共学と別学の併存体制を変えようとする動きがある。
佐藤さんは男子校の県立浦和高校の出身で,1月に行われた県教育委員会の同窓会からの意見聴取会へに出席した。その場の意見には賛否両論があったが,主流は男子校,女子高,共学校の併存体制を維持せよということで,同窓会は昨年の12月にその旨の意見書を提出しているそうだ。
佐藤さんが紹介している,苦情処理委員会の勧告に述べられている共学化を求める理由は次の通りである。
「高校生活の3年間を一方の性に限ることは、人格形成からも、また男女共同参画社会づくりの視点からも問題である。高校生という多感な時期に、異性と真剣に向き合い共に協力し合って問題を解決していく体験こそ重要である。公立の高校として、男女の性差にとらわれることなく、個人の能力・個性を発揮していくため、男女別学校の共学化を早期に実現する必要がある。」
佐藤さんはこの勧告書について,国会議員を通じて政府に質問主意書を提出した。政府の回答は,「この件に関しては承知しておらず,男女別学の人格形成へ与える影響も不明で,答えられない」とし,「国立の高校にも別学があり,どのようにするかは,それぞれの学校の判断に帰属する」ということであった。
佐藤さんはこの回答を援用して,「男女別学が人格形成や男女共同参画社会づくりからも問題だ」とすることについては,苦情処理委員会が実証的なデータを出す必要があり,この理由付けによる勧告は杜撰であると指摘している。
さらに,埼玉県には同じ程度の難関校として,男子高校,女子高校,共学高校が揃っていて,受験生の進路が狭められているとは言えない,と佐藤さんは主張する。
わたくしは,埼玉県の公立高校について特に意見はなく,またいう立場でもないが,男女共同参画苦情処理委員会の勧告を批判する佐藤さんの意見には賛成する。男子高校あるいは女子高校出身者に知人は多いが,人格形成に問題のあった方には覚えがない。
忖度するに,佐藤さんは母校へのノスタルジアから,浦和高校はやっぱり男子校でいて欲しいという気分があったかもしれない。だから,勧告の不備を見つけられてホッとしているのだろう。
しかし一般論として言えば,わたしは入学の門戸に性別による制限は置かない方が望ましいと思う。特に少数者とはいえ性別不合者の存在を考えれば,男女という二分類は問題を含んでいる。
戦後,各地に設置されていた中学と高等女学校は新制高校になり,大多数は男女共学になった。
わたしの母校は,1949年に最初の女子生徒が編入学し,以後女子生徒は数を増し,わたしの学年では七分の一くらいを占めるようになっていた。
自身の経験に即していえば,女子生徒の存在は大変意義があったように思う。男子だけの級友からよりも,もっと大きな視野が得られたと感じている。
女性の出席があって華やかな,3月19日の同期会(七四会)を楽しみにしている。
STOP WAR!