あれから13年
東日本大地震から13年の月日が経った。その傷がまだ癒えぬうちに,地震と津波が日本海側を襲った。
今日はコカリナグループLove Peaceの例会日で,コカリナ協会の総帥,黒川黒太郎氏が作曲した『日和山』をみんなで合奏した。日和山は石巻市にある山で,多くの人たちがここに避難した。この曲を吹くたびに,あの日の津波の濁流が目に浮かぶ。悲しみと希望が込められたメロディーである。3月11日にはこの曲を吹くことにしている。
これも恒例になったが,石牟礼道子さんの詩に,思いを託す。
花を奉る 石牟礼道子
春風萌すといえども われら人類の劫塵いまや累なりて 三界いわん方なく昏し
まなこを沈めてわずかに日々を忍ぶになにに誘わるるにや
虚空はるかに一連の花 まさに咲かんとするを聴く
ひとひらの花弁彼方に身じろぐをまぼろしのごとく視れば
常世なる仄明かりを花その懐に抱けり
常世の仄明かりとは あかつきの蓮沼にゆるる蕾のごとくして 世々の悲願をあらわせり
かの一輪を拝受して 寄る辺なき今日の魂に奉らんとす
花や何 ひとそれぞれの 涙のしずくに現れて咲きいずるなり
花やまた何 亡き人を偲ぶよすがを探さんとするに 声に出せぬ胸底の想いあり
それをとりて花となし み灯りにせんとや願う
灯らんとして消ゆる言の葉といえども
いずれ冥途の風の中にて おのおの行くときの花あかりなるを
この世のえにしともいい無縁ともいう
その境界にありて ただ夢のごとくなるも花
かえりみればまなうらにある御形 かりそめの姿なれども おろそかならず
ゆえにわれら この空しきを礼拝す
然して空しとは云わず 現世はいよいよ地獄とやいわん 虚無とやいわん
ただ滅亡の世せまるを待つのみか
ここにおいて われらなお 地上にひらく一輪の花の力を念じて合掌す
2011年4月 大震災の翌月に
取手市の路傍で今日撮影
STOP WAR!