地震の確率
阪神淡路大震災から30年が経過した。
当日、わたしは大学入試センター試験の業務で東京にいた。テレビで地震の惨状を観ながら、これが試験の実施された前日だったらと、ぞっとしたことを記憶している。
この30年間にいくつも大きな地震があった。2004年に起きた中越地震の後で訪れた旧山古志村で、被災者の方から、わたしにしてほしいこととして、「忘れないで欲しい」と言われた。以来その言葉を肝に銘じている。
ところで、今年になって、南海トラフ巨大地震の30年以内に起きる確率が80%に引き上げられた。
この確率はちょっとわかりにくいところがある。天気予報の降雨の確率は、雨が降ると予報してそれが当たる確率で、過去のいろいろなデータから計算されるらしい。100%ならその日あるいはその時間に確実に雨が降るということで、0%なら傘の心配は無用ということである。
南海トラフの場合は、30年間という長い年月のどこかでということで、雨降りのようにいつということが実感できない。
今の地震予知技術では、いつどこでということを予言することができない。以前、地震予知連絡会の会長が、「地震はいつどこで起きてもおかしくない。」と言っているのを聞いて、いささか白けた気分になったが、むしろ正直な発言と理解すべきだろう。
だから、この80%という確率は、30年間のどこかでということになり、いつどこでということは含まれていない。
南海トラフ巨大地震は、過去に100年から150年の間隔で起きていて、最後の南海トラフ地震は1946年でそれから80年が経過している。100~150年のサイクルの80年が経過し、残りが短くなると起きる確率は高くなるといいうのが、根拠の一つとなっているようだ。
この理屈で言うと、南海トラフ巨大地震が起きない期間が長くなるにつれて、確率は100%に限りなく近づいて行くということになる。100%と言われたら人はどう感じるのだろうか。30年以内に確実に巨大地震が起きるのである。しっかりした対策が提示されないと、パニックが生ずるのではないだろうか。
しかし、一方で、この80年間に、東日本大震災のような南海トラフとは直接の関係のない大きな地震がいくつも発生している。南海トラフの震源域から離れたところにいるからと言って、安心できるものではない。
阪神淡路大震災30周年を機に、兜の緒を締めなおすことにしよう。
2004年の中越地震による山崩れで土砂に埋まった集落。
2007年旧山古志村で撮影。
STOP WAR!
我が家は地震と火災に強いと言われているヘーベルハウスですので災害時は家の中に留まるつもりです。