(昨日の続きです)
この地球上で最も深い海底はどこにあるのでしょうか。それは、北西太平洋のマリアナ諸島の東、北緯11度21分、東経142度12分に位置するマリアナ海溝であるとされています。海溝とは、海底が細長い溝状に深くなっている場所のことで、その海溝の中でも特別深い場所は海淵と呼ばれています。マリアナ海溝の最深部はチャレンジャー海淵と呼ばれており、その深さは水面下10,983 mとされています。この場所が地球上でも最も最深の凹地ということになるのだそうです。この地球最深部に人類が到着したのは、1960年1月23日、バチスカーフの発明者オーギュスト・ピカールの子息ジャック・ピカールと海洋学者でアメリカ海軍のドン・ウォルシュ中尉を乗せたバチスカーフ・トリエステ号(上の写真です 注)でした。その日、トリエステ号の深度計は11,521mを示したそうです。この記録は後に10,911mに訂正されました。海底で両名は小型のヒラメのような魚類を発見したとされています。トリエステ号は海底に20分間とどまった後に浮上しました。
この記録を読んで驚くことは、地球の最深海への到達は、人類が最初の宇宙飛行を行う、わずか1年前だったということです。そして同じ場所に人類が再訪したのは、有名な映画監督のジェームズ・キャメロン氏の搭乗したディープシーチャレンジャー号による2012年3月26日だったというのです。何と52年後、半世紀もブランクがあったということです。キャメロン監督の潜航は、初の「単独」潜航の記録となりました。つい11年前のことです。
ただし無人探査は、日本も1995年3月24日、遠隔操作無人潜水機「かいこう」をチャレンジャー海淵の最深部に送り込んでいますが。それだけ海洋最深部は(外宇宙よりも!)人間が到達することの困難な場所なのでしょう。
(注)トリエステ号の写真はウィキペディアから引用させていただきました。