博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

古のムーンライト便

2013年02月27日 | 豆知識

 今や珍しい航空路線の深夜便ですが、かつて1960年代から70年代前半にかけて羽田空港を夜中の1時に離陸し札幌に午前4時に到着する「オーロラ便」という日本航空の深夜便がありました。羽田空港を午前1時40分に離陸し、大阪に午前3時に到着する「ムーンライト便」という深夜便もありました。このムーンライト便は大阪までの乗客を降ろした後に、さらに福岡空港まで飛行したようです(午前4時55分着)。羽田空港まで都内の営業所からバスで移動したようです。飛行機はプロペラ機のYS11が使用されていたそうです。しかし次第に騒音が問題となり、どの便も1974年に廃止になりました。

 私が小学生から中学生の頃までは運行していたことになりますが私自身は搭乗したことはありません。なぜこのようなことを覚えているかと言いますと、故小松左京さんの長編SF『果てしなき流れの果てに』(ハヤカワ文庫 初出1965年)に出てくるのです。主人公野々村浩三の不可解な失踪と関係者番匠谷教授の負傷を知った野々村の婚約者佐世子が東京から大阪に戻るべく(逆だったかも)ムーンライト便に搭乗しようとするといった話だった・・・と思います(手元に本が無いのでうろ覚えです)。この物語を読んだのはまさにムーンライト便が廃止される1974年でした。この長編では、物語の冒頭に1965年に失踪した野々村を佐世子が2010年代の後半まで大阪府下の小さな町で待ち続ける描写があるのですが、この部分だけ(本当に冒頭の部分なのですが)読んでも十分満足できる傑作です。作中では2010年代には広域行政の拡張により京阪神の府県は「近畿州」に統合されるといった描写もあり興味深いものがあります。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。