博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

2010年8月15日

2011年07月30日 | SF
 去る26日に、SF作家の小松左京さんが逝去されました(享年80歳)。
 私が初めて小松さんの作品を読んだのは、1973年中学1年の時に「復活の日」が最初でした。生物兵器のウィルスが環境に漏出して人類のほとんどが死に絶えるというストーリーでした。後に映画化されたので、SF好き以外の人にも良く知られた作品だと思います。それ以来、高校卒業までの6年間に、SFに限らずエッセーや評論も含めて小松さんの主要な作品はほとんど目を通したと思います。
 小松さんの未来を見通す目は実に的確だったと思います。たとえば1980年代にAIDSの流行が騒がれた時には真っ先に十数年前に読んだ「復活の日」を思い出しました。AIDSの原因となるHIVウィルスはレトロウィルスで、「復活の日」で通常のインフルエンザの流行に隠れて人類を襲うウィルスもレトロウィルスという設定だったからです。思えば「復活の日」が最初に発表されたのは1964年で東京オリンピックの年です。そんな昔からレトロウィルスの特性に注目していたとはすごい先見性だと思いました(だからといってHIVウィルスがどこかの国が開発した生物兵器で…などという都市伝説を信じた訳ではありませんが)。また事態の始まりが鳥類の大量死から始まるという設定から、鳥インフルエンザウィルスのニュースが流れるとこの作品を思い出します。
 1990年代半ば頃に「内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)」が騒がれた時には、小松さんの1970年代初頭の短編「静寂の通路」を思い出しました。環境に放出された合成化学物質の自然界でのカクテルによって妊娠異常や死産が激増するという近未来を描いた作品で気味が悪いほど設定が似ていました。
 他にも、2001年の米国911連続テロの時には、開発途上国の若者の怒りが国連本部ビルに核爆弾をしかけ先進国首脳への脅迫を企てる設定の「HE-BEA計画」を思い出しましたし、1997年の地球温暖化京都会議(COP3)の時は、温暖化の進行でほとんどの先進国の沿海部大都市が水没するという「極冠作戦」を思い出しました。これらはほとんど1960年代の作品で30年位の未来を見通していたことになります。(続く)

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