博多住吉通信(旧六本松通信)

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STSとは 2

2013年10月02日 | 科学

(昨日の続き)

 確かに安価にいつでも遺伝子解析サービスが得られるということは、個人の健康管理に役立つということは間違いないでしょう。しかし昨日の日経ビジネスの記事の中でも指摘されていたように、結婚前に遺伝子解析の結果を求められるようなことが実際に起こったらどうしたらよいでしょう。提出を躊躇するだけで先方の疑惑を呼びそうです。生命保険を契約する際にも要求されるようになりそうです。

 もっと具合に悪そうなことも予測できます。発症したら治療不可能な遺伝病の遺伝子が見つかったらどうしたらよいでしょう。いつ発症するか心配しながら死を待つしかないのでしょうか。

 一方、こういうことも考えられます。遺伝子解析をすると「今生きているほとんどの人間には何かしら遺伝子に問題がある」ということが分かってくるのではないかということです。そういう意味で人間は遺伝的に実は「平等」なのかもしれません。

 また、問題のある遺伝子を持っているけれども、その遺伝子は別の重大な疾患への抵抗力の源になるとかですね。アフリカでは鎌状赤血球症という遺伝病を持った人が多いのですが、この疾患はアフリカに多いマラリアに抵抗力を示すそうです。こういうことがあるので遺伝子上の問題は簡単に良い悪いがいえない場合もあるのです。

 これらは言い方を変えれば人類の遺伝子は多様であるとも言えます。この多様性が人類が地球上の様々な環境(極地から熱帯までの)への適応を可能にしたのかもしれません。

 いづれにせよ、様々なケースが想定されるので、今から多様な対応を考えておく必要があるでしょう。STSとはこうした問題を考える学問です。


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