初めて野生のキツネと目が合った。
2週間位前の事です。
うちの庭は人が通ると防犯ライトがつくのですが、これは猫が通っても、(時には)背の高い植物が風で揺れても反応します。
2週間前、このライトをつけたのは野生のキツネでした。
庭が明るくなったので、何?と思いカーテンを開けると、キツネが佇んでいる。
鼻先の長い、茶色の体。テレビでも絵本でも繰り返し見たそのまんま。
私はぎょっとして固まってキツネを見つめ、キツネも同じく私を見て固まった。
ケータイで写真を!なんて事考え始めたら、キツネはレンガの道をゆっくり歩いてどこかに行ってしまった。
数日後、うちの周りで朝、昼問わず出没してるらしく、かなり痩せてるらしい。
私と目が合った時は、痩せてる事に気がつかなかったけれど。
動物が痩せているというだけで、なんとも切なくなる。
森に食べ物はないの?
人間の食べ物を覚えた?
あんたはもしかして、母親?
この辺に来たら、エキノコックスが心配と、悪い噂がたつからね。
だから、
早いとこ、森にお帰り。
心の中で、何度も何度も。
こんな事をふとした拍子に考える。
私の場合、例えば洗濯物を干している時のような、わずかな隙間の時間に、小さなあれこれが私を支配するんです。
イラストレータのINOちゃんが、「つねちゃんの喫茶店」というミニ絵本を作って販売しています。
偶然観ました。
写真家の岡田敦さんという方が、
数年前から馬たちの様子を、写真におさめているそうです。
詳しい事は、岡田敦さんのHPを見てください。
私の文章力では上手くお伝え出来そうもありません。
無人島に今は3頭だけ残る雌馬たち。
私はここ数日、(油断すると)常にあれこれ考えてしまいます。
本当にあれこれと。
私は馬の「目」にめっぽう弱い。
切れ長の目、長い睫毛
ゆっくりとしたまばたき
妖艶でいて優しい 瞳
そうして
たくさんの困難に
耐えて、耐えて、耐えて。
なのに
自分を不憫に思わずに
生きている その まなざしが
わたしをうんと せつなくさせるのです。
(羽田空港に到着したときの事です)
飛んでる間は多少揺れ、不安になる事もありましたが、
最後は真っ直ぐな滑走路が、着陸態勢に入った飛行機を優しく導いてくれます。
こんな風に、私を平らな所に 導いてくれないかしら?
月曜からの発熱は いっこうに下がらず、症状はインフルエンザなんだけど、検査ではインフルエンザではないらしです。
いろいろ考えることが多くなります。
水やりを忘れた次の日、庭に立つと
乾いた植物たちが水を欲しています。
私は、植物たちに惜しみなく
それはそれはたっぷりと、葉にも土にも水をあげます。
そうすると、植物たちからの(お礼のような)
草の匂いやその呼吸を感じ、
疑問を持たずに生きるエネルギーに私は圧倒されます。
植物たちはとても律儀です。
小さな虫が、アジサイの葉に止まっています。
私は一瞬考えます。(この庭にとって良いのか悪いのか)
そんなのは本当に一瞬です。
私はわずかばかりの罪悪感を感じつつも
やっぱり一瞬です。
植物たちに水をかけ
私は容赦なくかけ続け、
容赦なく 容赦なくかけ続け
小さな虫は、抵抗の甲斐なく地面に落ちます。
虫がいなくなった葉を見ると
少し清々しさなんかも感じながら
その清々しさにも嫌悪します。
人間の私は虫を殺し、
虫の私は何かに殺されてる。
人間ほど生々しくないけれど、やはりここにも殺生があって
その当たり前に、私はなんともいえない気分になるのです。
地面に落ちた虫はどうなったかなぁ。
去年の10月、 石狩はまなすの丘公園に行った時のことを
たびたび思い出します。
ススキも見事でしたが、頭から離れないのは
石狩川の終わり、海とつながる河口の眺め
私は生まれて初めてそれを見たのです。
川が海と交わる
その 静かなうねり
その 流れは
眺めているだけで
心地よくって、
いつまでも眺めていたかった。
この川の始まりはどんなところで
生まれたときは
新しい気持ちで
どんな夢や希望があって
あの道この道 流れてきたのか
上手くいかない事のたくさんと
上手くいく事との少しだけ
ここまで来るのに
どんな日々があったのか
海はほんとうにおおきくて
流れていた時(何度も)想像してたものより
おおらかで、際限がなかった
そして その静かなうねりは
「さぁ お入り」って優しいので
こんなにも 楽々としたところに行けるんでしたら
どんなにどんなに良いかしら。
ささった時の痛みを感じないほど
小さな小さな棘だったんです。
それは時間がたってから存在感を増し、
私の仕事の邪魔をします。
同じようなことで、ほんの数ミリ爪を切りすぎた時にも
指先は思うように動いてくれません。
こんな風に、誰にも気づかれないような
小さな小さなことが、私を支配します。
でも 私は元気
なぜか私は学生で、試験の始まりノベルが鳴る
問題用紙を見てみたら、さっぱりわからない
.
質問の意味すら分からない
かなり 焦る
動揺して
心臓が破裂しそうだ
どうしよう
どうしよう・・・
というところで目が覚めました。
ここのところ こんな夢を続けてみます。
夢だとわかっていてもドキドキします。
こういうのって 不安夢?っていうんだろうか。
今日は一日 車であちこち。
見慣れた道を 何度も通った道を走っていて
いつもは曲がるところで
ふと
この道そのまま走ったら どこに道につながるかしらと
ふと 思ったんです。
で 思った通りに まっすぐまっすぐ走ったら
全然知らないところに 迷いこんでしまいました。
どのタイミングで引き返そうか
いつ カーナビのカナコさん(私のカーナビ そう呼んでいます)
の力を借りようか
そう思いながら まっすぐまっすぐ
.
なんだか
いままで私が来た道って
いつだってこんな感じだったな
おとなしく いつもの道で曲がっていればいいものを
思いついたみたいに あっちこっちで曲がっちゃって
そのたび 迷い込んで 考えて
悩んだ末に どうもこうもいかなくなって
逃げ出すタイミングもつかめぬまま
また失敗したよって 繰り返して
.
選べる道は数々あれど
選べる道は数々あれど
.
このまま まっすぐは走り続けて
知らない街に行ってみたいと
こんな年になっても ちらりと思うわけです。
ですけど 車の中には
帰ったら 「すぐ冷蔵庫にいれるもの」
帰ったら 「誰それに渡すもの」
なんていう 現実がひしめき合っていますから
小心者の私は我に返って
カナコさんの電源入れて
カナコさんの言うとおりの道を通って
家に帰ったのであります。
.
行ってみたいなよそのくに
らない街で暮らしてみたい
と歌っていたのはだれでしたっけ。