私は女性を着飾るのが大好きだ。
まずは、滑らかで美しい肌を、舐めるようにじっくりと見つめ、その女性に似合うドレスを探してくる。今回の女性は、胸のラインが躍るような曲線を描いていて魅力的だったので、そこが目立つようにぴっちりとした黒いロングドレスを着せた。
次は足をどうするかだ。足は女性の体の中で、最もその女性の美しさを際立たせる部分であるため、特にこだわらなければならない。残念な事に、今回の女性の足はあまりにも大きく、みすぼらしい。
あまり体を弄りたくはなかったが、仕方がないので金槌を持ってきた。まずは右足から、踵の骨と足の指の骨を叩き折って、無理矢理小さくした。左足も同じように・・・先ほどよりはいくらかマシになったものの、傷つけてしまったことに罪悪感を覚えた。痛々しさを隠すため、牡丹の花の刺繍が入った白い靴を履かせる。生足の方が望ましかったが、これは仕方のないことだし、靴の上からでも充分に妖艶だ。
今度は足と対照的で、小さく細い指が並んだ手を飾ろう。私はこの女性に捧げるため、大粒のダイヤが煌めく指輪を購入してきた。それを左手の薬指にはめると、ダイヤの大きさが指の細さをより際立たせた。
ここから一番大事な作業に入る。顔の化粧をするのだ。骨ばった顔のラインは、私を大いに興奮させる。私がこの女性を着飾りたいと思ったのは、この顔のラインに強く惹かれたからだ。そのため、普通は誰も使わないような、真っ白なファンデーションをはたく。すっかり雪原のようになった顔の一点に、血のように赤い紅を落とせば、心の底から震えがる美しさになった。
最後の仕上げ。宝物を扱う時と同じように、女性をそっと抱き上げて、彼岸花を敷き詰めたシルクのベッドに寝かせた。そして、その女性の姿を強く目に焼け付けていると、目から涙が零れ落ちてきた。
私が溜息を吐いて後ろをチラリと見ると、罪を責めるかの如く、小さな机に置かれた毒薬が目に入った。