頭山満先生

肉体は精神の奴隷ぢゃ。肉体は精神のいふがままになるのぢゃ。
ところが近頃の人ではさうは行かぬ。旨い物が食べたい、暖かいものが着たい、安楽がしたい、といふみんな肉体の命令するところに精神を引きづられていきよる。これでは人は万物の霊長だと威張って居れぬわけで、畜生と同じものぢゃて。
肉体ぐらい自分の精神で使いきらないでどうするものか。肉と慾との二筋に、思ふままに猛進するから、魂のない抜け殻のやうな人間が出来、従って社会まで抜け殻となってしまふのぢゃ。