【改題】ひとり公論(IT公論)

アラフィフとなりIT土方卒業したのでタイトル変更しました
こちらはどちらかといえば再録中心

リリースした瞬間から「次期システム」

2008-11-01 05:56:37 | メルマガ移行
テクノロジーの進化に「ついてゆく」(つまり、製品を買うってこと)、その進化を「是とするのがデフォルトである」という風潮自体にNoを唱えようとした時点で、このギョーカイはとたんに居心地が悪くなる。

明らかに、「なんか居ずらいなあ、ここ」って感じ始めた時期はあった。それまでは居心地よかったのに。。

で、今に至る。

でも、違和感を感じながらこのギョーカイを生き抜いてきて、オトナになった部分もあるし、いろいろなことがわかって、よかったと思える。

 
このギョーカイだけの狭い視野でなく、ビジネス・シーン全体を俯瞰したときに、テクノロジーの進化に対して盲目的に是とすべきなのか? とギモンを持つのは当然だと思う。

それは、今自分が棲息しているギョーカイから、たとえ精神的にだけでも一旦離れてみないと、わからないことだ。

 
 
ところで。。
インフラの仕事やってると、ホント、ハードのメーカーに振り回されてるよなあ、って、もうウンザリしてくるわけです。

ルータなんかさ、あんなの、メカ的にはむちゃくちゃショボいのに、何百万とかいう値で売りつけやがって。。
ムカシのハナシだけどね。今はネットワーク屋じゃないから、そのへん、よくわからない。

そして客はそれを盲目的に買っていた。ボロい商売だった。
客にリテラシーがなかったからね。「システム・リテラシー」とでもいったらいいのか。。

なんちゃらの進化の法則にのっとって、四半期に一度ぐらいCPUの性能が上がり、新製品がボコボコ出てくる。2年ぐらいにわたるプロジェクトだと、カットオーバするころにはすでにスペックがショボくなっている。

顧客は常に「次期システム」を検討している状態。いつの時代も「システムの刷新」「リプレイス」。
カットオーバした瞬間にシステムが陳腐化しているから。。

 
SIer側も無限に新技術、新システムを提案し続ける。「枯れる」ということを知らない。

テクノロジーの進化のおかげで、こういうボロい商売が奇跡的に続いているわけで、そして僕も最底辺層でそのおこぼれにあずかり、家族を養うことができている。
 
 
エンジニアは新しいテクノロジーに飛びつきたい性質を持っている。(その性質を僕は「メカに強い」というコトバであらわしてきました)
だから、エンジニアの集合体である(と思われる)SIerは常に「次期システム」を考えている。そのときそのときのトレンドには、SIer側がすぐに飽きてしまうのだ。
それは実は、SIer、というかこのギョーカイ自体のワガママなのだよ。

 
ムカシは、客はそのエンジニアのワガママ、性質に渋々従っていたし、カネも出していた。なぜなら。。
正直、よくわからないけど、「モノ珍しさ」に起因していたのだとは思う。

客も、渋々だけれどもテクノロジーの進化を是としていたわけだ。我が社も、システム化により生産性が格段に飛躍し、バラ色の未来が拓ける、なんて思っていたらしい。
実際はシステム屋の営業に思わされていただけなんだけど。。

「システム化」という方法論に拘泥しすぎてしまっていた。客も、SIerも。
今もそうかもしれないけどね。

でも、もはや客は次々と繰り出される新しいテクノロジーに対して明確にNo!を唱えだしている。
イコール、カネを渋っているということ。
頻繁に買い換えなきゃならないということになると、カネがかかりすぎなんだって! 都度ハードも、ソフトも、SIもってなると。。 バカ高い。
そんなアタリマエのことに気付くようになってきた。(バレた)

そういえば、ハードもそうだけど、SI費って未だ高いよねー
SIって、新しい技術をインテグレートしてくれる費用だからこそ客側もその高いのを納得してくれていたんだけど、今SIer側ってみんなサラリーマン化しているからそんなスキルないもんな。
表層的に「メカに強い」だけであって、真のエンジニアなんていない。

それもバレた。
 
 
そして今、顧客への追い風となっているのが「グリーン」だのエコだの、そういうアヤしい思想。。

頻繁にリプレイスを繰り返すシステムなんざ、環境破壊の最たるものだ、と。ばかばか電力ばかり食いやがるシステムを敵対視する思想。

SIer側もさ、これに便乗するのは勝手だけど、グリーンだのエコだのを「実現できるシステムにリプレイスしましょう」と提案するのも、ヘンなハナシだよね。。
それを真に受ける客側もバカなんだけどさ。

 
そもそも客が考えなければならないのは、ホントに自分の会社のシステムは24時間コンシューマに開放しなければならないのか? ってことだよ。
それがビジネスチャンスを拡大する傍らで、自分たちを疲弊させていないか? と。
自社システムは9時ぐらいに停止させて、残業してる輩たちを家に帰してあげたらどうだ? それがエコじゃないの? と。。

環境とかそういうのをホンキで考えるんだったらまず自身が痛みを伴うのを覚悟しなきゃあね。
そこから目を背けて、グリーンだのエコだのを「システム化」できるわきゃないんだよ。

まァまず、「動かないコンピュータ」(by日経コンピュータ)を停止させてみれば? ってことだよね。
 
 
 
そんな時代に、そして、テクノロジーの進化が鈍化してゆくと予見される時代に、僕らはどうビジネス・シーンを生きてゆけばよいか?

なんてことを、最底辺層にいながらも、考える。いや、真正面から考えてみたいんだよね。どうも周りが考えてないみたいだから。。
そういうことを考えているだけで個性になるみたいだから。

 
インフラの仕事をしながら常にこのようなギモンを感じるようになったらもう、しめえ(終めえ)だよね。。(笑)
にも関わらず、あいも変わらずギョーカイには寄生しているわけだが。。

 
結局何が言いたいかというと、このギョーカイの仕事って、必ずしも「メカ的」な仕事ばっかじゃないからね。
それどころか、メカ的な仕事やコーディングやら、そういう仕事「しかしたくない」ヒトたちが相変わらず跋扈している中では、皆が仕事の線引きをどんどんしてくれるから、ぽっかりと誰もボールを拾わないような仕事はクサるほどある。

それが、ある意味このギョーカイの特徴でもあるのだろう。

だから僕はそういったニッチがふんだんに存在するこのギョーカイで生きてゆけるのだなあ、と。

誰も拾わない仕事を拾ってゆくのもビジネスだ。いや、拾ってゆくの「こそ」ビジネスなんだよね。