【改題】ひとり公論(IT公論)

アラフィフとなりIT土方卒業したのでタイトル変更しました
こちらはどちらかといえば再録中心

武田邦彦さん

2012-08-24 19:14:35 | 引用
日本では土砂崩れの災害があって、たとえば道路が崩れると土建屋さんが出動して道路を「旧に復する」という事をします。「旧に復する」というと良いことのように思いますが、「崩れる地形のところをそのまま元に戻す」のですから、また土砂崩れが起こるのです.

本当は、一度崩れたらその部分を削って二度と崩れないように平らにすることが合理的です.日本の地形は造山活動が起きたときに偶然に決まったものですから、今の状態が「最適」であるということはありません。平野が多いのは良いことですし、余りに急峻なところで人が住みやすい場所は徐々に削って平らにしていく方が良いでしょう。

でも、そうすると「土建屋が儲からない」という問題があります。私は若い頃、ある地方の県で仕事をしていたのですが、どうも土建屋さん、とくに土木会社の景気がよいのです。そこで調べてみたら、大雨や台風で土砂崩れが起こったら「旧に復する」ということで、「土砂崩れの起こった前の状態」にします。

もともと、「前の状態」で土砂崩れしたのですから、旧に復するというのは「また災害に遭う」ということでもあります。このような事すら合理的な議論ができないのが、今の日本の「知性の劣化」を示すものでしょう。