公立の先生は、転勤がある。
新しい学校へ行くと、そこにはそれ以前から続いている美術部がある。
自分が考える美術部と、そこにある美術部とはおそらくギャップがあるだろう。
考えてみると、私も新任の時は、同じことを体験したんだなと思った。
美術部を集めてみたら、15人くらいいた。そして、私が今年から顧問ですと自己紹介をして、誰が部長なの?と聞いてみた。みんなふふふと言って、はっきりしない。
なんとなくこの子ということが決まっていたようで、一応その子に決定した。
変な言い方だが、誰が決めたのか、みんなが了解しているのか?どうも怪しかった。
そして、今までの活動を聞くと、クロッキーのようなデッサンをしたことがあるくらいで、たいしたことはしていなかった。それでは、これから石膏デッサンから始めようと話し、カルトンや木炭紙など一揃い買うことにした。
道具が揃って始まって、一週間経ったら部員が全員来なくなった。
これは、みんなで結託してではない。それぞれがそれぞれの理由で来ないのだ。
廊下で会ったとき、どうして来ないの?と聞いてみた。しかし、うふふというだけではっきりしない。
よくよく聞いてみて、やっと分かったことは、美術部とは一週間に一回やる程度の部活だったから入っていたということだった。それを私が始めたのは毎日活動する美術部だったので、とてもそんなにはできないということだった。
ありゃりゃ。
だから、部長は誰かと聞いても、みんなよくわからないということだったのかと分かった。
部活と言うより、お稽古だったのだ。
前年度まで、顧問をしていた先生に、美術部はどこで活動しているのですか?と尋ねたとき、
「放送でも何でもして集めなけりゃ駄目よ」と言われたが、それはそうでもしないといつどこでやるかも決まっていない部活だったのだとわかった。
つづく