運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

ハリー・ポッターの孤独

2007年07月28日 13時20分31秒 | Weblog
夏休みに突入した。したがって、映画のセレクションは『ハリー・ポッターと不死鳥の軍団』。しかも日本語版^^ しかし結構面白かった。弟三作目あたりから怖いシーンが増えてなんとなくあざとくなりつつあるように思っていた、このハリー・ポッターシリーズ。今度のもまた、のっけから突然黒雲が湧いてディメンダーが襲ってきて、やっぱり暗くて怖い展開??とひきかけたが、なかなかどうして、中身の濃い、完成度高い映画に仕上がっていた。ハリーの内面の葛藤、孤独、やるせなさ、青春の苦しみがよく表現されているし、周囲の人物の描き方も素晴らしい。
やっぱり、ホンがしっかりしていると断然違う。
なぜかピンクばかり着ている、魔法省からホグワーズ魔法学校の監視に来た女教師の衣装にも深い意味がある。映画の表面に出ている以外の、見えないけれど、しっかりした伏せんが作品を厚くする。

ダンブルドア校長対闇の帝王ヴォルデモードのすさまじい一騎打ちも迫力がある。
それが済んだと思ったら、ヴォルデモードはハリーの内側に逃げ込んでいて、ハリーは何度も闇の顔になりそうになりながら必死に己を明け渡すまいとのたうちながら抵抗する。そうか・・これは魂の闘いなのだ。
誰の中にもある、光と闇、それぞれが何を選び取るかだ。どうやって勝つかだ。
ともすれば、魂が弱ければ、心や生きる力をのっとられてしまうかもしれない現代の課題でもある。
ダンブルドアが声をかける。
『ハリー、大事なのはきみがヴォルデモードと似ているということではなく、何が違うかだよ』と。

結末は映画をご覧になる方のために書かぬことに。
この時代に思いがけなく生まれて絶大な支持を受けたハリー・ポッター物語は
やはり、生まれるべくして生まれた名作で、使命を果たしているのだなと感動した。
そうそう、今回から登場するホグワーズの女子学生ルーナを演じている(いや存在している)少女が素晴らしい。ゾクゾクするほど。
若き日のジョディ・フォスター、テイタム・オニール、それにダコタ・ファーリング、を合わせてソフトにしたような、不思議な存在感だ。こちらも注目。