4千万本の木を植えた男が残す言葉 宮脇 昭 (著) のレビューがとても参考になります。
私の家の近所にも小さな里山がある。いろいろな木々が、四季折々の姿を見せてくれる。
著者は、「本物の森」づくりを目指し40年以上も前から木を植える活動を行われてきた。
著者の植物に対する研究や経験から得た、思いを記した1冊である。
中でも、「最高条件」と「最適条件」は違う。生物は「最高条件」の環境下にい続けると、やがて必ず自らの存続そのものが危ぶまれる事態に陥る。すなわち、最高条件はつねに最適条件ではない。と多様性こそ自然の強さの表れであると語る。また、「競争」「我慢」「共生」が生物社会の掟と言い、生物社会の「共生」のためには、「競争」「我慢」が必要であるとも語る。
これらは、まさに人間の世界にも当てはまるものである。私たちの日々生活する環境は、望まれる最高のものではない。幾多の「競争」「我慢」が必要である。しかし、それだから社会や自然と「共生」できているのだと改めて考えさせてくれる。
また、全ての人が成長する潜在能力を持っている、あなたが必要とされる場所と時間がきっとあるなどの言葉は、改めて生きる勇気や希望を与えてくれる。
最終章で語る、「大地には木を、心には夢と希望を植えよう」や、「木を3本植えれば「森」5本植えれば「森林」になる」の言葉は、身近なところから「本物の森」づくりに参加できることを勧めている。そしてそれは、身近なところから「自分の夢と希望」を持つことを応援してくれる声に聴こえた。