信濃毎日新聞
2012(平成24)年1月31日(火)
社説=「食の文化 地域の宝を生かそう」から
子どもたちがおいしそうに物を食べている姿には、心が和む。地域の特産だと、なおさらうれしくなる。
最近紙面で紹介されたのは佐久市の望月小学校だ。地元に伝わる「雁喰(がんくい)豆」のみそを使ったみそかつが初めて給食で児童全員に出された。
黒豆の一種である。近年はほとんど作られていなかったが、地元の人たちが地域の食材の見直しを進めている。
昨年は須坂市の市立保育園が給食に、伝統野菜「八町きゅうり」など地元産野菜をふんだんに使った。飯田市上郷小学校では、地元農家から地産地消について学んだ。天龍村の伝統野菜「ていざなす」も紹介された。
県が伝統野菜の保存と継承に力を入れている。「松本一本ねぎ」や下条村の「親田辛味大根」など62種類がこれまでに「信州の伝統野菜」に選定された。
選定されていなくても、地域が誇れる農産物はどこにもある。地元で積極的に使う地産地消の流れを太くしたい。