ナガノパープル (信州浮揚の条件)稼ぐ力(中)
製品磨き競争力回復 城下工業や多摩川精機 付加価値高め安売り脱却
■巨峰より7割高
長野県内で新品種のブドウ「ナガノパープル」の収穫面積が急激に伸びている。10年の実績は08年の2倍の42ヘクタール、収量は2.5倍の450トンに拡大しており、今年はさらに伸びるのは確実だ。種なしで皮ごと食べられる高級なブドウとして市場に定着しつつある。
市場では「巨峰」よりも7割近く高い1キログラム当たり1200円程度で取引される。長野県果樹試験場(須坂市)が育種し、05年から少しずつ流通が始まった。育てるのは難しく手間もかかる。
皮が薄く、雨などで破れることも多いが、丸ごとで売れない場合でも数個単位の小分けでばら売りできる。現在、生産量の6割を占めるJA須高(すこう、同)は「ナガノパープルといえば須高と言われるようになる」(境栄太郎・ぶどう部会長)のが目標だ。
信州大の真壁昭夫教授は「長野の中小のものづくり技術は本来きわめて高いのに、海外企業への発注などが増えており、能力を発揮する機会が少なくなっている」と指摘する。競争力を回復するためには技術や製品をさらに磨くしかない。
2011/11/3日本経済新聞