日本経済どう復活 知識産業化、成長のカギ 英エコノミスト誌前編集長 ビル・エモット氏
月曜経済観測
- 2011/1/24 4:00
新興国と先進国の二極化が進む世界経済。日本経済も新興国を中心とした外需への依存を強めている。2011年の課題について、日本経済に詳しい英エコノミスト誌前編集長のビル・エモット氏に聞いた
日本経済をどうみますか。
</form>「日本経済は『弱い内需』と中国などアジア向け輸出による『強い外需』という不均衡にある。内需の低迷で賃金は下がり、設備投資もあまり回復しない」
輸出依存通じず
――製造業中心の輸出依存が続いています。
「それが大きな間違いだ。日本の国内総生産(GDP)に占める製造業の比率は2割、輸出は1割にすぎない。依存するには小さすぎる。かつてはソニー、トヨタ、パナソニックなどがまず日本市場で製品を洗練させて成功をおさめてから、世界に輸出した。日本の消費者の所得は増え続け、製造業も強い生産基盤を国内に持っていた。今はもうこれは通用しない。家計の消費力は弱く日本市場はもはや世界の有力なテスト・マーケットではなくなった」
「一方で日本経済の多くを占めるサービス産業は競争力が弱く生産性も低く、これが所得・内需の低迷につながっている。外需にだけ頼るのは持続可能なモデルではない。製造業が悪いというわけではないが、日本の将来はサービス産業を知識産業として強くできるかにかかっている。ハイテク製造業は知識産業だが、知識型サービス産業は日本にとって残された大きな機会だ」
――サービス産業はどうすれば活性しますか。
「規制緩和とともに知識産業を生む基盤整備も必要だ。高速ブロードバンドなどは発達しているが、大学や職業訓練の学校も国際競争力をつける必要がある」
――政治も不安定で、政策も停滞しています。
「民主党政権も、法人税率下げなど企業部門を活性化する政策の必要性を受け入れ始めたが、一層の規制改革、労働市場改革が必要だ。正社員、非正規社員に分かれた現行制度から、様々な社員が一つの制度のもとで働けるような改革が必要だ」
1980年代の東京駐在以来、日本経済を見つめ続けている。54歳