リーダーには、命令型、民主型、放任型があると言われます。
命令型は、上意下達(じょういかたつ)的で、リーダーの意思や命令を部下に徹底させ、行わせることであります。
民主型は、より多くの意見を聞き、みずから決断し、ともに行うことです。
放任は、何もせずに部下に任せていることです。
多くの人は、リーダーといえば、命令型を考えています。逆に、命令型でもなく民主型でもなく、どうしていいか分からないので放任する上司も増えています。
私が考える理想のリーダーは放任ではなく、しかも部下が、指示などと感じないうちに、いつの間にか組織の目的を達しているような状況です。
私は状況と相手によって、次のように対応しています。
○災害等の緊急の場合は、ある程度命令型にしています。これは複雑な判断はそれほど必要ではなく、判断のスピードがポイントだからです。
○能力があり、自主的に仕事を行える職員に対しては、ほとんど放任に近い権限を委譲しています。
○そうでない場合には、ほどほどの干渉を行っています。
○仕事の基本として、重要な仕事については、目的、目標、手段、日程を決め、適宜に管理をします。
私は、傾聴をモットーとしていますが、お聞きするというとお聞きするだけで決断力、リーダーシップを発揮していないという意見があります。
しかし、今、リーダーシップの基礎はコミュニケーションであり、コミュニケーションを強めるためには、話をお聞きする姿勢が大切であります。さらに、「ひと、もの、かね、情報」といいますが、「もの、かね」が自由にならない場合には、「ひと、情報」が貴重になります。お聞きする姿勢があれば、職員、市民を始め大勢の方から情報が入ってくるとともに、「ひと」が「ひと」を紹介してくれます。お聞きするということは、懐の深さが必要であります。決断力は強く主張することばかりでなく、意見や批判を真摯に受け止め、多方面の状況を把握した上でさまざまな決断をする、あるいは施策を推進することも大切だと考えます。
中国の歴史書『十八史略』に、古代中国伝説上の天子である尭(ぎょう)に関する鼓腹撃壌という故事があります。政治の究極の目的は、鼓腹撃壌にあると感じます。リーダーシップも似ています。
●鼓腹撃壌(http://www.sanyodo.co.jp/contents/05syanaiho/438.
htmlから)中国の歴史書『十八史略』に「鼓腹撃壌(こふくげきじょう)」という故事が出てきます。昔、堯帝は天下を治めること五十年、世の中がうまく治まっているのかどうか、多くの人民が自分を統治者として望んでいるのかどうかを知りたくて、お忍びで町に出かけてみました。すると、一人の老人が口に食べ物を頬張り、「鼓腹撃壌」(腹鼓を打って、地面を踏んで踊りながら)して、次のように歌っていました。「朝になれば仕事をし、夜になれば休息をする。自分で井戸を掘っては水を飲み、自分で田を耕しては飯を食う。帝の力なぞ、自分には関係ない」これは人民から帝の存在を意識されないような政治こそが理想の政治であるという話です。