すずきせいこの「日々雑感」

政治や暮らし、孫のことから平和・原発問題まで“本音でしなやかに”・・・

福島県“放射能汚染被災地”へ

2016年10月07日 | 地震・原発

昨日から2日間、台風一過の中を糸魚川平和委員会で東日本大震災の被災地の福島県南相馬市と浪江町を視察です。昨朝5時30分に糸魚川を出発し、北陸自動車道から磐越自動車道へ東北自動車道まで走行距離約350キロで、飯舘村を経由し「帰還困難区域」を通過するとバスの中の空間線量が高くなり参加者らの緊張感が高まりました。

さらに車窓から目にするのは、どこへ行っても除染土のフレコンバックの大量の山積みで、この仮置き場の異様な光景はいたる所で見られました。そして黒いフレコンバックからは雑草が伸び放題で、それを覆うためにグリーンのシートが覆われていましたが、時間の経過と共に劣化し高濃度の放射能はまた大地を汚染していくことを感じました。

午後からは南相馬市の道の駅で現地の9条の会世話人の方と合流しガイドをお願いで、浪江町に入りました。ここは全域が「避難指示区域」となっており、来年3月に向けて「避難指示解除準備地域」の東京電力福島第一発電所から最も近い4キロ地点の排気塔の煙突が見える請戸地区で説明を受けました。

次に沿岸部で津波と原発の被害を受けて、そのまま残されいる請戸小学校へと移動で、痛々しい体育館の入口に「電源立地促進対策施設」の表示が目に入りました。こうした原発交付金で建設されたハコ物がたくさんあるそうで、原発立地県はどこも同じことが分かります。

小学校から少し高台の地域へ行くと、放射線空間線量を可視化できるようF電気の機器が設置され、ここでは「0.54μsv/h(マイクロシーベルト毎時)」で糸魚川市の約10倍の値です。ところが実際の数値はこの4倍くらいなので、どうしてこのような違いが生じるのかと不思議でしたが、あらかじめメーカーは国と県の指示なのか数値を低く設定しているようなので、東京電力のこれまでのデータ改ざん問題と重ねてしまいました。またここから5メートルしか離れていない側溝の数値は何と「9.99」でこれ以上計測できない数字を示しているので驚きです。

次の視察地は原発から14キロの浪江町の「希望の牧場」です。2011年4月に原発から20キロ県圏内の立ち入り禁止区域となり、被ばくして売れなくなった320頭ほどの牛を生かし続ける牧場主の吉沢正巳さんのお話しを聞きました。原発事故は人間だけでなくあらゆる動植物にも影響を与え、人が避難した浪江の町ではイノシシや猿の姿が何度も見られました。

全町民2万人が避難したままのゴーストタウン化した町内に、建設業者相手のガソリンスタンドが2店舗だけという異様な光景に、参加者らは原発再稼働問題の根深さを考え新潟県知事選挙と結びつけました。現地ガイドをしてくださった9条の会世話人は何度も「放射能汚染は目に見えない」、「人は時間の経過と共に忘れてしまう」と言っていたことが印象で、“放射能汚染被災地”への有意義な視察で、今夜はその一部を書きとめました。