新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

ワクチンによって効きが違うのはナゼ?

2010-04-02 10:22:42 | インフルエンザ:基礎知識/新知見

CIDRAPに阪大微研の仕事が大きく取り上げられています。

「スプリットワクチンと全粒子ワクチンと生ワクチンで効きが違うのは何でやねん!」というのを解明したと。

  • ノックアウトマウスを使用。
  • 免疫反応のカギは、ある受容体(toll-like receptor 以下TLR7)がウイルスを認識するか否か、先天免疫細胞(plasmacytoid dendric cell  以下pDCs) が活性化するか否か・・・である。
  • 不活化全粒子ワクチンではTLR7認識もpDC活性化も両方とも認められた。
  • 生ワクチンではpDC活性化は認められなかった。
  • スプリットワクチンではTLR7に認識されなかった。
  • 過去H1N1に感染したヒト血中では、スプリットワクチンも免疫反応が認められた。
  • したがって、pDCsはプライミング効果に関係していると考察され、この部分を活性化するアジュバントを設計してゆけばワクチン有効性を高めてゆけると思われる。

要約、免疫反応を航空機に例えれば、全粒子ワクチンは左右両エンジンで飛行している状態、スプリットワクチンは右エンジンだけ、生ワクチンは左エンジンだけで飛んでいる状態ということのようです(注:航空機は片肺飛行でも墜落せずちゃんと飛べるように設計されている)。墜落はしないけど、両エンジン動いていた方が安定して快適。でも、片肺飛行でもアジュバントという補助エンジンを持ってきてくっつければ快

ソースは3月31日付CIDRAP↓
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/fs/food-disease/news/mar3110newscan.html
Different immune responses for different flu vaccine formulas

その元ソース↓
http://stm.sciencemag.org/content/2/25/25ra24.abstract

Plasmacytoid Dendritic Cells Delineate Immunogenicity of Influenza Vaccine Subtypes

 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 4月1日(木)のつぶやき | トップ | 4月2日(金)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

インフルエンザ:基礎知識/新知見」カテゴリの最新記事