Recombinomicsが久しぶりに日本のこと言及してるなあと思ったら、感染研データをもとにタミフル耐性についてWHO見解に噛みついているのでした。
- 日本のタミフル耐性について、WHOは治療中ないし予防投薬中のケースとしているが、オカシイ。
- (感染研データを引き合いに出し)ここから読み取れるのは、タミフル耐性遺伝子が市中に、全国的に拡がっていることである。
- 最近感染研が発表した43株のうち、13株はH274Yで、30.2%の高率。しかも13株中10株は同一で、広く拡大(10株は8都道府県にわたる)していることをうかがわせる。
- タミフル耐性の検出率が4.8~5.8%に跳ね上がっており、これも市中への蔓延を指し示す。(一覧表は元ソースクリックで↓)
- H274Y関連は
A/HIROSHIMA/17/2011
A/WAKAYAMA/23/2011
A/SAPPORO/19/2011
A/NIIGATA/51/2011
A/HOKKAIDO/12/2011
A/YOKOHAMA/29/2011
A/NIIGATA/62/2011
A/KOBE/537/2011
A/YAMAGUCHI/35/2010
A/HIROSHIMA/49/2011
う~ん。Recombinomicsは時々から騒ぎをするのだけれど、それはそれとして、無視黙殺してていいのかなあ。「日本の感染研データから、日本全国でタミフル効かなくなりつつあると読み取れます」って世界に発信されているわけで。
リスコミ的には、これ、訂正なり”ご説明”なり見解発表なり何か対応した方がよさげですね。週刊誌にそういう見出しが躍ってしまう前に・・・
ソースは6月19日付Recombinomics↓
http://www.recombinomics.com/News/06191102/H1N1_H274Y_Japan_WHO.html
WHO Inconsistent Comments on Japan H274Y Tamiflu Resistance
感染研が発表した43株のデータということですが、ここで言っているのはおそらく、感染研が各県で分離されたウイルスの遺伝子配列のシークエンスを行い、その塩基配列をデータベースに登録したデータのことだと思います。つまり、感染研が解析してこれは公的に登録しておこうと考えた配列データの数が43だったということで、これに薬剤耐性が高率に含まれていたとしても、日本各地の地名が含まれていたとしても、直接これで日本の流行状況を云々できるデータではないと思います。
実際、感染研のサイトにはちゃんと日本のウイルス流行状況と薬剤耐性ウイルスの検出状況が掲載されていて、異常に薬剤耐性株が多いなんて事実はまったくありませんし、耐性株のほとんどは薬剤投与に関与していることがわかります。
2009年5月~2011年における抗インフルエンザ薬耐性株(A/H1N1pdm)検出情報
http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html#taiseikabu
Recombinomicsの掲載する情報は母集団が何でありそれをどう解釈したのかとか、情報ソースは何でどの程度信用できるのかとかが非常にいい加減で信用できないと私は思っています。
リスコミの問題というより、情報リテラシーの問題だと思います。
コメントに書いていただいたこと、その通りです。
わかりやすく解説いただいたこと感謝で、多くの読者が読んでいただければと思います。
ところで、私の言いたかったことは、それが「あやしいサイト」である事が世間一般に知られていない状況下で、この「あやしい内容」を”海外の研究所のサイト”のクレジット付きで誰かがどこかで(週刊誌・スポーツ紙あたりの想定ですが、一般のツイッター使いあたりでも十分怖い)取上げたらタイミングによっては結構な騒ぎにならないかということです。ここ最近の震災関連騒動でもその手のことありますね。リテラシーの問題、まったくその通りなんですが、専門外あるいは普段関心外のことには一般的にリテラシー高くないことも多いです(たとえば、大恥をしのんで告白しますと、私自身、イソジン飲んだら良いって話には最初騙された)
だから、感染研から「こらっ!アホか。わしらそんな事言うてへんわっ! それはな、こういう事じゃ・・・(簡潔な説明)」という趣旨の上品かつ科学的表現なお言葉を発していただけると不測の誤解の可能性も封じられるのでは(=リスコミ)」という趣旨です。
ところで・・
kakesuさんのコメント、有用な内容が簡潔にして明白、コメント欄の隅っこに置いとくのももったいないので、ご許可いただければ本文に載せたいとも思うのですが、如何でしょうか。
「先般のRecombinomics、若干舌たらずでしたが、ある方からわかりやすいコメントいただきました・・・という趣旨で」
ご利用いただいて構いません。
H5N1などのウイルス感染症情報がWebで盛んに扱われるようになって長いですが、日本で感染症情報を積極的に取り上げているブログやサイトというのはあまり多くありません。そんな中、ここ5,6年、ウイルスに関するデマをたどるとRecombinomicsをソースとした善意の発信元に行き着くことが何回かありました。通常、国内で流れるデマは日本語ソースを源流としています。こちらのブログがデマの震源地とされることのないよう、Recombinomicsをソースとする時には十分な確認が必要だと思います。
ここはまともなウイルス学者が首をかしげるような話を発信していることが多々あるんですが、Henry Niman 博士とやらがどう評価されているのかGoogleに名前をかけてみましたが、このあたりの記述が参考になるのではないかと思いました(英語を読むのが面倒なんでざっとしか読んでないですが妥当な論評だろうと思います)。
Henry Niman: prophet of doom for the Internet
http://www.drmartinwilliams.com/h5n1-poultry-flu-and-migratory-birds/henry-niman-prophet-of-doom-for-the-internet.html
ここを相手にリスコミとして感染研に対策を要求するのも気の毒かなと思います。ユニセフや国連が署名を集めているとか、そういった大規模に拡散したデマであればサイトで告知とかされてましたが、この程度のデマでは直接感染研に取材が来たら個別に対応するという程度の話ではないでしょうか?
同じ畑の人間でないと真偽がわからないデマというのは専門外の人には見極めるのが難しいので、気づいた人が指摘していくしかないなと時間がある時には検証してコメントしたりしているんですが、所詮ネットの片隅の出来事なのかなと持ったりもしております。
先生のブログには有用情報が満載ですのでいつもありがたく利用させていただいておりますが、Recombinomics情報については眉に唾をつけております。
長々とすいませんでした。
サイトの紹介もありがとうございます。
継続的に読んでるとアレレと思うRe~ですが、そのことがあまり日本で知られてないのは要注意ですね。
今後ともよろしく。