今回、最初の激震地となったメキシコからのフライト数と、新型インフルエンザ感染者発生数の間に関連があるやなしや・・・と、IATAのデータを使って解析したものがnew england journal of medicine(米国の著明な週間医学誌。たまに悪口言う人もいるけど世界の最高権威誌という認識でまあ大丈夫)に載っています。
- 2008年の3~4月のIATA運送データを使用。航空便輸送の95%を網羅。 2009年のデータはまだ入手できないが、2008年もほぼ同様。
- 同期間にメキシコから164カ国にフライト、235万人を輸送。
- うちわけ80.7%米国カナダ、8.8%中南米、8.7%西欧、1%東アジア、0.8%その他。
- この航空輸送量と、新型インフルエンザ輸入感染数の間に強い相関関係が認められた。
- 特に、メキシコから1400人以上の旅客到達国ではリスクの明らかな上昇が認められた。
- 航空旅客量の量的分析により、ある国での感染者数を予測たてるのに有用。
要するに、感染国からのフライトがたくさん飛んでくるほど(=人の流れが多いほど)、その国における感染拡大のリスクは高まるのだという順当な推論がちゃんと証明されたということです。
それなら、感染を入れない最良の方法はどこかのように実質的鎖国・・・ということは今更出来ないわけですので、このデータは、流行国と自分の国がどんな関係にあるのかにらみあわせながら対策立てる参考にという使い方をするものでしょう。さしあたり、オーストラリアの直行便の多い日本は、油断状態は困りますよなどと啓発に使えると思います。
なお、このサイトから、パワーポイント形式で図がダウンロード出来るようになっています。職場で地元で新型インフルエンザ講演を予定されている方は利用価値大です。
ソースは6月29日付NEJM↓
http://content.nejm.org/cgi/content/full/NEJMc0904559#T1
Spread of a Novel Influenza A (H1N1) Virus via Global Airline Transportation