新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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病名をめぐる憂鬱、サウジの立場は強固(マーズコロナウイルス MERS-CoV マーズ ほかいくつか)

2013-10-03 07:54:20 | MERS/マーズコロナウイルス/SARS

MERS-CoVがこの名前をつけられるまでの紆余曲咳。病名をめぐる憂鬱は他にもいっぱいあり、、、と興味深い記事発見。

  • マーズのウイルスがMERS-CoVと名付けられるまで紆余曲咳。オランダ・エラスムスのFocher氏によれば、最初、サウジアラビアの患者から見つかったことにちなみ、サウジアラビアを冠した名前をつけたが、サウジ政府が良い顔をしなかった。
  • そこで、オランダ・エラスムスの名前にちなんでHCoV-EMC (for human coronavirus Erasmus MC)と名付けたが、これまたサウジ当局者が良い顔をしなかった。Saudi leaders were not pleased by the new name either
  • そこでまたまた、Fochier氏らは話し合い、全会一致でMERS-CoVと名付けた。

この病名の決定に至るまでには、他にも動きがあった模様ですが、なんでサウジ政府がそんなに口出すの?最初にウイルス分離したオランダの研究所の名前つけるのにまでなんでサウジ政府が反対するの?どんな権利があるの?と疑問がわきますが、実はあるのですこれが。ウイルスを独占(ないし寡占)した立場というのはものすご~く強気に出られるのです。
「言うこと聞かんかったら(研究用の検体)ウイルス、一切出さんかんね」と恫喝したら(実際に恫喝しなくても、おくびにさえ出せば)一発なのです。

管理人がそれを痛感したのが03年SARSのとき。流行が少し下火になった北京で、ASEAN+3 SARSカンファレンスの時でした、学会の形式をとり興味深い報告もなされていましたが(スーパースター鐘南山の講演は印象的だった)、廊下や懇親会やロビーではもぞもぞもぞもぞと水面下活動が展開。SARSの検体(早くいえば患者の痰や鼻汁)の入手獲得をめざした援助の申し出競争。
日本からも誰でも知ってるあの先生やこの先生や、アテンドせよと公電付きで。
 中国側はナントカに泡みたく研究資金をゲット。ある感染症のウイルス検体をもち、それが他の国ではほとんど無いという状況はそういうことになります。

H5N1で、かつて当時のインドネシア保健大臣が、「ウイルス出しても先進国ワクチンメーカがもうけるだけだからインドネシアはH5N1ウイルス提供しない!」とゴネだして世界じゅうを震え上がらせたなんてこともありました。

サウジ以外、カタールやジョルダンは1桁の患者数にとどまる現在、サウジの政治的立場は強固です。

ソースはNDTV
このソースには、MERS-CoVのほかにも、HIVやピクウイック症候群やさらにはナチスの名前を冠した病気まで、病名をめぐるトリビア満載できわめて興味深いです。ぜひぜひ、実際にクリックして全文ご覧ください。
http://www.ndtv.com/article/world/when-diseases-have-a-bad-name-change-is-hard-426573?curl=1380694169

When diseases have a bad name, change is hard


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