新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

SARS騒動再来の足音。SARS類似ウイルスで子豚2万5千匹犠牲(広東省)

2018-04-14 15:50:12 | MERS/マーズコロナウイルス/SARS

2002年から、主として2003年に世界的大騒動を引き起こしたSARSコロナウイルス、この類縁が再来しているらしいと報告。中国広東省。コウモリ→子豚。

  • 中国広東省で子豚2500匹(頭)が死亡する案件があり、調査したところコロナウイルス が原因と判明。現場は、SARSアウトブレイクのインデックスケースが発生した場所からわずか62マイルしか離れていない。
  • 今回、ブタに引き起こした症状は、他の豚腸管感染性コロナウイルスと類似しているが、それらはいずれも検出されておらず、まったく新種と考えられる。
  • 初発の農場から計4か所に拡がり24693匹が死亡。
  • コロナウイルスのうち、ヒト感染するのは6種類しかない。さらにそのうち、これまでアウトブレイクを引き起こしたのはSARS-CoVとMERS-CoVの2種類のみ。
  • ウイルスは遺伝子解析でコウモリのCoV HKU2と一致し、2007年から広東省や香港のコウモリから分離されている。今回のウイルスをswine acute diarrhea syndrome coronavirus (SADS-CoV)と呼んでいる。
  • 著者コメント:今回の知見はまったく想定外のものだった。SARSのときと同種のコウモリが新種のコロナウイルスを持っていることがわかり、今回は豚のあいだで大規模アウトブレイクを起した。ウイルスは罹患した豚から分離されたが、回復した豚や健康豚からは検出されなかった。メス豚よりも子豚の方がより増殖が激しかった。
  • 農場労働者35名についても調査したが、いずれも感染は認められなかった。

  • SADS-CoV と HKU2 CoV の遺伝子解析では95%一致したが、S遺伝子は86%の一致にとどまり、これは2つのウイルスが直接移行したものではないが、祖先を同じくすることを示している。また、2013年から2016年のあいだにコウモリから分離された591検体のうち58検体(9.8%)がSADS-CoVと密接に関連し、すべてはhorshshoe bat(SARSのレザボア)であった。

SARS騒動はどこから来たのか。あの頃、マスメディアも熱いうちにハクビシンまでは特定され、一時は中国の市場から姿を消す状況になりました。しかしハクビシンのさらに源流、コウモリhorshshoe batまで同定できたときには一般世間の関心は冷めていてあまり知られていません。その同じコウモリのなかに、SARSと類似したウイルスが隠然と存在していて子25000匹を感染死させるということを起していました。こちらも鳥インフルエンザと同様、中国南部の火薬庫ぶりを痛感させられます。なりゆきが注目されます。

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New SARS-like virus from bats implicated in China pig die-off


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