「アカが駄目なら、クロがあるじゃん。ついでにスルメ、赤鬼も」
アカムツ釣行が悲惨な結果に終わったその日、親方Jちゃんは
焼き鳥盛り合わせを注文したお返しに、てんこ盛りの釣り物をオーダーしてきた。
「3回続けて釣れないことはないっしょ。今度は釣れますよ」
串に丁寧に塩を振りながら、癒えない傷口にはバッサリと塩を塗りたくる。
そういえば、このところ南房沖合いのクロムツ好釣の報を耳にする。
夏場のスルメ、オニカサゴの釣果も上がってきていると聞く。
ならば、ここは「赤と黒」のスタンダールな釣り物に賭けてみようか。
Jちゃん指定の7月30日(木)、三兎を追う一か八かのギャンブルな釣行にでかけた。
船宿は、道の駅「鴨川オーシャンパーク」の裏手にある
小ぢんまりとした江見太夫崎(えみたゆうざき)漁港の鈴丸。
3時集合と今年いちばん早い召集だったが、
釣りバカは前日2時間も睡眠をとれば十分。
Jちゃんに至っては、店を閉めた後ほとんど寝ていない状態で駆けつけた。
宿には申し訳ないが、この日の乗船者は我われ二人だけの大名釣りとなった。
クロムツのポイントは、一時間近く走った水深150メートル前後…と思っていたら、
港から航程10分ほどの太夫崎沖で、水深は約55メートルしかない。
東の空がうっすらと明け始めた4時前、こんな超近場でクロムツが釣れるのか?
半信半疑の思いを巡らせながら第一投となった。
仕掛けはムツバリ17号のフラッシャー仕掛けでオモリ150号。
幹糸8号、ハリス6号50センチ、枝間100センチの3本バリ。
日が昇るまでが勝負と思い、しきりに誘いを入れるが、なかなか魚信は訪れない。
30分ほどたった頃、「なんか来たみたい」と、
Jちゃんがガクガクと竿先を震わせながら呟いた。
やがて漆黒の海中からポワ~ンと白く浮かび上がってきたのは
25センチほどの小型ながらも、間違いなくクロムツ。
「いるじゃん」と二人ともようやく納得顔になり、真剣に誘いをかける。
するとすぐに自分の竿に小気味よい「ガク、ガク、ガク」のアタリが到来。
上がってきたのは、鋭い歯をむき出しにした30センチ級の本命だった。
その後はバラシもあったが、同サイズのクロムツを追釣して仲良く3匹ずつゲット。
日が昇ってからはアタリが遠退いたため、アジ・サバの土産釣りに移動した。
こちらは、8本バリのフラッシャー仕掛けに鈴なりになってかかってくる。
20~35センチのアジ・ゴマサバに混じり、20センチ強のウルメイワシも顔を見せた。
これで、釣り人ならではの新鮮なウルメイワシの刺身が食べられる。
8時半頃には十分の土産を確保し、次は第2ターゲットのスルメイカへ。
ポイントは江見沖の水深120~170メートル。
18センチ7本のブランコ仕掛けで挑み、着低後に鋭くキュ、キュと
段差をつけて誘うと、期待通りのグイ~ンという重々しい乗りが竿先を曲げる。
第一投とあって追い乗りの誘いもそこそこに電動のレバーを起こし、
途中グイグイと引く心地よい重量感を味わった。
水鉄砲を吐きながら海面から元気よく飛び出してきたのは、
胴長30センチを超える立派な大型スルメイカだった。
この日は中層にもしばしば反応が出ていたようで、
サミングしながらの落とし込みでもよく乗った。
最高4点掛けで1、2杯掛けが中心。一時間弱の短い時間ながら
沖漬け7杯、船上干し9杯、刺身用3杯のスルメを仕留めることができた。
仕掛けマットも投入器もなかったため直結仕掛けは試せなかったが、
底から30~40メートルまで広範囲に反応が出ていたポイントでは
直結でやればさらに釣果が上がっていたと思う。
9時半までにクロムツ、スルメの二兎を仕留め、
最後はいよいよ大本命のオニカサゴ釣りへ。
移動の合間に釣ったばかりのサバを捌き、エサの短冊をつくる。
ほどなくしてポイントに着き、2本バリに幅2センチ、
長さ18センチほどの大き目のエサを付けてスタート。
水深は120~140メートルの比較的なだらかなポイントだった。
短い間隔で大きく竿を振り上げてエサをアピールし、
ジワリ、ジワリと竿を下げながらアタリを待つ。
底潮はあまり動いていないようで、タナを取り直しても
糸の出はほとんど変わらなかった。
こまめに移動を繰り返す船頭に報いることができたのは
4度目の場所移動のときだった。
着低後に糸ふけを取り、竿を聞き上げようとした瞬間、
「コツ、コツ」と小さなアタリながらも期待を持てる魚信がきた。
竿先を送り気味にしてそのまま我慢していると、
すぐに「ゴン、ゴン、ゴ~ン」と重々しいアタリに確変。
ここぞとばかりに大きく竿を立てると同時にリールを巻き上げ
アワセを入れると、グン、グンという確かな手ごたえ。
再度竿を立ててしっかりとハリ掛かりさせ、あとは電動に委ねる。
巻き上げ中、30~40メートルおきにゴン、ゴンと抵抗する引きで本命を確信。
やがて水面下に現われたオレンジ色の憎いヤツ(笑)をJちゃんにタモ取りしてもらい、
体長43センチの中型オニカサゴの顔を拝むことができた。
その後、天秤接続部に3本目の欲バリを付けた仕掛けで同級サイズを追釣し、
Jちゃんも10時半沖上がりの終了間際にご愛嬌のチビオニを釣り上げ、
見事に3種混合リレー釣りの有終の美を飾ることができた。
「アカが駄目なら、クロがある」から、
「クロも良ければ、アカも良い」へ。
深場の良型クロムツと赤オニを求めて…、
スタンダールな釣りが面白い。
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アカムツ釣行
アカムツ釣行が悲惨な結果に終わったその日、親方Jちゃんは
焼き鳥盛り合わせを注文したお返しに、てんこ盛りの釣り物をオーダーしてきた。
「3回続けて釣れないことはないっしょ。今度は釣れますよ」
串に丁寧に塩を振りながら、癒えない傷口にはバッサリと塩を塗りたくる。
そういえば、このところ南房沖合いのクロムツ好釣の報を耳にする。
夏場のスルメ、オニカサゴの釣果も上がってきていると聞く。
ならば、ここは「赤と黒」のスタンダールな釣り物に賭けてみようか。
Jちゃん指定の7月30日(木)、三兎を追う一か八かのギャンブルな釣行にでかけた。
船宿は、道の駅「鴨川オーシャンパーク」の裏手にある
小ぢんまりとした江見太夫崎(えみたゆうざき)漁港の鈴丸。
3時集合と今年いちばん早い召集だったが、
釣りバカは前日2時間も睡眠をとれば十分。
Jちゃんに至っては、店を閉めた後ほとんど寝ていない状態で駆けつけた。
宿には申し訳ないが、この日の乗船者は我われ二人だけの大名釣りとなった。
クロムツのポイントは、一時間近く走った水深150メートル前後…と思っていたら、
港から航程10分ほどの太夫崎沖で、水深は約55メートルしかない。
東の空がうっすらと明け始めた4時前、こんな超近場でクロムツが釣れるのか?
半信半疑の思いを巡らせながら第一投となった。
仕掛けはムツバリ17号のフラッシャー仕掛けでオモリ150号。
幹糸8号、ハリス6号50センチ、枝間100センチの3本バリ。
日が昇るまでが勝負と思い、しきりに誘いを入れるが、なかなか魚信は訪れない。
30分ほどたった頃、「なんか来たみたい」と、
Jちゃんがガクガクと竿先を震わせながら呟いた。
やがて漆黒の海中からポワ~ンと白く浮かび上がってきたのは
25センチほどの小型ながらも、間違いなくクロムツ。
「いるじゃん」と二人ともようやく納得顔になり、真剣に誘いをかける。
するとすぐに自分の竿に小気味よい「ガク、ガク、ガク」のアタリが到来。
上がってきたのは、鋭い歯をむき出しにした30センチ級の本命だった。
その後はバラシもあったが、同サイズのクロムツを追釣して仲良く3匹ずつゲット。
日が昇ってからはアタリが遠退いたため、アジ・サバの土産釣りに移動した。
こちらは、8本バリのフラッシャー仕掛けに鈴なりになってかかってくる。
20~35センチのアジ・ゴマサバに混じり、20センチ強のウルメイワシも顔を見せた。
これで、釣り人ならではの新鮮なウルメイワシの刺身が食べられる。
8時半頃には十分の土産を確保し、次は第2ターゲットのスルメイカへ。
ポイントは江見沖の水深120~170メートル。
18センチ7本のブランコ仕掛けで挑み、着低後に鋭くキュ、キュと
段差をつけて誘うと、期待通りのグイ~ンという重々しい乗りが竿先を曲げる。
第一投とあって追い乗りの誘いもそこそこに電動のレバーを起こし、
途中グイグイと引く心地よい重量感を味わった。
水鉄砲を吐きながら海面から元気よく飛び出してきたのは、
胴長30センチを超える立派な大型スルメイカだった。
この日は中層にもしばしば反応が出ていたようで、
サミングしながらの落とし込みでもよく乗った。
最高4点掛けで1、2杯掛けが中心。一時間弱の短い時間ながら
沖漬け7杯、船上干し9杯、刺身用3杯のスルメを仕留めることができた。
仕掛けマットも投入器もなかったため直結仕掛けは試せなかったが、
底から30~40メートルまで広範囲に反応が出ていたポイントでは
直結でやればさらに釣果が上がっていたと思う。
9時半までにクロムツ、スルメの二兎を仕留め、
最後はいよいよ大本命のオニカサゴ釣りへ。
移動の合間に釣ったばかりのサバを捌き、エサの短冊をつくる。
ほどなくしてポイントに着き、2本バリに幅2センチ、
長さ18センチほどの大き目のエサを付けてスタート。
水深は120~140メートルの比較的なだらかなポイントだった。
短い間隔で大きく竿を振り上げてエサをアピールし、
ジワリ、ジワリと竿を下げながらアタリを待つ。
底潮はあまり動いていないようで、タナを取り直しても
糸の出はほとんど変わらなかった。
こまめに移動を繰り返す船頭に報いることができたのは
4度目の場所移動のときだった。
着低後に糸ふけを取り、竿を聞き上げようとした瞬間、
「コツ、コツ」と小さなアタリながらも期待を持てる魚信がきた。
竿先を送り気味にしてそのまま我慢していると、
すぐに「ゴン、ゴン、ゴ~ン」と重々しいアタリに確変。
ここぞとばかりに大きく竿を立てると同時にリールを巻き上げ
アワセを入れると、グン、グンという確かな手ごたえ。
再度竿を立ててしっかりとハリ掛かりさせ、あとは電動に委ねる。
巻き上げ中、30~40メートルおきにゴン、ゴンと抵抗する引きで本命を確信。
やがて水面下に現われたオレンジ色の憎いヤツ(笑)をJちゃんにタモ取りしてもらい、
体長43センチの中型オニカサゴの顔を拝むことができた。
その後、天秤接続部に3本目の欲バリを付けた仕掛けで同級サイズを追釣し、
Jちゃんも10時半沖上がりの終了間際にご愛嬌のチビオニを釣り上げ、
見事に3種混合リレー釣りの有終の美を飾ることができた。
「アカが駄目なら、クロがある」から、
「クロも良ければ、アカも良い」へ。
深場の良型クロムツと赤オニを求めて…、
スタンダールな釣りが面白い。
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