勢いがあったというか
気持ちがたかぶっていたのは
スタートするまでのこと
走り出してからは
周りのランナーたちの速さに驚くばかりで
同じクラスのランナーたちか?
そう思いながら追い抜かれ続けていると
気持ちが徐々に萎え始めてきて…
どれくらいのスピードで走ってるのか
GPSウォッチを覗くとキロ6分前後…
たしかに
決して速くはないけど
メチャクチャ遅いわけでもない
なのに
ごぼう抜かれ?と言えばいいのか
後方から僕を容易く追い抜いて行く
多くのランナーたちの背中を
呆然と見送るだけだった
彼らや彼女たちについていこうと思っても
なかなか脚が思うように動こうとはせず…
ダッシュのつもりで走れば
数百メートルくらいはついていけそうだが
あとが持つはずがない
まだ練習の疲労が抜け切っていないのかもと
そんな不安を抱えながら
できるだけポジティブに考えようとしたものの
もちろんそんなに簡単なわけには…
不安的中
10キロ過ぎで僕の脚は売り切れ状態
あと30キロほども残りがあると思うと
地獄のような闘いが思い浮かび絶望的に…
文字どおり
地獄のようなゴールまでの長丁場が
心の折れたジジイを待ち受けていた
10キロ過ぎから再発した右膝のカックン病や
その度にコケそうになって走る右足首の痛み
そして段々と頻繁になってくる
太もも裏や股関節周りの痙攣気味の症状…
いろんなトラブルに悲鳴を上げながら
なんとか走り続けていた
本当に「なんとか」がんばって…
30キロ過ぎ以降になって
唯一の励み?になったのは
歩き始めた若いランナーたちを
遅いながらも追い抜くこと
自分より年上のジジイに追い抜かれることほど
ダメージの大きいものはない
僕自身の経験から言って…
とは言え
歩いてるランナーたちを追い抜くことが
それなりにモチベーションになったものの
つい歩きたくなるほどのシンドさは変わらない
上げようと思っても
上がらないのだ脚が…
そんな苦痛に耐えながら
なんだか妙に
その苦しさに懐かしさを覚えていた
あぁ
この苦痛こそ本当のマラソン大会なんだと…
そう心の中で苦笑いしている自分に気づき
2年ぶりのホンモノの苦痛を味わうことに
なぜだか嬉しく感じていた
ただ
5時間は軽く切れるだろうと
そう思ってた甘い考えは
距離を進めるごとに段々と黄色信号に…
それでも頑張り続け
迫るタイムとの闘いにもがきながら…
自分の感覚ではやっとのことでゴールできて
ゴールと同時に倒れるかもと思ったが…
ゴール後は
予想外になんでもなかったような顔で
走り終えたコースに一礼したあと
係員の指示に従っていた
もちろん倒れることもなく
GPSウォッチのスイッチを押し
スマホのランニングアプリを止めていた
その冷静さに
自分でも拍子抜け?
10年ほど前の
初フルマラソン完走時のように
溢れんばかりの涙が頬を伝うことはなかった
結果
全然燃え尽きることができなかった
2年ぶりのフルマラソン
ネットタイムでは
ギリで5時間を切れたものの
グロスタイムでは5時間オーバー
不甲斐ない結果に
情けなく思うとともに
1日経っても筋肉痛も出ていないし
軽い捻挫のような足首の痛みだけ…
そんな状態から
空振りに終わったような気がする
今回のマラソン大会本番
唯一の道しるべだったはずなのに
こんな気持ちになるなんて…
何がダメだったんだろう?
どこが悪かったんだろう?
燃え尽きないまま…
今日から始まった
来年4月の地元県内のマラソン大会
すぐにエントリーした
もう一度
心底燃え尽きなくてはと
そう思いながら…
手にした完走メダル
何故だか虚しい思い…