ありふれた人生
もう何も考えまい
君が欲しかったものも
僕が欲しかったものも
生きていくことの愚かささえも…
天気の良い日は走る
どんなに寒かろうと…
毎日走ってるんですか?
う〜ん…
だいたいは…
この間○○ちゃんが
ジイちゃんって毎日走ってるんだよって
自慢げに言ってて…笑
どれくらい走られるんですか?
う〜ん…
日によって違うけど
平均で10キロくらいかなぁ
月に200キロ台ってとこか…
毎月200キロも走ってるんですか⁉︎
それじゃあ
マラソン大会とか出れるじゃないですか!
うん出てる!
出てますよ!
何度も…
(返事するジジイこそ自慢げじゃないか!笑)
最近
久しぶりに女性と交わした会話らしい会話
通院する内科医院の看護師さん以外で…
僕自身に関する話題の…
相手は
初孫くんが通うこども園の先生
アラフォーくらいの…
リタイアしたばかりの頃は
仕事を辞めて何してるんですか?とか
何人からかそんな問いかけが続いたけど
3年も経つとさすがにもう…
だからなのか
久しぶりの女性との会話
不思議と
自分でも顔が紅く染まるのを感じた
(純真な少年か?不良ジジイのくせに…)
そうなんだぁ…
驚いたように
彼女は目を丸くして
僕の顔と脚を食い入るように見つめながら
ウンウンと頷いて…
人は見かけによらないってとこなのか?
こんなイイ歳のジジイが走ってるなんて…
たしかに…
いや…
そうでもないのかもしれない
納得するように
頷いてるところを見ると
ジジイのくせに
どうしてスキニージーンズを履けるのか
その訳がわかったのだろう
といっても
マラソンを走ってるから
スキニージーンズを履いてるわけじゃなく
単なるチャラ息子のお下がりなだけで…
ただ
このジーンズを履いてると
やたら若いおニイちゃんみたいだと言われる
それがほめ言葉なのか
若づくりへの皮肉なのか
よくわからないけど…
まぁ実際は
見た目がイタいジジイってとこなんだろうな
きっと…
茶髪も
アゴ髭も…
勘違いの…
だろうな…
粋な大人には
ほど遠い…
昨夜の初孫くん
少しばかり機嫌は良くなかったけど…
なんでも
遊びに夢中で
お昼寝が出来なかったからだと
愛想の良いママの苦笑い…
毎週土曜日の夜は
チャラ息子一家と
我が家での晩飯が最近の定石
彼らにとって
それが良いのか悪いのか…
料理好きなカミさんには楽しみというか
息が詰まるほどのジジイとの暮らしの中
一石二鳥のハケグチ?になってるようで…
ひととおり晩飯を済ませたあと
みんなのいるリビングから離れ
ダイニングで一人
グラスを傾けながらYouTubeを聴いていると…
機嫌の直った初孫くんが
僕のもとにやってきて
何してるの?と…
音楽聴いてるんだよ
○○くんも聴く?
うん!
イヤホンの片方を初孫くんの耳に当て…
聴こえる?
聴こえる…
これなぁに?
これはね
タカナカっていう人のギターだよ
ギター?
そう
ピアノでもなくて
バイオリンでもない
ギターって楽器でカッコイイだろ?
ジイちゃんも昔弾いてたんだよ〜
ふ〜ん…
そんな会話を交わしながら
65歳のジジイと3歳の孫のコンビで
激しいリズムに合わせて
身体を揺すっていた
そんな仲良しコンビ?の姿に
リビングから
愛想の良いママの笑顔が向けられて…
リズムをとりながら感じていた
息詰まるカミさんとの暮らしの中
まるで絵に描いたような
幸せなひとときのオアシスだと…
朝起きて玄関を開けると
晴れるような
そうでもないような
ビミョ〜な空模様…
ただ外気は刺すほど冷たく
この地じゃまだ少し
春は遠いのかも…
それでも
ウェアに着替えて
二日酔い気味の身体を覚ますかのように
いつものコースへ走り出そうと…
重く鈍い足取りで走り出すと
すぐに軋み始める足首や膝腰の節々
こんな寒さの中なら
老いぼれの肉体じゃ
いつも以上の暖気運転が必要なのに
一刻も早く走り出したいがために…
今日は久しぶりにLSDといくか?
昨日の10キロで足首に結構な違和感が残るけど
できれば20キロ
少なくとも15キロ以上は…
ゆっくりならなんとか…
予想どおり
なんとかギリギリの16キロラン…
明日は少し短めの距離を
変化走かペース走で…
そんな素人ランナーの
ジジイのランニング生活
初孫くんと一緒にいるときも
ひとときのオアシスだけれど…
走ってるときも
この上なく幸せに感じられる
ひとときのオアシスだと…
気がつけば
もう3月…
暖かかった月間の昨日は走ったけど
火曜の今日はどうやら朝から雨模様…
なので
走りたくても走れないから
初孫くんをこども園に送り届けたあと
朝から久しぶりの朝呑み三昧?
そう…
でも
こんな生活でいいのだろうか?
そう自分に問いかけながらも
残り少ないジジイの暮らし…
どっちみち
大した人生じゃないからさ
いまさら…
とりあえず
こんな朝呑みもリタイアしてからこその天国?
そう思いながら
間違った自己肯定をしてしまうのも
この歳になれば
ある意味で必要なのかも…
って
そんなわけはないか?
ないよなぁ…
2月末の琵琶湖毎日マラソン
3月になったいま
誰もがアップしてしまって
すでに旧聞に属すのかもしれないけど…
日曜の午前中
TV画面の前で
缶ビールを手にしながら
みっともなく興奮していたジジイ
好天日和の日曜の午前中
2月末日ということもあって
せめてジョグくらいは走りたかったけど…
走らなくて良かった
マラソン中継を観てて良かったと…
というのも
信じられない日本新記録!
2時間5分切りという…
あんなに小さな身体なのに…
スズキケンゴって
神大時代から
それなりに期待はしていたものの…
MGCでも
一時はトップに立ったりして…
ちょうど?
素人ランナーのジジイの40歳年下
そんな彼の偉業に身体が震えてた!
特に後半のペースに…
力強く走る彼の姿を写すTV画面の前で
日本新記録が出そうな予感に
缶ビールを握りしめて
思わず声に出たガンバレ〜!という大声
自分でも驚いていた
それほど興奮していた?
そう!
彼の日本人離れした骨盤の前傾が…
僕は
単なる素人ランナーのジジイでしかないし
トップランナーたちと比べられるほどの
そんな実力すら微塵もないけど…
それでも
走ることの楽しさ面白さ
素晴らしさだけは
わかってるつもりだと…
そんなことより
なんといっても
2時間5分切りだぜ!
大迫超えの…
琵琶湖毎日マラソンを見た後の翌日
故障が途切れないポンコツの足腰を抱えながら
走りはじめた3月初めの月曜ジョグ…
せめて
10キロ以上は走りたいと…
そう思って家に近づき
13キロに達しようとしたときに
大通りの反対側の歩道
散歩しているこども園児の列を見つけた
ひょっとして
初孫くんのこども園?
もしかして
彼がいるかもしれないと
ハッキリしない老眼の目を凝らすと…
居た!
見覚えのあるシャツとズボン!
お〜い!
○○く〜ん!
思わず大声で彼の名を呼びかけると
茶髪のロン毛と白い顎ひげに
本人よりも先に
こども園の先生たちが反応し…
あっ!
○○ちゃんのおジイちゃんだよ〜!
走ってるよ〜マラソンしてるよ〜!
その声を聞いて
はじめて初孫くんが
手を振る僕に手を振り返してきたものの…
いつもと違う
ジョギングウェアの僕がジイちゃんだと
彼は本当に気づいてたのだろうか?
疑問に思いながらも…
でも気づいたのだろう
たぶん…
白い髭と
キャップからはみ出した
茶髪のロン毛で走る姿が
いつものジイちゃんだと…
あと10数年して
僕が亡くなったあと…
初孫くんは
僕のことをちゃんと覚えてるだろうか?
覚えていてほしい…
いつも
無駄に?走っていたジジイのことを…
覚えていてほしい…
初孫くんだけには…