ありふれた人生
もう何も考えまい
君が欲しかったものも
僕が欲しかったものも
生きていくことの愚かささえも…
昨日
初孫くんとこども園から帰ってきたあと…
明日はお休みだよ
知ってるよ
ママが言ってたよ
天皇陛下の誕生日だからね…
だれ?
天皇陛下…
テンノーヘーカ…?
天皇陛下っていう人で
日本で一番偉い人なんだよ
その人のお誕生日はお休みになるの?
そう…
○○くん(自分)のお誕生日も
お休みになるの?
いやならない…笑
どうして?
5歳の初孫くんが
疑問に思って訊ねてくることに
わかりやすく説明するのは難しい
こども園や小学校の先生なら
わかりやすく上手に
説明できるんだろうけど…
余分な知識でガチガチに凝り固まった
老いぼれジジイの頭じゃ
なかなかうまく説明できず…
教えたつもりが
逆にその理由を求める難しい質問で
返り討ち…?
オトナってわかってるようで
本当はハッキリ知らない事ばかりのまま
周りに流されながら生きているのかも…
でも
そのうち初孫くんも
余計な知識が次々と刷り込まれ
段々と哀しいオトナになってくんだろうなぁ
その頃まで
僕は付き合って行けるんだろうか?
初孫くんと…
そんな天皇誕生日の今日
昨日のKO気味だった
スロージョグの雪辱を果たそうと
同じコースの13キロに向けGO!
スタート時は
冷たい霧雨で煙っていたが
やがて陽が出て俄かに気温も上がり始め…
スロージョグとはいえ
走り終える頃にはスッカリ汗だく…
結局
昨日のKOの雪辱を果たすことはできず
今日もまたKO気味の返り討ちに…
お馴染みの
坐骨神経痛とシモヤケにヤられて…
走り出してまもなく
近所の年下の知人と遭遇し
手を挙げて挨拶すると…
こんな寒い日も走ってるんですか?
いや〜感心するわぁ
オレにはとても真似できないなぁ
笑いながらそう言われたけど…
全然感心されるようなことじゃないと
思いつつ彼を後にした
確かに走ること自体は好きだし
好きだから走ってるのは間違いないけど
僕にとって走ることは
もっと別の意味もあって…
仲の悪いカミさんと
同じ家の中に居るのが嫌なことも一つだが…
それは言い換えれば
家の中に自分の居場所がないということ?
家の中というか…
たとえ
カミさんが出かけて
家の中に僕ひとりで居たとしても
家の中には僕の居場所はない
もちろん
いつも座ってるDKに僕の席もあるし
僕ひとりの部屋というか寝室もある
テレビもあってエアコンも付いた…
でも
そこは決して僕の居場所ではない
居場所というよりは
そこに居ても構わない場所でしかない
僕の本当の居場所は家の中じゃなく…
家を出て走り始めてから
走り終わって家に帰ってくるまでの
わずかな時間の間でしかなく…
走ってるときだけが
唯一の僕の時間
僕の居場所なのだと…
上手く説明できないけれど
仕事をリタイアしてから
そんなことを強く感じている
だからこそ
雨が降ってビショ濡れになろうと
雪が降ってガチガチ震えようと
走り続けているのだと…
走り始めたキッカケは
十何年も前
100キロ近くあった体重を単に減らすため
健康のために歩き始めたことだったが…
歩くだけじゃなかなか体重も落ちず
やがて少しずつ走るようになって
そのうち大会にも出るようになり…
そんな中
まだ走る前で10キロほど痩せた頃
以前から好意を寄せていた
30歳近くも年齢差のある独身の若い子と
道ならぬ恋に堕ち…
そのことに悩みながら
自分でどうすることもできず…
その悩みを払拭して
どうにかして自分を保つために走り始め…
付き合ってる間
ずっと走り続けるハメに…
そして
断腸の思いで彼女と別れてからは
その彼女を忘れるためにずっと走り続け…
気がつけば
いまもまだ延々と走り続けている
別れた彼女は誰かと結婚し
いまは母親になっているはず…
僕もいまは
彼女のこと何とか忘れることができたけど
それでも走ることはやめないでいる
というのも
僕にとって走ることは
彼女と別れる前から
僕の一部になってしまっていたから…
いや
大袈裟に言えば
走ることが僕自身なのだと…
でも決してアスリートなんかではない
タイムや距離はもちろん大切だけど
そのために走ってるわけじゃなく…
ただ単に走ること自体が
僕自身なのだと…
だから
坐骨神経痛やシモヤケに
こんなに痛めつけられながらも
走ることをやめられないのだと…
走るのをやめることは
僕自身をやめることに等しいと言っても…
この先もっと老いぼれて
大会に出ることができなくなったとしても
勘違いのポンコツジジイは
ずっと走り続けるに違いない
やっぱり
上手く説明できないけど…
僕が僕であるためには…
8キロあたりに差し掛かったとき
いつもは別の田園コースで遭遇する
僕と似たような歳周りの白髪頭のジイさんと
偶然にもすれ違って…
いつも僕と同じように
ガチに速く走ってるわけじゃなく…
同じジジイ同士
すれ違いざまには
お互いに頭を下げて挨拶するのだが…
いつもすれ違うのは田園コースで
彼の自宅から2〜3キロほどの郊外だけど
今日すれ違ったのは街中コースで
たぶん5〜6キロくらい離れた地点
僕の反対側から走ってきたということは
おそらく15キロくらいは走っているのか?
まぁ
僕も連チャンで13キロ走ってるジジイだし…
え?
ひょっとすると
彼もまた僕と同じように
走ることが自分の居場所なのか?
そんなジイさんなのか?
かも…
まぁ
いろんな人がいるさ
全然違う考えの人
似たような考えの人…
だから
僕と同じような想いを持つジイさんが
隣町にいたって何の不思議もないさ
向こうもそう思ってるかもしれないし…
いやもしかして
向こうの方が不審がってるかもしれない
このジジイしょっちゅうすれ違うけど
何を考えて走ってるのかと…
しかも老いぼれらしからぬ
ロン毛茶髪でヒゲの変なジジイだし…
お互いさまか?
そうかも…
亡くなる2週間前
歩くのも覚束なくなっていた痛々しい姿
僕のスマホの中で眠り続けている
毎年2/22はニャンコの日
我が家のミ〜ちゃんが亡くなってから
はや6年半が経ってしまった
生まれたばかりの捨て猫
小学生だったグウタラ娘が拾ってきて
それ以来19年間も我が家の一員として…
グウタラ娘が大学院を終了して数年後
大都会へ嫁いでから1年足らずで
天に召されたときは…
グウタラ娘に続いて
もう1人の娘を失ったようで
遺骸を前に一晩中呑み明かしてしまったのが
昨日のようにも思える
いまは前庭の真ん中あたり
居間からすぐ見える地中で眠っている
墓標代わりのソーラーライトの下で…
今冬はさぞ寒かったことだろう
守ってくれるはずの大松も枯れちゃったし…
生命あるもの全て
いつかは終わりを迎えるのは
どうしようもないけど…
やっぱり哀しい…
薄っすらと綿帽子を被ったような
朝方の景色
午後になると跡形もないほどに…
初孫くんを送り届けたあと
走ろうかどうしようか迷っていたものの
無理を押して走って良かった
こんなに良いお天気になったから…
走りはじめた頃はゲキ寒で
まだ雪も残っていたけど…
走り終えた1時間半後はお陽さまも顔を出し
すっかり春めいた景色のようで…
ただ
相棒の坐骨神経痛とシモヤケは
相変わらず猛威を振るうばかり
特に今日は大変だった
久しぶりのKOを食らった感じの
スロージョグ13キロ
痛みの止まない坐骨神経痛とシモヤケを
最後まで引きずりながら
青息吐息でやっとのゴール
こんなに不調なら
10キロで打ち切ればよかったと…
でも大会も近く
今日は13キロって決めたたからなぁ
本番のマラソン大会まで
もう20日を切っちゃって…
大会事務局から
すでにゼッケンなんかも届いているし…
実質的に練習できるのはあと2週間ばかり
まぁ今の調子じゃ
とても練習とは呼べないヒドさだけれど…
20キロ走はもう無理か?
何とか42キロの長い距離に
持ち堪えるために
少しでも走り続けて足腰鍛えておかないと…
マジに大丈夫かなぁ…
昨日
税務署で確定申告を終えた所得税
今日
銀行で納めてきたけど…
あらためて
税額の大きさにガックリ?してしまい…
よくよく考えると
住民税もこの1/3ほど課税されるはずで…
それを思うと
すでに今の時期から意気銷沈というか
ブルーな気分
まぁしょうがないと言えば
しょうがないんだけど…
もちろん
税金のことは予め承知していたことだし
税金も含めて売却代金の使い途
離れの解体費用や息子家新築の贈与など
いろいろ検討していたんだから
いまさら…
でもやっぱり
多額の税額の現実を目の当たりにすると…
すでに売却代金も底をついたも同然
年金暮らしのプータローのジジイ
カミさんも同じプータローだし…
この先
あと何年生き続けるかも分からず…
そろそろ
いつ大病を患ってもおかしくない年頃
罹るんなら
生命保険が適用されるうちじゃないと…
マジに大丈夫かなぁ…
呑気に走ってる場合じゃないかも!
昨日に続いて
今日も酷寒の様相
一昨日までで
すっかり雪がとけたはずの前庭も
今朝は再び薄っすらと雪化粧のヨソオイ
お天気アプリの情報だと
どうやら西高東低の典型的な冬型配置
これじゃ寒いはずだぜ〜
積雪自体はそれほどでもないけど
いつものジョグをスタートする時間帯
午前9時の気温は−0.2℃
この気温じゃとても走れそうにない
お供の坐骨神経痛とシモヤケが
大きな悲鳴をあげるだけ!
ただでさえ
走らなくても痛いのに…
なので
今日は否応なく?休足日に…
ということで…
去年に隣の空き地を売って
譲渡所得の確定申告が必要なため
空いた時間でその手続きに着手…
すでに2/16から申告時期に入ってるので
国税庁がやたら宣伝している
自宅からのe-Tax申告を試みてみようと
スマホを手にしてみたものの…
老いぼれジジイにとっては
入り口のQRコードの読み取りだけが順調で
そこから先は何をどうしてよいのやら…
ワケのわからない高い障壁?
を前に呆然とするだけ…
不自由な近視と乱視の老眼を駆使して
しばらくスマホと格闘してみたけれど
ほとんど進展がなく
同じ画面のままずっと足踏み状態
ITに通じた若い世代には便利な仕組みでも
スマホの1/10の機能すら使いこなせない
老いぼれジジイにとっては
難解で厄介な手続きでしかない
世の中
いろいろと便利になったように思えるが
時代遅れの老いぼれジジイには
何かと生きにくい時代になったものだと…
厄介なのはジジイの方だな?
なので
e-Tax申告は諦めて
メンドくてイヤだなぁと思いながらも
午後から直接税務署へ赴くことに…
幸いにも道路の雪もとけて
地上最低高の低い軽オープンカーでも
支障なく走れそうだったから
まだ良かったけど…
税務署の1階受付で入場整理券を受け取り
3階の申告会場まで上がると
すでにたくさんの申告者の数!
こんなにもいるのかと
あまりの人数に唖然としたが…
どうやら
申告内容によって区分されているらしく
土地の譲渡所得の申告ですと係員に告げると
別の番号整理券を手渡された
その番号が49番!
不吉にも死と苦の番号?を渡され
番号からしてツイテないじゃないかと
苦虫をつぶしつつ案内されるがままに…
しかしながら
待合席に座ると先客が5人だけしかいなく
待ち時間も10分くらいで順番が回って来て
番号を呼ばれ申告席へ…
番号は不吉だったが
待ち時間はラッキー!
椅子に座って契約書などいろいろな書類を
カバンから出したものの
何やかやと手間取っていると…
私が探した方が早いと思いますが…と
向い席の中年男性の担当者に促されて
言われるがままに…
僕もすっかり歳を取ったもんだ
こんな中年オジさんから
まるで何も出来ないジジイ扱いのテイ…
まぁそのとおりで間違いないか?
e-Tax申告もできないようじゃ…
(ガックリ…)
売買相手が3者いるから
契約書も3つあることなどを告げ
たくさんの書類から
年金の源泉徴収票なども
サッサと手渡したせいか
思いのほか短時間で終了…
と思ったら
まだ終了したわけじゃなく…
付箋を付けた必要書類と不要書類に分け
必要書類だけを次のブースに提出せよと
中年オジさんから事務的な口調で指示され…
一瞬機械的に扱われ不快な気もしたが
そうしないとたくさんの申告者たちを
短時間で効率よく捌けないのだろうと
半ば納得した次第
指定された次のブースでは
実際にPCに打ち込んで
申告書を作成する作業になるらしく…
案内係にご自分で入力出来ますか?
それとも出来ませんか?と問われて
大きく首を横に振った
本当は
できるわけないだろうと
言い返したたかったけど…
案内係も全ての申告者に
一様に尋ねることになってるのだろうと…
じゃあアソコの係の所へ行ってください
そう言われて
会場でお揃いのピンクのジャンパー?を着た
若そうなおネエちゃんのモトまで…
よろしくお願いしますと頭を下げると
マスク姿のおネエちゃんはニコッと
目で微笑んだ
(若いおネェちゃんにだけは愛想がいい?)
若いからPCの扱いは結構慣れてる感じで
キーボードもマウスも難なく
書類を見ながらテキパキと…
しばらくして
坐骨神経痛が痛み始め
立っているのが辛くなってきて…
申し訳ないけど座ってもいいですか?と
若いおネェちゃんにたずねると
すぐに丸椅子を用意してくれ…
背もたれのある椅子にしますか?
もしそっちの方が楽になるのなら…
いえ
座るだけで充分なので…
なかなか気の利きそうな子じゃないかと
座りつつあらためて彼女を観察してみると…
ん?
デニムのジーンズにスニーカー?
最近じゃ税務署職員はこんなラフな感じ?
そう思いながら
流れるような彼女の手捌きを眺めていた
そして
こんなに時間がかかるんなら
やっぱり座れて良かったと…
とてもこんな長い時間の立ちっぱはムリで…
しばらく経ってから
彼女が合図して誰かを呼んだ
呼んだのは
責任のある立場の若い女性みたいで
一応入力ひと通り終わりましたので
確認してもらえますか?と訊いていた
目を丸くして
2人の若い女性を見比べていると…
私はバイト
この人は税務署の職員さん
親切にも手のジェスチャーを付けながら
わざわざ丁寧に僕に説明してくれた
へぇバイトなのに
あんなにテキパキと作業できるんだぁ
バイトってことは学生さん?
はい
この時期って学校は休み?
あ…もう受験時期真っ盛りか〜
もう4年生なんですよ
じゃあ
すぐに卒業して社会人じゃん!
いえ実は卒業後に留学の予定で…
留学?
どうやら
K国語を専攻していたらしく
卒業後K国の大学に自費留学するみたいで…
確定申告の仕事に関係のないことだから
嫌がるかと思えば
僕の質問にレスポンスよく答えてくれるので
彼女といろいろな話をした
お金かかりそうだけどどうするの?
奨学金とかは返さなくていいの?
親御さんが大変だよねぇ?
留学後はどうするの?
とか…
そんなことにも逐一笑顔で答えてくれて…
見た目だけじゃなく
利発で性格も良さそうな女の子だと…
(かなりモテるタイプかも…?)
すぐそんな風に思ってしまう
根っからのエロジジイ…
嫌がらずに話してくれたのは
僕が茶髪でロン毛の「イカした」ジジイ?
じゃなくて「イカれた」ジジイで…
しかも勘違いしかない
友達感覚の若者の言葉遣いだったから?
かもしれない…
よく見ると
背は低かったけど
結構可愛かったし…
ポンコツなジジイが
そんな若い子と話せるなんて
直接税務署へ申告しに来て良かったなぁと…
渋々出向いた税務署での確定申告書で得た
思わぬ収穫?
長い人生だから
棚からぼたもち?
瓢箪から駒?
的なこともあるさ…
もしかして神様が
ご褒美に手配してくれたのかもしれない
(何のご褒美に?)
そんな都合のいいことばかり
勘違いしてるようじゃ
まだまだ
エロジジイは卒業できないなぁ…
(卒業したくはないけど…)
朝の早い時間は
まだ陽が射してたのに…
初孫くんをこども園に送る頃には
小雨がぱらつき始め…
そして
何より風が冷たくて
走ろうかどうか迷うほどの…
だけど昨日
京都マラソンを走ってきたメンバーたちに
負けてなるものかと無為なモチベーション?
フツフツと湧いてきて…
小雨がぱらつく中を
いつものスロージョグに向けてGO!
お供の坐骨神経痛は
結構な寒さに関わらず
そこそこおとなしくしていたが…
最近ガンコになりつつあるシモヤケは
老いぼれジジイを痛みつけるのに
さらにやっきになって…
それでも
昨日は休足日だったから
できれば15キロをと思いつつスタートした
これくらいの小雨なら何でもないなと
割と順調にステップを踏んでいたが…
5キロを過ぎたあたりから
小雨が本降りになり
ついには雪混じりのミゾレに変わって…
被ってた帽子からシューズまで
グッショリと濡れてしまった身体に
吹き付ける風はやたら冷たくて…
どう頑張っても
走り続けられたものじゃなく…
結局
15キロの予定をショートカットして
10キロをヘロヘロになって走るのが
精一杯の限界…
いつものシャワーの温かさが
天国に思えたのは錯覚でもなく…
走り始めは3〜4℃くらいあったはずなのに
走り終えてから再確認すると1.8℃!
寒かったはずだ…
雨水の昨日は雨でもあんなに暖かかったのに
今日になって真冬に逆戻りするなんて…
無駄に三寒四温とは言わない時期?
なんだよなぁ…
《バイトのお姉さんfin》
微かに触れるだけでいいから
そう思って
眠ってしまったバイトのお姉さんの唇に
僕の唇を重ねようとしたとき…
絶対にキスも何もしないから
嘘はつかないから…
そう言った自分の言葉が
盾のように目の前に立ちはだかり…
彼女にキスするのをやめた
彼女が言ったとおり
すでにエロオヤジのモードに入ってるのなら
それだけで我慢できるはずがない
無防備に目の前に横たわった彼女を
絶対に裏切ることはできないと
もっともらしい?理性が働き…
でも本当にそうなのか?
口ではダメと言いながら
無防備に僕に身体を預けるということは
キスでも何でもOKよという
手の込んだ彼女のサインじゃないのか?
行ったり来たりするエロジジイの苦悩
悩んだ末にキスを諦めてしまったが…
本当はどっちだったのか
今になってもわからない
僕に身体を預けたまま10分ほど経つと
ゆっくりと彼女は目を開け
ホントに寝ちゃったわ…
と…
そう言って
両手で顔を押さえる仕草の彼女を見つつ
彼女の本心を手探りしてみるものの
わからずじまいのまま…
またね
そう言いながらドアを開けてクルマを降り
自分の家の方角へ帰る
彼女のクルマのテールライトを見送った
バイトのお姉さんとの食事デートは
それが最初で最後になってしまった
食事デートが終わってからも
何度もLINEのやり取りは続いたし
社内で会えば笑顔で話もして
友達以上恋人未満の関係?は
変わることはなかったが…
そう思ってたのは
僕だけかもしれない
あるとき
どんなにLINEを送っても返事がなく
それどころか既読もつかなかったので
尋ねてみると
機種変してLINEもまだ入れてないと…
連絡せずにごめんなさい
LINE入れたらすぐに連絡するからと
謝ってくれたものの…
なんだか気づかないうちに
垣根を作られたように感じたのは
勘違いじゃなかったかもしれない
決して…
ひょっとして
僕と2人きりで食事デートをしたこと
或いはLINEのやり取りをしてること
ダンナにバレたのかも…
それとも
友達以上恋人未満の関係から
それ以上進むことを
彼女自身が望まなかったのかと…
軽いaventureは楽しんだとしても
ドロドロの関係?になってしまうのは
やっぱり…
それ以降
僕がリタイアするまで
秘密めいた友達以上恋人未満の間柄?は
ずっと続いたけれど…
僕が会社を卒業する当日にも
秋波を送るような彼女の笑顔は
痛いほど感じたけれど…
僕がリタイアしてから
彼女の顔を見ることはなくなったし
コッチから連絡することもなくなった
もちろん向こうからもなく…
まぁ
そういうもんだよなぁ
一線を超えなかった男と女の関係って…
いつだったか
リタイアしてから1年以上経ったとき…
まだ1歳だった初孫くんが通う
我が家から離れた区域のこども園が
バイトのお姉さんと同じセクションで働く
部下の若い女子社員の子どもと偶然一緒で…
その若い女子社員が
初孫くんを送迎している僕のことを
バイトのお姉さんに話したらしく
彼女が僕に逢いたがっていると…
若い女子社員は
もちろん僕と彼女の関係
友達以上恋人未満だったことは知らない
単にかつて同室で仕事をしていた
幹部とバイトの関係だとしか…
へぇ〜
彼女まだ会社に残ってるんだ
○○さんが茶髪に染めて髭も生やして
スッカリ変わっちゃって
前のイメージ全然ないんですよって言ったら
もう一度逢いたいなぁって言ってましたよ〜
(まだロン毛じゃなかったけど…)
僕もバイトのお姉さんに逢いたい気持ち
山ほどあったけれど…
いまさら再会したところで
進展することなんてないような…
彼女にその気持ちが本当にあるんだったら
彼女の方から連絡してくるはず…
でも
多分連絡して来ないだろう…
彼女との食事デートのとき
彼女が発したイミシンな言葉
私って
本当に好きな人と
結ばれたことないんです
その理由が
なんとなくわかったような気がした
彼女自身がそんな風に
仕向けているのだと…
踏み込めないのだと…
会社をリタイアしてからすでに5年
もちろん
まだ彼女に好意は持ってるけど
コッチからあらためて連絡することはない
どうせ
同じことの繰り返しになってしまうと…
リタイアしてからこれまでの間
ほかの経験もしたし…
いまもまた
独身キャリア女子との老いらくの恋も
遅々としているものの進行中で…
いくら勘違いのエロジジイといえど
ポンコツになりつつあるいま
おそらくこれが最後で…
もう少しすれば
本当に店じまいになってしまうんだろうと…
( fin… )
夜中に一度だけ
激しく打ち付ける雨音で目が開いたけど
朝になっても雨は強くなったり弱まったり…
なので
今日は迷うことなく休足日
そんな雨のなか
メンバーたちは
今日が京都マラソンの本番当日
前乗りした昨日の様子を訊くと
まだ小雨がぱらつく程度だったらしいが
スタート前の時間帯に
LINEで尋ねてみると…
どうやらコッチと同じように本降り
すっかりズブ濡れになって
今から荷物を預けてきますと
結構大変そうな様相…
屋内の待機エリアってあるのかな?
たぶん無いんだろうなぁ
僕も何度か経験があるけど
走り出してしまえば何ともないが
スタート前の雨に濡れながら
号砲が鳴るまでの長い待ち時間って
モチベーションなんかダダ下がりで…
しかも2月だぜ!
2月にしてはまだ暖かい方だからいいものの
冬の雨の中の大会って
夏場と違って大変だからなぁ…
まぁ夏場も大変には違いないけど
寒くない分だけでも…
ガンバってもう走り終えただろうか?
悪コンディションだからタイムは無理でも
遠征出来ないジジイの分まで
42キロを楽しんで帰ってきてほしいと…
《バイトのお姉さん④》
会計を済ませるとき
今日の件はオフレコに頼むよと
見知った店員にウィンクをしてみせると…
店員は笑いながら
わかりましたと頷いた
だけど
本当にオフレコにしてくれるかどうかは
かなり怪しいもんだと
彼の笑い顔が語ってるような…
誰かにバレなきゃいいけど…
お店の駐車場に停めた
バイトのお姉さんの
赤いクルマに乗り込みながら
腕時計に目をやると8時半過ぎ…
8時半過ぎという時間帯が
バイトのお姉さんにとって
まだ早い時間なのか
それとも遅いのか見当がつかないまま…
今日はゴチソウサマでした
美味しかったし
楽しかったし
ありがとうございました
今度また
2人きりで食事したいね
はいお願いします
いままだ9時前だけど
これからどっか寄ってく?
行きたいところですけど
今日のところはこれで…
○○さんのおウチまで
無事送り届けますから…笑
僕の下心は全く消えてはいなかったが
主婦である彼女のことを考えると
帰ってからもやることがいっぱいあって
大変なんだろうなぁと…
彼女の言葉を聞きながら
半ば下降線を辿っていく下心
オレん家どこだか知ってるの?
ううん!
教えて…
やっぱり知るわけないよなぁ…
そう思いつつも
僕も彼女の家がどこなのか
大体の見当しかつかなくて…
そんなお互いの家すら知らない2人が
初めてとなる食事デート1回だけで
密かに目論んだ下心の計画通り
ストレートに進むはずもないか?
彼女に家までの道案内をしながら
さすがに玄関前はマズいと思い
近くの会社の誰もいない従業員駐車場へ…
こんなところでいいんですか?
うん
家はすぐ近くなんだけど
このまま帰っちゃうのも寂しいから
○○さんともう少し話でもしようかと…
え〜っ?
いままでお話いっぱいしましたよ〜笑
手…
握っていい?
半ば苦笑いをする彼女の左手を握って
僕の膝の上に乗せると
全然嫌がる風でもなく…
むしろ
待ってました?
とも感じられるほどのスムーズさ…
ねぇ
正直に言うから正直に答えてよ…
こんなジジイだけど
○○さんのこと好きになっていい?
○○さんは僕のことどう思ってる?
私も○○さんが好きです
でもまだ…
(まだ…?)
(まだ…って?)
本当に好きな人とは結ばれなかったという
店での彼女のイミシンな言葉が
脳裏に浮かび…
まだ結ばれたいと思うほどじゃないと
言いたかったのか?
そりゃそうか
お互いに好意を寄せている雰囲気は
以前から匂わせていたものの
たった1回の食事デートをしたくらいで…
しかも
マガリナリにも
僕にも彼女にも
家族がいて家庭があるんだから
それを超えてまで…
ねぇ1回だけでいいからキスしていい?
ダメですよ〜
こんなところで〜笑
ここ誰も来ないよ
こんな時間だしさ…
ねぇホントに1回だけでいいからさ…
そう言いながら
彼女の顔に僕の顔を近づけると
彼女は握られていた手を離して
両手で僕の身体をブロックした
ホントに今日はダメ!
ほら○○さんの目の色
もろエロオヤジになってて危ないから!
今日は絶対にダメッ!
(今日がダメって…いつならいいのか?)
何度か試みを繰り返してみるものの
彼女の拒否具合からすると本気らしく…
もう今日は疲れたから電池切れ!
これ以上はダメッ!
もう眠くて眠くて…
そうだよなぁ
奥さんでもあり
お母さんでもあり
バイトさんでもあって
その上エロオヤジの相手もして
一人で何役もこなしてるんだから…
じゃあ
キスもしないし何もしないから
僕の膝の上に横になって少しの時間休んでよ
それくらいならいいだろ?
ホントにキスも何もしないし
嘘はつかないから…
そう言って
彼女の細い身体を両手で抱え込んで
ヨイショと僕の膝に乗せようとしたとき…
期せずして
彼女のオッパイとお尻に手が触れた
シッカリと…
思わずハッとした
オッパイもお尻も全然大きくないのに
ふっくらと柔らかい感触
女性特有の…
あ…
いまワザと胸とお尻に触ったでしょ!
違う違う!
ワザとじゃなくて偶然!
偶然だよ〜笑
僕の膝の上で
抱きかかえられるな形になった彼女は
小悪魔のようにウフフと笑うと
ホントに眠いのと言って目を閉じた
まるで無防備に…
そしてしばらくそのまま…
マジに寝ちゃったのか?
さっきまで
あんなに全力で僕をブロックしたのに
いまは僕に抱きかかえられながら
身体の全てを僕に預けるみたいな…
僕は
左手を彼女の首の後ろから肩にまわし
右手は彼女の骨盤の外側あたりに置いて
目を閉じた彼女の顔をジッと見続けた
それこそ
その時にキスをしようと思えば
いとも簡単にできる態勢で…
あんなにキスを拒否していたのに
ここで眠るって何をされてもいいみたいで
彼女は何を考えているんだろう?
これもまた試されているのか?
僕の出方…
そう思いつつ
息を殺して彼女の顔に僕の顔を近づけ
本当に唇が触れてしまいそうに…
( to be continued … )