同級生のお父さんが亡くなったのを新聞で知り葬式に行ってきた。この同級生は幼稚園から高校まで一緒だった女性で、知らせてもいないのに突然訪れたことに驚いていた。俺が行ったときには女性の同級生は帰った後で男の同級生は知らせていないから俺一人だけだった。二つ上のお兄さんの同級生はたくさん残っていたので一緒に居ることにした。中学時代の先輩たちなのでこちらも向こうもかすかにだが覚えていてちょっとした昔話や亡くなったおじさんの話をした。
実はおじさんが単なる同級生の父親だから参列したのではない。同級生とは同じ部活で彼女は女子部で俺は男子部だった。夏は自転車でかよっていたが冬は寒いし雪も降るので、何度となく帰りにおじさんの車に乗せてもらって帰ってきた。しかも毎度缶コーヒーをご馳走になった。だから特にお世話になったという思いが強い。実は数年前の同級会の時にも有志で街へくり出して帰りに迎えに来てもらってしまった。あの頃たぶんおじさんは一人で生活していたと思うが随分老けた印象を受けたのを覚えている。別れ際、車から降りるときに「今度遊びに行きますから」と言ったような気がするが、結局行けずじまいであれ以来会うことはなかった。
それで先輩たちと休憩所で休んでいるうちに告別式が始まってしまった。俺は出席するつもりでいたのだが、先輩たちは出ないで帰るような話をしていた。お寺での葬儀で勝手が分からず先輩たちにくっついていたのだが、どうやら同級生の親の場合は告別式には出ないような雰囲気だったのでオレも一緒に帰ってきてしまった。
家に帰ってきてからどうも心残りというか違和感を感じていた。よくよく考えたら俺は単に同級生の親だから行ったわけではなかった。おじさんと俺の関係があったから行ったのに告別式に出なかったことを悔やんだ。今となってはどうにもならないがおじさんとの別れの儀式に立ち会わなかったことを後悔している。
おじさんありがとうございました。おじさんのことは忘れません。どうか安らかにお眠り下さい。
実はおじさんが単なる同級生の父親だから参列したのではない。同級生とは同じ部活で彼女は女子部で俺は男子部だった。夏は自転車でかよっていたが冬は寒いし雪も降るので、何度となく帰りにおじさんの車に乗せてもらって帰ってきた。しかも毎度缶コーヒーをご馳走になった。だから特にお世話になったという思いが強い。実は数年前の同級会の時にも有志で街へくり出して帰りに迎えに来てもらってしまった。あの頃たぶんおじさんは一人で生活していたと思うが随分老けた印象を受けたのを覚えている。別れ際、車から降りるときに「今度遊びに行きますから」と言ったような気がするが、結局行けずじまいであれ以来会うことはなかった。
それで先輩たちと休憩所で休んでいるうちに告別式が始まってしまった。俺は出席するつもりでいたのだが、先輩たちは出ないで帰るような話をしていた。お寺での葬儀で勝手が分からず先輩たちにくっついていたのだが、どうやら同級生の親の場合は告別式には出ないような雰囲気だったのでオレも一緒に帰ってきてしまった。
家に帰ってきてからどうも心残りというか違和感を感じていた。よくよく考えたら俺は単に同級生の親だから行ったわけではなかった。おじさんと俺の関係があったから行ったのに告別式に出なかったことを悔やんだ。今となってはどうにもならないがおじさんとの別れの儀式に立ち会わなかったことを後悔している。
おじさんありがとうございました。おじさんのことは忘れません。どうか安らかにお眠り下さい。
ーーーーーー
糸井 小学生が、とんでもない
犯罪を犯したなんていう話って、
「いろんな基準を、
いっしょくたにしてしまった」
という要素も、入ってきますよね。
子どもなりに頭で考えたものと
現実との間でコントロールができなくて、
混乱しちゃうんじゃないかなぁ。
タモリ まさしくそうですよね。
その人の心の中では、
言葉だけのお話と現実とが、
別モノではないんだよね。
糸井 うん、
同じものになっちゃってるんだもんね。
タモリ 偽善教育っていうのは、
やっぱり、小学生の頃から必要だね。
糸井 早い話が、
様式でどれだけ救われるかって話ですからね。
タモリ そうそう、
様式でどれだけ救われるかってこと。
糸井 「おはよう」って
言えるか言えないかっていうのは、
何の意味もなさそうだけど、
「あいさつ」って、意外に大きいですよねぇ?
タモリ ええ、「おはよう」も様式です。
糸井 うん。
「おはよう」って言いながら、
「……うわぁ、早いですね!」
っていう言葉どおりのメッセージを
送ってるわけじゃないですもん。
タモリ (笑)昼ぐらいでも
「おはよう」って言いますからね。
糸井 ぜんぶが
本心のメッセージだと思ってるのは
おかしいんだね、要するに。
タモリ そういうことですね。
糸井 番組でいうと、
前説がおもしろくなかろうが
おもしろかろうが、
前説はやっといてくれよ、
みたいなところですね。
タモリ そうそう。
いちおう、あたためといてくれよ、
冷やしてもいいからねー、っていう。
そういう偽善の数々を、
違う言葉で
「礼儀」とか何とか言うから、
若い人の反発を食らうんだよね。
「偽善のたのしみ」
ってことにしてしまえば、
それはそれで、
たのしいんじゃないでしょうか。
「よし、徹底的に
やってみようじゃないか、偽善を」
って言えば。
糸井 じゃあ、お中元とか、
したほうがラクですよね。
冠婚葬祭も出かけたほうがいい。
タモリ 葬式って、あれは、
自分のために行ってるんですからね。
糸井 「あいつは来なかった、
って言われるとまずい」
とか、ありますもんね。
タモリ 「死んだ人よりも、
まわりの人を気にした出席」とか。
糸井 ただ、その意味では
「偽善の過ぎる人」っていうのが、
いちばん迷惑なんですよ。
つまり、葬式で泣きわめく人。
たとえば、タモリさんとぼくとで、
仮に誰かの葬式行ったとするじゃないすか。
そこでぼくがワンワン泣いてたら、
泣かないタモリさんが
鬼のように見えるじゃないですか?
そういう、間接的に
「泣け」と言われるような場面って、
何回か立ちあっているけど、
あれはやめてほしいなぁ……。
妙な話ですけど、
「見てやってください、
触ってやってください」
っていうのも、あるじゃないですか。
棺桶のフタの……。
あれも、実は親戚とかぐらいの関係だと、
あんまり触る気にならないんです。
タモリ なんないですよねぇ?
糸井 まぁ、もちろん、
程度問題ですし、
本心から泣いている方には
問題はないんですけどね。
それに、様式から生まれた泣きが、
自分の泣きを呼ぶこともあるんだけど。
タモリ それこそ、本物の偽善ですよねぇ。
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糸井 小学生が、とんでもない
犯罪を犯したなんていう話って、
「いろんな基準を、
いっしょくたにしてしまった」
という要素も、入ってきますよね。
子どもなりに頭で考えたものと
現実との間でコントロールができなくて、
混乱しちゃうんじゃないかなぁ。
タモリ まさしくそうですよね。
その人の心の中では、
言葉だけのお話と現実とが、
別モノではないんだよね。
糸井 うん、
同じものになっちゃってるんだもんね。
タモリ 偽善教育っていうのは、
やっぱり、小学生の頃から必要だね。
糸井 早い話が、
様式でどれだけ救われるかって話ですからね。
タモリ そうそう、
様式でどれだけ救われるかってこと。
糸井 「おはよう」って
言えるか言えないかっていうのは、
何の意味もなさそうだけど、
「あいさつ」って、意外に大きいですよねぇ?
タモリ ええ、「おはよう」も様式です。
糸井 うん。
「おはよう」って言いながら、
「……うわぁ、早いですね!」
っていう言葉どおりのメッセージを
送ってるわけじゃないですもん。
タモリ (笑)昼ぐらいでも
「おはよう」って言いますからね。
糸井 ぜんぶが
本心のメッセージだと思ってるのは
おかしいんだね、要するに。
タモリ そういうことですね。
糸井 番組でいうと、
前説がおもしろくなかろうが
おもしろかろうが、
前説はやっといてくれよ、
みたいなところですね。
タモリ そうそう。
いちおう、あたためといてくれよ、
冷やしてもいいからねー、っていう。
そういう偽善の数々を、
違う言葉で
「礼儀」とか何とか言うから、
若い人の反発を食らうんだよね。
「偽善のたのしみ」
ってことにしてしまえば、
それはそれで、
たのしいんじゃないでしょうか。
「よし、徹底的に
やってみようじゃないか、偽善を」
って言えば。
糸井 じゃあ、お中元とか、
したほうがラクですよね。
冠婚葬祭も出かけたほうがいい。
タモリ 葬式って、あれは、
自分のために行ってるんですからね。
糸井 「あいつは来なかった、
って言われるとまずい」
とか、ありますもんね。
タモリ 「死んだ人よりも、
まわりの人を気にした出席」とか。
糸井 ただ、その意味では
「偽善の過ぎる人」っていうのが、
いちばん迷惑なんですよ。
つまり、葬式で泣きわめく人。
たとえば、タモリさんとぼくとで、
仮に誰かの葬式行ったとするじゃないすか。
そこでぼくがワンワン泣いてたら、
泣かないタモリさんが
鬼のように見えるじゃないですか?
そういう、間接的に
「泣け」と言われるような場面って、
何回か立ちあっているけど、
あれはやめてほしいなぁ……。
妙な話ですけど、
「見てやってください、
触ってやってください」
っていうのも、あるじゃないですか。
棺桶のフタの……。
あれも、実は親戚とかぐらいの関係だと、
あんまり触る気にならないんです。
タモリ なんないですよねぇ?
糸井 まぁ、もちろん、
程度問題ですし、
本心から泣いている方には
問題はないんですけどね。
それに、様式から生まれた泣きが、
自分の泣きを呼ぶこともあるんだけど。
タモリ それこそ、本物の偽善ですよねぇ。