長髪に眼鏡して、
常に鼻水足らしながら、
馬鹿なことを言い、人にウツ入れカマす、
オノウコ。
極貧家庭に生まれたせいか、
体は骨と皮。
やけど、
常に持ち続けている希望がある。
それは、
いつか、
ケイイチロウとAEが迎えに来てくれる、
と、言うもの。
こういう事を、
人は、
一笑にふす、と言って、評価する。
そんな、オノウコに起こった、
今から十二年前の夏のお話。
その日は、
ガチに暑かった。
オノウコが汗まみれになって道を歩いていたら、
スポーツカーに乗ったイケメンの兄ちゃんが、
オノウコに、
車に乗れよ、と、やさしく誘った。
オノウコは喜んで、
車に飛び乗った‼️
兄ちゃんは、
オノウコを連れて、
遠い山道まで連れて行って降ろし、
オノウコにつるはし⛏️持たせて、
道路工事させた。
休憩も与えず、ひたすら仕事をさせた。
オノウコの家では、
帰って来ない娘を心配して、
父親のパパウコが、
何時間も仏壇の前で拝んだ(フツー、警察行かねぇか?娘が失踪したとか言う場合)。
母親のママウコは、
心の中で「これから白飯が食える」と喜んだ。
深夜になって、
オノウコは、兄ちゃんに送られて、
家の側で降ろされた。
帰ろうとするオノウコを兄ちゃんが呼び止めて、
ヤクルト一本手渡しして「お疲れさま」と言って、やさしく微笑んだ。
オノウコも笑顔で「ありがとう」と答えた。
この事件は、
兄ちゃんの呼び掛けに対して、
オノウコが自分の意思で車に乗り、
肉体労働をさせられたとしても、その代価として、ヤクルトを一本もらっている。
何よりも、性的暴行ひとつ無かったこの一件は、
一切、
警察沙汰になることなく、
オノウコのDQN史の一ページに刻まれるに留まった。