一昨日に引き続き論文合評会があった。人の生死決断にかかわるたいへん深刻なテーマである。
筋委縮性側索硬化症(ALS)という難病は中年以降に発症し比較的進行が速く人工呼吸器を用いなければ通常は2〜5年で死亡する事が多い原因不明の病気であるという。この病棟に勤務する現役看護師の論文について放送大学のゼミで合評を行った。
ALSは現在のところ治療法はなく死を待つだけ、仮に気管切開など延命措置を施せばそれと引換に声を失ったり、痰の吸引、人工呼吸器装着など介護する家族等への負担が大きく。患者及び家族の大きな時間的心理的負担に代えて迄延命の決断を下すか否か、人の尊厳人道上の問題を含めた非常に厳しい決断を迫られる療養である。医師と患者とその家族の決断仲介役として看護師が当つているというが、定型的マニュアル的なものがなく看護師個人の人生経験や、人間性などによってまちまちな対応を取らざるを得ない看護当事者として悩みを看護現場で痛感しており、それが論文の作成の端緒になったという。厳粛な気持ちにさせられる深刻な問題で活発な論議がなされ生命の尊厳とサポートにまわる人々の苦悩を目の当たりに感じた。