Truth Diary

speakeasy「携帯エラブル虫」

 幻冬舎から発刊された、尾崎哲夫  関西外国語大学短期大学部教授著  「私の英単語帳を公開します!」におもしろいコラムがあったので紹介します。

 speakeasyはもともと、米国の俗語で禁酒時代の「もぐり酒屋・酒類密売所」のことです。「こっそりと酒を注文する」という意味合いからこう呼ばれるようになりました。

 禁酒法は1017年、アメリカでの憲法修正条項として議会で可決され、1920年から施行されました。しかし、たちまちのうちに、モグリ酒場がはんらんし、1929年にはニューヨークマンハッタンに3,200軒もあったといわれます。

 戦争資金の調達と治安改善のためにつくられたはずの禁酒法によって、逆に酒類の密売、密輸、密造を利用したマフィア(当時の有名なアル・カポネなど)が勢力を伸ばすことになり、結局禁酒法は1933年に廃止されますが、この時に力をつけたマフィアはますます勢力を伸ばし、政府と密接につながりを持つようになりました。

 このような興味深いエピソードのあるspeakeasy という言葉ですが、現在、携帯電話の普及に伴い、「携帯エラブル虫」という新しい意味が発生しました。

 「自分に話しかけるな」とばかりに偉そうに携帯で話し込んでいる人のことを指します。こっそりと、しかし大手を振って行われていた酒類の密売とイメージが合っているということでしょうか。しかし、この意味の他に、文字通り「気楽に話す」という意味でも使われます。

 インターネット上のBBSの表題にされていたり、アメリカに「speakeasy」という名前のISP(インターネットサービスプロバイダー」の企業があることも面白い 例です。また、1990年代に米国防総省が着手した、米軍の組織ごとにバラバラで互換性の無い通信システムを結び付けられるような、携帯型無線通信機の開発を目指すプロジェクトを「スピークイージー」プロジェクトと言いました。

 ここで使われているspeakという単語ですが、幅広く「話す」ことを意味する単語です。同じく「話す」と訳すことのできる、say,talk,tellと比較すると、sayは話の「内容、意味」に重点が置かれる時に使われ、talk,は複数の人が、話に参加しての言葉のやり取りがある場合に使われ、tellは必ず相手を伴い、「伝える、知らせる」のニュアンスが強くなります。

 speakという単語から派生した単語、熟語を挙げますと

 speaker  (演説者、話者、オーディオのスピーカー)

 speech  (演説、話し方、話す能力)

 ーspeak (ー名詞と連結して、業界用語。例えば、oilspeak,とは石油業界用語)

 また、easyも口語で頻繁に使われる言葉です。「簡単な」という良く使われる意味のほかに「気楽な、ゆったりした」という意味もあります。反対語はdifficult,     an easy coat「ゆったりしたコート」などの意味に使う場合は、tightが反意語になります。

 Please make yourself easy (くつろいでください)

 Take it easy! (落ち着いて!、がんばって!)

 easy listening (聞きやすい軽音楽)

 英語の勉強も寛いでがんばりましょう!

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