親の介護をされている方は多いと思う。先日、あるサークルで、休憩の時に聞いた体験談なのですが、これから経験しなければならない身として、心して拝聴した次第です。
その方は8年前から、ご両親を介護してきて、一昨年痴呆状態の母親を見送り、現在は、父親を介護中の、団塊の世代の会社員です。
父親は大腿部の骨折から、自力での歩行が困難となり、その後、転倒し腕も骨折したそうです。そのままでは寝たきりになるのは避けられない状態だったそうですが、息子(彼)は父親にたいして、心を鬼にして、布団に横になるのは就寝する時だけにして、朝息子が父を起こしに行って、介助しながらなんとか食事の場まで連れてきて、まわりが手助けしないで、自力で摂ってもらうそうです。調理と洗は奥さん、食事や排便の介助は息子である彼と分担しているそうです。
考えようによっては、寝ててもらったほうが、要介護者も介護する側も楽かもしれません、敢えて、そうしたお互いに、辛い思いをしているのは、寝たきりにして、周りからの刺激が少なくなると、いろんな機能を衰退させて早く痴呆にさせかねないとの、肉親の切実な思いからなんだと思います。
訪問介護や、ディーサービス、などにあえて依存しない、家族による介護の選択は、家族の負担、介護される親の終末が、本人自身で納得できるものかどうか、そして、一番身近な家族として、どんな風に、残された余命をまっとうしてもらいたいか、に関わる価値観の問題ではないかと思います。
彼は、仕事のかたわら、通信制大学で、健康・福祉・指導などについての教科を専攻し、父親の介護で実証しながら、理論を、厳しい介護現場での体験を通じて認識しながら、する方、される法、双方にとって望ましい介護を模索しているようだった。