暮れの大掃除をして、居間の天井のところどころに、黒く擦り付けたような汚れを見つけた。何でこんな高いところに誰がつけたのか考えてみて、ふと思い当たることがあった。
この家も10年以上経つので、煤けようが、汚れようが、もういいだろうと、2年前に煙突を取り付けてもらい、薪ストーブを焚き始めた。 燃料の薪は、実家からもらったり、工務店が廃材を無料で提供してくれるので、原油高騰の昨今は家計の助けになり重宝して自己満足していた。
ところが或る日、その煙突を自分の住処と間違えたのか、すずめが落下してきて、ストーブの炉内で大暴れ、バタン、バタン出してくれともがく、最初は何が起きたのか分からず、家族で飛び上がるほど仰天した。前面のガラス扉を開けて、ストーブから出したものの、部屋の中飛び回り、窓を開けてやったのだが気づかずに、山椒大夫に出てくる老婆よろしく、追い払うのに苦労した。その後、馬鹿なすずめは、何度も同じ過ちをくりかえした。
煤だらけになって、あちこちにぶつかり、残した汚れだったのだ、でもその汚れを越年させずにすんだのは良かった。
あの時の雀は、まだ大人になりきっていなかったのだろう、小さかった。成人してからはとんと姿を見せぬ。なんだか少し淋しい気がするが、今飛び込んできたら、早速”スズメのぽっぽ焼き”にされると恐れてこないのかも知れない。