症状
リンパ組織の過形成 :一般的に、細菌、ウイルス、真菌、原虫、藻類などの病原体による全身性もしくは局所性感染症によって生じます。この場合リンパ節は直接病原体の感染を受けていません。 ある種の病原体は直接感染したリンパ節にリンパ節炎を起こし、同時にその他の直接感染していないリンパ節に過形成を引き起こします。 リケッチア、Bartonella spp.、Brucella canisなどの病原体は明らかなリンパ節炎を起こすことなくリンパ節の過形成をもたらします。猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)に感染すると全身性にリンパ組織の過形成が起こしますが、病期が進行するとリンパ組織は枯渇してしまい、二次感染によるリンパ節炎を生じるようになります。 感染病原体以外の抗原性刺激(アレルゲンなど)によっても生じます。全身性エリテマトーデスや慢性関節リウマチなどの免疫介在性疾患でも生じることがあります。
リンパ節炎:細菌性:化膿性リンパ節炎を引き起こします。時に進行し、膿瘍となることがあります。Mycobacterium spp.やBartonella spp.といった一部の細菌は、肉芽腫性リンパ節炎を誘発ます。また、その他に好気性菌、嫌気性菌、パスツレラ、バクテロイデス、フソバクテリウム、Yersinia pestis、Francisella tularensisなどが、リンパ節炎の原因菌となることがあります。 真菌性:全身性真菌症としては、ヒストプラスマ症、ブラストミセス症、クリプトコックス症、スポロトリクス症などがあります。 原虫、藻類、後生動物が原因になることは稀です。 ヒストプラスマ症やブラストミセス症などの全身性疾患では、多くの場合複数のリンパ節が侵されます。原発病巣がリンパ節であればリンパ節炎が発生あいますが、通常はそのリンパ節に排液する別の組織の感染に伴って(多くの場合、その結果として)起こります。 好酸球性:ノミアレルギー性皮膚炎などのアレルギー性の炎症を伴う時には、罹患部位の所属リンパ節に好酸球性リンパ節炎が認められることがあります。また、猫や犬の好酸球増加症候群といった全身性多発性の特発性好酸球疾患や、リンパ節に転移した肥満細胞腫などの場合でも、認められることがあります。
腫瘍 :猫:猫白血病ウイルス(FeLV)は、リンパ球を腫瘍化します。 犬:リンパ腫(原因不明)。 大半の腫瘍はリンパ節転移を起こしますが原因は不明です。
危険因子 :免疫不全状態の動物は感染症に陥りやすく、そのため、リンパ節炎にも罹患しやすい。 アレルギー疾患の動物は、リンパ組織の過形成や好酸球性リンパ節炎を起こしやすい。 猫の悪性リンパ腫の危険因子はFeLVおよびFIV感染です。 リンパ節腫脹は様々な腫瘍の転移によっても引き起こされ、原発性腫瘍の種類によって様々です。