紫紺の優勝旗は駒大苫小牧、早実の両校に相応しいが、甲子園に住むと伝
聞する魔者は、同校を延長15回まで戦わせ、更に、非情な再試合を命じた。
勝利の女神は、決勝戦8回表に1点を先取した駒大苫小牧に、73年振り
に選手権大会3連覇の夢を手向けたと元気印は確信した。
しかし、姿なき魔物は、8回表に三木選手にソロ本塁打を打たせて、ゼロ
が並んだ試合を動かして、勝負の機微を裏で演出する。
3連覇に掛けた夢と希望は、甲子園の主(ぬし)に見事に粉砕されてしま
った。
彼は、8回裏の攻撃で早実に勝利を転がして、早実が決勝戦再試合で優勝
するドラマの伏線を張った。
早実3番打者船橋選手の当りを中飛としたが、センターの返球を中継ミス
にして、ボールを誰もいないショート守備位置まで転々と転がした。1死
2塁が1死3塁となり、田中投手を窮地に追い込む局面に激変させて、後
藤選手の中飛で同点にさせたのだ。
小脇に花束を抱えて微笑む花娘に化身した魔者は、まず、決勝戦を15回
まで持たせ、観客に高校野球の醍醐味を味わってもらう最初の決意を成就
させる。
決勝再試合で、早実は3点先行した。7回表までは3対1で試合は進んだ。
7回裏早実の攻撃は2死2塁となったが、この試合ノーヒットの4番後藤
選手がレフト前にヒットを打つ。デットボールで出塁し送りバントで2塁
にいた川西選手は迷わずホームへ突入する。
駒大苫小牧の小林捕手は、ブロックを確実にして得点を阻止するため守備
位置を3塁よりに取った。
ベース真上を通過するコースにレフトから返球され、何時もの守備位置だ
と捕球して走者をブロックするのに好返球だった。しかし、守備位置が少
し3塁側に寄っていたためボールは小林捕手の右を無常にも通過してしま
う。勝負を分ける1点が入った。
そして、9回表に駒大苫小牧の2ランホームランで3対4。
ノーアウト4番からの攻撃に逆転の期待が膨らむ。それ行けドンドンだ。
4番三振、5番セカンドフライ、6番も三振に打ち取られ、駒大苫小牧の
3連覇の夢は消滅した。しかも、早実斉藤投手に、田中投手を最後の打者
にする舞台まで用意して空振り三振に仕留めさせている。1点の重石が効
いた。
こうして、花娘は早実に初優勝の念願を叶えさせる。
「決勝初戦では、先取点を挙げリードして向かえた8回裏の守りで、センタ
ーの中継ミスで献上した1点。再試合では、捕手の僅かな守備位置のズレ
から2点差で終わっただろう7回裏に得点を許した1点。駒大苫小牧の選
手達は、戦力が互角の勝負が持つ1点の重み怖さを知っているからこそ生
まれた1点になった。
甲子園の気まぐれ魔女の悪戯でしょう。勝負のアヤかもしれない」
野球とは無縁だったボケ封じ観音さまが、駒大苫小牧が早実に与えた1点の
起因を解読してくれる。
斉藤投手は、熱闘に終止符を打ちベンチに帰りながら頬を流れる涙を拭いて
いた。
15回の延長戦を終えベンチに向かうとき「参ったな」と呟いていた彼の映
像がその顔にかぶさった。
深紅の優勝旗を授与される早実の主将の姿を見ていた田中投手の頬に一筋
の涙が流れている。
窮地に追い込まれた場面でも、空振り三振で最後の打者になったときでも
笑顔を忘れない田中投手は、正体を窺い知れない気まぐれ花娘の悪戯を知
っていたから、どんな局面にも冷静に対処できたのだろう。
「ドン底から来たから、夏は全部勝ちたかった」「やりきった気持ちが強
い。 最後の打席でも見逃しではなく、空振りで終わったので悔いはない」
田中投手の内に秘めた闘魂と早実との真剣勝負を戦い抜いたすがすがしさ
が感じられる。駒大苫小牧の選手達の思いも異口同音だ。
駒大苫小牧と早実は、決勝戦、再試合の熱闘を通じて高校野球の素晴らし
さ、真剣勝負野球が持っている魅力を日本中の人に魅せてくれた。それをド
ラマチックに演出した甲子園の姿なき魔女の演出力に驚嘆した2日間となっ
た。
駒沢大学付属苫小牧高校の監督、選手、関係者の皆さんから、3連覇の偉
業を達成する夢と希望を抱かせて貰った夏でした。花娘も笑っている。
初優勝した早稲田実業高校には、2連覇を期待して応援しよう。
喜怒哀楽を強烈に刺激する好勝負を有難う!!
聞する魔者は、同校を延長15回まで戦わせ、更に、非情な再試合を命じた。
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勝利の女神は、決勝戦8回表に1点を先取した駒大苫小牧に、73年振り
に選手権大会3連覇の夢を手向けたと元気印は確信した。
しかし、姿なき魔物は、8回表に三木選手にソロ本塁打を打たせて、ゼロ
が並んだ試合を動かして、勝負の機微を裏で演出する。
3連覇に掛けた夢と希望は、甲子園の主(ぬし)に見事に粉砕されてしま
った。
彼は、8回裏の攻撃で早実に勝利を転がして、早実が決勝戦再試合で優勝
するドラマの伏線を張った。
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早実3番打者船橋選手の当りを中飛としたが、センターの返球を中継ミス
にして、ボールを誰もいないショート守備位置まで転々と転がした。1死
2塁が1死3塁となり、田中投手を窮地に追い込む局面に激変させて、後
藤選手の中飛で同点にさせたのだ。
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小脇に花束を抱えて微笑む花娘に化身した魔者は、まず、決勝戦を15回
まで持たせ、観客に高校野球の醍醐味を味わってもらう最初の決意を成就
させる。
決勝再試合で、早実は3点先行した。7回表までは3対1で試合は進んだ。
7回裏早実の攻撃は2死2塁となったが、この試合ノーヒットの4番後藤
選手がレフト前にヒットを打つ。デットボールで出塁し送りバントで2塁
にいた川西選手は迷わずホームへ突入する。
駒大苫小牧の小林捕手は、ブロックを確実にして得点を阻止するため守備
位置を3塁よりに取った。
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ベース真上を通過するコースにレフトから返球され、何時もの守備位置だ
と捕球して走者をブロックするのに好返球だった。しかし、守備位置が少
し3塁側に寄っていたためボールは小林捕手の右を無常にも通過してしま
う。勝負を分ける1点が入った。
そして、9回表に駒大苫小牧の2ランホームランで3対4。
ノーアウト4番からの攻撃に逆転の期待が膨らむ。それ行けドンドンだ。
4番三振、5番セカンドフライ、6番も三振に打ち取られ、駒大苫小牧の
3連覇の夢は消滅した。しかも、早実斉藤投手に、田中投手を最後の打者
にする舞台まで用意して空振り三振に仕留めさせている。1点の重石が効
いた。
こうして、花娘は早実に初優勝の念願を叶えさせる。
「決勝初戦では、先取点を挙げリードして向かえた8回裏の守りで、センタ
ーの中継ミスで献上した1点。再試合では、捕手の僅かな守備位置のズレ
から2点差で終わっただろう7回裏に得点を許した1点。駒大苫小牧の選
手達は、戦力が互角の勝負が持つ1点の重み怖さを知っているからこそ生
まれた1点になった。
甲子園の気まぐれ魔女の悪戯でしょう。勝負のアヤかもしれない」
野球とは無縁だったボケ封じ観音さまが、駒大苫小牧が早実に与えた1点の
起因を解読してくれる。
斉藤投手は、熱闘に終止符を打ちベンチに帰りながら頬を流れる涙を拭いて
いた。
15回の延長戦を終えベンチに向かうとき「参ったな」と呟いていた彼の映
像がその顔にかぶさった。
深紅の優勝旗を授与される早実の主将の姿を見ていた田中投手の頬に一筋
の涙が流れている。
窮地に追い込まれた場面でも、空振り三振で最後の打者になったときでも
笑顔を忘れない田中投手は、正体を窺い知れない気まぐれ花娘の悪戯を知
っていたから、どんな局面にも冷静に対処できたのだろう。
「ドン底から来たから、夏は全部勝ちたかった」「やりきった気持ちが強
い。 最後の打席でも見逃しではなく、空振りで終わったので悔いはない」
田中投手の内に秘めた闘魂と早実との真剣勝負を戦い抜いたすがすがしさ
が感じられる。駒大苫小牧の選手達の思いも異口同音だ。
駒大苫小牧と早実は、決勝戦、再試合の熱闘を通じて高校野球の素晴らし
さ、真剣勝負野球が持っている魅力を日本中の人に魅せてくれた。それをド
ラマチックに演出した甲子園の姿なき魔女の演出力に驚嘆した2日間となっ
た。
駒沢大学付属苫小牧高校の監督、選手、関係者の皆さんから、3連覇の偉
業を達成する夢と希望を抱かせて貰った夏でした。花娘も笑っている。
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初優勝した早稲田実業高校には、2連覇を期待して応援しよう。
喜怒哀楽を強烈に刺激する好勝負を有難う!!
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