いきけんこう!

生き健康、意気兼行、粋健康、意気軒昂
などを当て字にしたいボケ封じ観音様と
元気印シニアとの対話。

月が演出した大宇宙の桧舞台、金環日食

2012-05-21 22:35:08 | 時の話題
国内で25年振りに観られる金環日食に期待を膨らませる人が、JAXA相模原キャンパスに集まっています。



キャンパスの室内に展示されている「はやぶさ」模型の背後にもその姿が窺えます。



6時頃には五月晴れだった空も、徒歩でキャンパスに着いた7時13分、金環日食の桧舞台は、雲の緞帳に遮られています。



月が演出する檜舞台を実況中継するJAXAスタッフの表情も曇りがちです。



7時25分、分厚い雲の切れ間に第2接触を迎えようとしている日食が姿を現したとき、世紀の一瞬を観察に訪れた約400人から一斉に歓声が沸き起こります。



それも、束の間のことでした。
曇天の空を蔽う雲の流れは速く、意地悪雲は桧舞台に幕を引き、地球上からの視野を遮るのです。



そんな状況の中で、地元の観察者に混じって外国人観測者は、月縁が太陽の輪郭の内部に完全に含まれる瞬間、食甚(しょくじん)を狙っています。



5月20日、減光フィルターを購入するためヨドバシカメラに立ち寄ったのですが、19日に入荷したフィルターは完売し在庫なし。そんな事情もあって、食甚の撮影を諦めた元気印。しかし、第2接触は、陽光を減光する雲のお陰で無事撮れました。モノクロの食甚には、滋味があります。

「負け惜しみ半分、本音半分ですね。元気印さん」



見事なリングの後ろから聴こえてくる、ボケ封じ観音さまの呟き。7時34分のことです。

負け惜しみ半分の心境で強がっていると、実況中継しているJAXAスタッフのモニターに映された月の桧舞台が目に留まり、その映像を拝借します。



狙い通りの撮影に成功したであろう外国人取材スタッフは、ノートPCのキーを叩き記事を送信している様子が窺えます。
桧舞台を観に来た人へインタビューしていたのが、右端でマイクを持っている女性。

「元気印さんもインタビューを受けましたね」



一番奥に見えるのは、JAXA相模原キャンパスに野外展示されているロケット。
世界最大の能力を有する個体燃料ロケットM-V2ロケットの実物(右)とM-3S2ロケットの原寸模型(左)です。





雲の切れ目から垣間見える日食は、ブラックホールを連想させ、M-V2ロケットに乗って、探索に行きたくなります。
五月晴れの空に観る桧舞台より、気まぐれ雲の切れ間に観えるそれの方が、神秘的で想像力を膨らませてくれます。



なにはともあれ、通常よりも登校時間をはやめた、JAXA相模原キャンパスの間近にある小学校では、体育館に設けた大きなモニターに金環日食の進行状況を映して、それをJAXAの専門家が解説する力の入れようでした。



JR横浜線「淵野辺駅」の改札口正面に設けてある看板からも、『はやぶさの故郷』を実感させられます。





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雲海が明かす竜巻注意情報の残骸

2012-05-11 15:41:01 | 時の話題
5月7日、ANA905便で成田を発ち、10日のANA906便で北京から帰国しました。
北京市内とその周辺都市にある大学などを訪問するグループの撮影班員として同行した2.5日間の現地は、乾燥した空気と気温26度以上の環境でした。

北京のホテル・北京宝辰飯店(HOWARD JOHNSON PARAGON HOTEL BEIJING)でチエック・インを済ませたメンバーは、訪問先が用意してくれたミニバンで承徳市(しょうとくし)へ・・・。

北京市の北東に位置する承徳市まで230kmの道のりです。
北京市郊外から高速道路に入ったミニバンは、時速100kmを保持して承徳市内のホテルへ直進します。
盛華大酒店(SHENG HUA HOTEL)へ到着したのが20時近く、日本時間では21時。

ちなみに、ガイドブック情報では、北京から承徳への交通アクセスは、鉄道とバスがあります。
北京始発の承徳行き鉄道列車は、始発の3列車を含めて5本しかありません。快速で4時間26分の所要時間とあります。
では、バスの利用を考えますが、30分に1本、所要時間は約3時間。料金は85元。

成田空港内の銀行で円から元に換える交換レートは14.57円ですが、北京でのそれは12円のようです。バス料金85元は1,020円。日本で230kmの距離を1,020円で運行する長距離バスがあるかどうかは不詳ですが、超々格安運賃の部類でしょう。
身近な例で恐縮ですが、千葉市内から東京駅八重洲口までの高速バス料金が1,100円、距離53kmを80分で運行していますから、230kmを1,020円(85元)で運行するバス会社は日本では皆無でしょう。

このような北京の交通事情を配慮して、ミニバンを手配してくれました。
それにしても、北京を出てからおおよそ3時間40分の間、トイレ休憩も無くミニバスは走る、ただ、はしる、荒涼とした大地を貫く高速道路をひたすら走り続けるのでした。

とはいうものの、承徳市へ着く1時間20分ほど前でしょうか、名も知らぬ山並みの稜線に沈んでゆく太陽が、ミニバンの進行方向左側に観えます。沈黙に包まれたバスの車内が、賑やかさを取り戻した一時でした。



ところで、愛清覚羅(あいしんかくら)氏が中国を統一して打ち立てた清朝は、第3代皇帝・康熙帝(こうきてい)、第4代皇帝・雍正帝(ようせいてい)、第5代皇帝・乾隆帝(けんりゅうてい)の3代に最盛期を迎えています。康熙帝は、1703(元禄16)年、熱河離宮「避暑山荘(ひしょさんそう)」の造営を命じ、雍正帝、乾隆帝へと引き継がれ、1790(寛政2)年に完成しています。

総面積564万平方メートルの敷地内に110余の建物が現存するこの山荘は、中国の皇宮では最大のスケールを誇り、避暑山荘の東と北の山麓に建立した12カ所の名刹群「外八廟(そとはちびょう)」も3代の時代に建立されています。ガイドブックの受け売りですが、興味津津な話ですよ。

そのような清朝皇帝の遺跡を守っている承徳(チョントー)市は、燕山(イエンシャン)山脈の一角に位置するために、避暑地として絶好の場所にあります。バスから観た光景は、燕山山脈を形成する山群に沈む太陽だった。

余談になりますが、清朝と聞けば、ラストエンペラー溥儀(ふぎ)をご存知の方も多いでしょう。
そんな清朝に縁の深い皇帝の宮を守っている所が、承徳市だったのです。このような時代背景は、帰国してからの情報収集で解ったことです。しかし、今回の訪問では観光に割く時間的な余裕は絶無でしたから、再訪したい願望だけが残っています。
元気印には、日本との関わりが思いつかない北京よりも見応えがある。


さて、ANA906便は、北京空港を5月10日14時15分、定刻に離陸し成田へ向かいます。
成田空港へ着陸する60分ほど前でしょうか、進行方向左窓を眺めると雲海が広がっています。
いつもなら、真っ白い雲なのですが、地上から見上げる雲は、雨雲でしょうか。おそらく、大雨が降っていたはずです。

5月10日午後6時.14分に撮った雲海。



同じような雲海が平行しています。



2枚の写真を撮ってから8分成田方向へ飛んだ時の雲で、茨城県の一部でしょうか、雲の下には陸地が観えます。



さらに5分飛んだ時の空は、地上から観ると夕焼けに映え、明日は快晴だな、と自分勝手な天気予報をしたはずです。



成田空港へ着陸した時は、滑走路が濡れていたので低気圧が通過した跡だけでした。

11日の朝刊を読み、気象庁が茨城、栃木両県を含む1都8県に「竜巻注意情報」を発表するまでに追い込んだ残骸が、機内で見た雲海なのかも知れませんね。

気になる話題です。
北京で発行されている5月9日発行のタブロイド紙「GLOBAL TIMES」の14面、FORUM EYE ON THE NEWS に掲載されていた戯画が気になります。





記事との関連を風刺しているのでしょうが、なんらかの資金援助を日本は喜んで行うことを表す戯画なのかは、記事を読んで理解しなければ判断できません。日本人としては、気になる戯画です。























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平成24年 大相撲1月場所 初日は満員御礼

2012-01-10 23:10:21 | 時の話題
久方ぶりに誕生した日本人大関二人に期待を寄せる相撲ファンは、1月場所の初日、国技館に満員御礼をもたらしました。



昨年暮に開催された横綱審議会主催の稽古総見で目に付いた力士が気に掛かり、国技館での1月場所を観戦に1月8日、両国へ出かけました。後にも先にも、大相撲の本場所観戦は初体験です。

十枚目の土俵入が午後2時20分頃にあると聴いていたので1時半頃に国技館へ入り、館内を探索してから席に落ち着きます。
普段、殆ど放映されない十枚目の土俵入で化粧回しをつけた千代大龍(ちよたいりゅう)に対面です。



右から順に、城ノ龍(しろのりゅう)、千代大龍、徳真鵬(とくしんほう)、阿夢露(あむる)、益荒海(ますらうみ)。

千代大龍は、はたき込みで北播磨(きたはりま)に、2日目も誉富士(ほまれふじ)に同じ決め手で勝ちました。三日目は城ノ龍を吊り出して3連勝。稽古総見での申し合いで勢いのあった千代大龍の今場所に期待しています。髷を結うだけ髪が伸びていないので、散切り頭のままです。



上手出し投げで徳勝龍(とくしょうりゅう)に勝った高見盛(たかみさかり)は、館内の大声援に応えました。2日目は翔天狼(しょうてんろう)に寄り切られましたが、今日三日目は木村山を寄り切り2勝1敗。かっての元気を取り戻して欲しい。
    


本場所の初日は、様々な行事が行われているようです。
先ず、中入り後となる取り組みの3番前には、土俵上に横綱、三役を従えた放駒理事長の協会挨拶があります。
幕内土俵入、横綱土俵入が終わると、賜杯返還、年間最優秀力士表彰、幕内最優秀新人力士表彰などが行われます。



土俵正面の所定位置に据えられている優勝力士額の除幕式が最後に執り行われます。
額の表を覆っていた白幕がスルスルと上に引き上げられ、9月場所に続き、11月場所に優勝した横綱白鵬の額が現れました。



これ以降は、中入り後の取り組みになります。
稽古総見では調子のよかった高安(たかやす)は土俵際までは優勢でしたが、豊ノ島(とよのしま)に外掛けで負け。二日目は、北大樹(きたたいき)を寄り切り五分の星勘定に・・・。しかし、三日目は栃乃若を引き落として勝ち星先行です。



豪栄道(ごうえいどう)を一気に突き出した稀勢の里(きせのさと)。一方の大関琴奨菊(ことしょうぎく)は豪風(たけかぜ)に肩すかしを食いましたが、二日目には若荒雄(わかこうゆう)を寄り切り、今日は隠岐の海(おきのうみ)を破り2勝1敗。今後の相撲に期待を持たせます。
稀勢の里は、雅山(みやびやま)にもあっさり勝ち星を挙げ3連勝。益々夢を膨らませてくれます。



横綱白鵬の対戦相手は、稽古総見での申し合いで2敗した若荒雄です。
金星を期待した館内の声援には熱がこもりましたが、俵に足をかけ白鵬の押し出しを必死に堪える反力を利用した引き落としに破れます。横綱の相撲巧者には刃が立たない様子でした。豪風を押し出した二日目の相撲にメデイアは、泰然2連勝の見出しで、その強さを強調しています。今日、安美錦(あみにしき)を破った明日の見出しは・・・。



新小結の若荒雄は初日から3連敗し勝ち星がありません。地元千葉県出身の三役力士だけに立ち直って欲しい。


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稀勢の里旋風に見舞われた稽古総見

2011-12-30 22:32:39 | 時の話題
12月23日の天皇誕生日、来月8日に初日を迎える初場所前の横砂審議会による稽古総見が、国技館で一般に無料公開されました。

何かと世間を騒がせた大相撲でしたが、7時30分に開場する国技館前には、7時前から参観者が長蛇の列を作っていました。新聞報道によれば、来場者数は2,831人で、今年3度開催した中で最多とのこと。

稽古総見の主役横綱審議委員は、土俵正面に陣取っています。



勝った力士が相手を指名して行う申し合い。勝者が納得するまで同じ相手と稽古を繰り返します。
ぶつかりでは、上位力士の胸を借り、上位力士が終りを告げるまで胸を借り続けなければなりません。
西前頭3枚目の高安と東前頭14枚目に返り咲いた隆の山との申し合わせを正面土俵の角に立って観察している横綱・白鵬は、この場所で黙々と四股を踏み続けます。向正面土俵下には、申し合いをする力士が待機しています。稽古総見ならではの風景ですね。



大鵬、千代の富士が現役の頃の相撲フアンである元気印でも、高見盛関が懐かしかった。でも、あの頃の元気は影を潜めてしまい、残念でした。土俵に上がると「たかみさかりィ~」と声援が飛び、贔屓の心意気を実感する一幕もありました。1勝1敗で稽古を終えたようでした。



稽古時間の経過と共に上位陣が土俵の下に三々五々と集まってきます。
西の花道に稀勢の里が姿を現すと万雷の拍手で迎え、「きせのさとォ~」と贔屓筋の声援が国技館に響きわたり、稽古に熱気が帯び始めてきます。



把瑠都、琴奨菊、琴欧州、鶴竜との13番申し合いでは、8勝5敗。仕上がり状態の良さを見せた稀勢の里でした。

土俵西に席を設けた相撲協会の親方衆の手前に大鵬親方の姿があります。上半身を前に押し出して土俵上の三役陣の申し合いを注視しているようでした。ビデオ撮りの際は、気付かなかったのですが、写真のトリミングをしていて発見したのです。



「本場所を観たことのない元気印さんでも、稽古総見を初めて観てから、大相撲の見方が変わったようですね」

「・・・。1月8日の初場所初日が愉しみですよ。観音さま」

十両の申し合いでは、新十両13枚目の千代大瀧(ちよたいりゅう)の強さが際立っていました。
九重親方(横綱・千代の富士)に、「褒めるところがない。十両に上がって喜んでいる場合じゃない」と発破をかけられ、意識改革に取組んでいるのでしょう。師匠の期待に応える日も近いかも・・・。



新小結・若荒雄(わかこうゆう)との申し合わせで2敗した横綱・白鵬は、自分が納得する相撲が取れるまで稽古相手に指名していました。

特に、前頭3枚目の高安とのぶつかりは、4分強にも及ぶ激しい稽古でした。



胸を貸すから「かかってこい」。



21歳の若者がふらふらになりながら横綱の胸を借りる姿勢には感服しました。稽古の終りを告げられ土俵下で呼吸を整える姿には、上位へ初挑戦する課題の克服に真正面から立ち向かっている覚悟が窺えます。初場所では応援します。。



胸を借りた横綱・白鵬に水をつける高安。大相撲の世界では、礼節が遵守されています。



白鵬は、東花道から入場しましたが、正面に控える横綱審議委員席の前まで進み、挨拶を終えてから四股を踏み始めます。
三役を担う関取は、全員審議委員席に挨拶をしてから稽古に入っていました。

 「平成24年度初場所初日に本場所を観戦しますね。稽古総見では大相撲観戦のコツを掴んだようで・・・」

ボケ封じ観音さまも、本場所は観戦する気配です。
いずれにしても、稽古総見には本場所とは違った楽しみがありました。


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宇宙の神秘ドラマ・皆既月食

2011-12-13 20:12:52 | 時の話題
首を背中に90度傾けなければ見えない皆既月食。
それでも、真夜中にビデオカメラを携えて、2000年7月16日以来となる天体ショーの幕開きから最後まで付き合ってしまったのです。



何時もと変わらない満月の耀きに地球の影が写り始めます。



時間の経過と共に月の食は大きくなり、満月が三日月のようになります。



皆既月食直前の月。



食が最大となった「食甚」と思いながら揺れる首を我慢しながらの撮影。
両手に抱えたビデオカメラは、無常にも上下左右に揺れ動きます。しかも、月面のオレンジ色はカメラは捕らえていません。
結果論を云々しても、皆既月食は神秘的な耀きを放っていたのです。



やがて、皆既月食の幕引きが始まります。



地球の影は、幕降ろしの大団円に向かって驀進します。



食の幕引きに抵抗する淡いブルーに染まって陽炎のように揺れ動く地球の影は、カメラでは捕らえ切れません。



太陽系の宇宙空間で繰り広げられた3時間にも及ぶ神秘の天体ドラマは終りを告げ、何事もなかったように満月が耀き、何時もの夜空に戻ります。




皆既月食に関連する講座がJAXAで公開されていました。
地球は太陽の周りを27日で一周し、月は27日で自転している。これは1対1の相関関係であり、地球から観測している月面は常に表側。そのため、月周回衛星「かぐや」で月の裏側を観測した結果は、凸凹のあばた面であった、とのことです。

また、火星の公転時間とその衛星の自転時間にも地球と月との相関関係と同じ現象が観測され、太陽系の他の惑星とその衛星にも同様の相関現象があるようでした。初耳の話を聴くことができ、JAXA迄出掛けた甲斐がありました。

今後、日本で見られる皆既月食は、2014年10月8日、2015年4月4日が早く、2018年には1月31日と7月28日のようです。
その間に部分月食が数回ありますから、カメラの腕を磨き、食甚(しょくじん:日食・月食などの食で天体が最も多く欠ける時点)の模様を確実に捕らえたいですね。














































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快晴で迎えた勤労感謝の日

2011-11-23 12:54:02 | 時の話題
夜半の雨もあがり、勤労感謝の日は爽快な朝を迎えました。
何時ものチャッピーとの散歩道は雨で濡れていますが、秋深まった公園の樹木は、丑三つ時の雨で汚れを落としたのかさっぱりしています。



散歩道を進むと「浮釣木(アブチロン・メガボタミクム)との出逢い」(11月2日)に書いた家の前を通ります。
11月2日には蕾状態にあった菊が開花し、アブチロンを頭に載せていました。菊の頭上にどっしり腰をすえたアブチロンはこれから開花時期に入るのでしょう。先端はとじたままです。



アブチロンの家から少し先に公園があります。
その角にある家の門には、まだ7時過ぎでしたが、日章旗が掲揚されていました。
ぐったりっと旗竿にもたれかかっている元気のない国旗では見栄えがしません。
暫く待っていると、どこからともなく吹いてきた微風が日章旗を舞わせます。
色付いた銀杏と紅葉を背景にした、風に舞う日章旗を狙い、待った甲斐がありました。



拙宅の周辺で祝日に国旗を掲げる家庭はごくまれの様子です。
今日、日章旗を掲げていた家は3軒見かけましたので、拙宅を含めて4軒です。

それにしても、風が起きるような自然状況にないのに、微風を吹かせて、旗を揺るがせてもらい、感謝ですね。

 「早起きは何とかですよ。元気印さん」

今日のボケ封じ観音様は、珍しく優しい。こんなに気分爽快な秋晴れが、雨模様に急変しなければ・・・。
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トルコ10間のたび その9:続 トルコ地震と建物の構造

2011-10-27 21:41:48 | 時の話題
トルコ地震 余震200回超、死者432人に
10月26日付産経新聞朝刊は、負傷者は約1,300人、損傷を受けた建物は2,200棟以上、余震は200回を超した、と伝えています。

48時間・・・赤ちゃん助かった

生後2週間の女の赤ちゃんが48時間ぶりにアパートの瓦礫から助け出された時の模様をカラー写真入りのトップ記事を読み進んでも、瓦礫の中に残されている赤ちゃんの家族などの安否には触れられていません。救命救急隊の使命は、生存者の救出が最優先です。救急隊員が感知するだけの生体反応はなかったのでしょう。

写真は、イスタンブールで2泊したシエラトンホテル前から見える建築中のビルです。



平成9年12月8日、「ボスフォラス海峡クルーズとリュステムパシャモスク観光」へ向かう前に撮ったものです。前回書いた建物とは異なり、高層建築では建築資材を吊り上げるクレーンが建物の上に3基設置されています。

工事現場の周りに設けられた囲いに看板があったのですが、いかんせん日本語以外は疎いので説明は省略します。



ホテルから徒歩で数分の所に幼児・子供用品を専門に扱っている店の背後にホテル前から見えた高層ビルが聳えています。



写真を撮ってから、開店直後の店内に立ち寄りましたが、正面に掲げているブルーの文字e‐bebek を頼りにネット検索。一発でトルコ語のWABサイトが表示されたのです。狭くなった世界を改めて実感しました。

ところで、27日のトルコ地震続報は、次のように結ばれていました。

「住民のほとんどを少数民族クルド人が占めるワンでは、対応に遅れが目立つ中央政府への反発が強まっており、トルコ政府は被災地へ治安部隊を展開した」(産経新聞朝刊)。

暴動など発生していないのに、治安部隊が地震で被災したワンで行動を起こした。その理由は?
クルド人問題は、トルコがECへ加盟する壁となっている。何かで読んだ記憶が・・・。

クルド人は、歴代のトルコ政府によって「山岳トルコ人」と位置づけられてきたが、その民族的・文化的存在すら無視してきたクルド人への抑圧政策を緩和し、クルド語の使用を認め、文化的価値を尊重する政策を実施しようとしている。ただし、クルド人問題は、トルコのみならず、イラン、イラク、シリアなどの諸国に分散しているクルド人の民族的自立を求める運動とも連動しているために、きわめて微妙な問題である(永井道雄監修 『新・中東ハンドブック』トルコの直面する諸問題:講談社刊)。

1昨年前のトルコツアーでは、クルド人に関する話題は皆無でしたが、「トルコ10日間のたび」を書くために集めた資料のなかに紛れ込んでいたんです。これで、ワンへ治安部隊を派遣した事情が少しだけ分かりました。

さて、約2400人で編成した救助隊、6個大隊の軍が被災地において、徹夜で救助活動をしている。
その反面、クルド人問題の他に刑務所から受刑者約150人が脱走している。
そんな背景が、ワンへの治安部隊派遣を強いたのでしょう。

建物の崩壊については、1999年のトルコ地震を調査した京都大学防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は、建築基準が守られていない印象を受けたと指摘している。前回書いた建築構造(1番下の写真)が建物崩壊に影響しているのでしょうか。

 「元気印さん。それは、身の程知らずというものです。餅は餅屋で、キチンと建てています」

ボケ封じ観音さまに痛棒(つうぼう)を食らわせられました。

朗報です。
倒壊した建物の下敷きになった人々の生存率が急激に下がるとされる災害発生から72時間経過した10月26日、大学生(26歳)が61時間ぶりに倒壊したアパートの瓦礫から救出されている。これからも、一人でも多くの人が救出されんことを期待します。
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トルコ10日間のたび その8:トルコ地震と建物の構造

2011-10-25 22:36:43 | 時の話題
イスタンブールを発ったバスは、ヨーロッパ側のゲリボル半島に位置するゲリボル市へ向かいます。そこから、ダーダネルス海峡をフリーでアジア側のチャナッカレに渡りトロイへ至る順路になります。

写真の家は、2年前の12月2日朝8時、イスタンブール市内のホテルを発ってからのことですから、記憶は定かでないのですが、デジタル写真の記録から逆算して推測すると、イスタンブールを出て2時間位のところのようです。
煉瓦を積み上げて建てている家のような見えたので、旅の思い出に撮ったものです。



バスは、12月5日7時30分にコンヤからカッパドキアを目指して220kmの旅に出ます。
途中、キャラバンサライ(隊商宿)に立ち寄り20分の休憩後には、再びバスの長旅が待ち受けています。
スルタンハーヌの隊商宿を過ぎてバスの左手に建築途上のビルが見え始めます。
鉄筋を入れた支柱が建物の周りにあるのですが、強度的に大丈夫かな、と思いながらシャッターを切った覚えがあります。



建物の骨組みがほぼ完成した建物は、キャラバンサライに着く60分ほど前の住宅地にあったものです。



8階建てのビルになると日本では支柱と支柱の間に筋交(すじかい)を入れて強度を持たせる工法が一般的です。トルコでは、耐力壁や床で建物の強度を持たせているか否かに関しては、建築基準を調べていないので解りませんが、防振や耐震への備えは決められている筈です。

10月23日午後1時40分(現地時間)ごろ、トルコ東部でマグニチュード(M)7.2の地震が発生し、ワン周辺で建物10棟、エルジシュンで25~30棟がそれぞれ倒壊し、多数の死傷者が出た。緊急に支援が求められている。
このメデイア報道が契機になり、「10日間トルコのたび」で撮った建物を思い出し、デジタル写真を引っ張り出す羽目に。そんな、次第です。

昨年3月に東部エラーズ県でM 7.4 の地震があり41人が死亡。1999年8月には、北西部のM7.4の地震では、1万5千人以上が死亡している、とも報道されています。

今回の地震と写真のような構造の建物との相関関係は、素人判断できません。
日本は今、3月11日の東日本大震災に悠然と立ち向かい、一人ひとりが力を出し合い協力することで、日々前進しています。日本とは縁の深いトルコが、一日も早く立ち直ることを祈念します。
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千鳥足でツブヤクく『映画ばなし』 その1:「はやぶさ」の感動を再び・・・

2011-10-02 00:34:29 | 時の話題
宇宙航空研究開発機構・相模原キャンパスで「はやぶさ:HAYABUSA」のロケを見学した4月30日(土)。
それ以来、映画の封切を一日千秋(いちじつ・せんしゅう)の思いで待っていたのです。

10月1日(土)、その日です。封切の初回を観てきました。

さて、JAXAで撮影を見学させて貰ったのは、宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構 JAXA)の対外協力室(以下、協力室)の2シーンです。

萩原研究室研究生の水沢 恵(竹内 結子:たけうち・ゆうこ)が協力室に採用されてから、研究所内に展示してある「はやぶさ」などの模型を見学して質問する人に対応する相談員をしているとき、「イオン・エンジンの原理」を問われた小学生に説明するのですが、専門用語を並べ立てる解説に「ちんぷん・かんぷん」のまま小学生は帰ってしまう。それで、だれにでも解る説明をしようと決心した彼女は、その向学心を満たす情報の所在を協力室長・的場 泰弘(西田 敏行)に、教示を願うシーン。

もうひとつは、「はやぶさ」を「イトカワ」に着陸させる際、燈台機能を担う「ターゲット・マーカー」に、世界149カ国から『星の王子さまに会いに行きませんか』ミリオンキャンペーンへの応募が約88万人あり、その名前を刻んだ横8mm、縦12mmの50枚のフイルムを、多層断熱材にエッチングして、マーカーのアルミ球と反射布の間に挟みこんだことを説明する場面。
このシーンでスティーブン・スピルバーグや長島茂雄が応募したことが分かります。ターゲト・マーカーへ登録を承認した人の中には、星野仙一監督、衣笠祥雄もいたようです(JAXAWebサイトより)。

さて、撮影準備に追われるスタッフの邪魔にならないように、本番前の慌しい雰囲気を肌で感じられる現場でした。
小学生に向学心を点火された恵が、ガソリンとなる資料の在りかを的場室長へ伺うシーンを見学した時は、カメラのファインダーを覗けませんから、西田敏行と竹内結子との演技を観るだけでした。

ところで、堤(つつみ)幸彦監督の映画創りは、カットを積み重ねるスタイルのようです。
室長と恵との絡みをロケ現場で見学しているので、それは映画を観た時に解りましたが、堤組映画の特徴を「はやぶさ」のプログラムから引用して紹介します。

「段取り打合せで細部にまで指示を出すと、監督はモニターのある別室に移動。本番はモニターからチエックし、俳優やスタッフへその後の指示は放送で出す。もちろん『アクション』『カット』の声もスピーカー越し。そして、監督のモニターの隣では早くも編集が行われている」

JAXAに係わりのある知人の尽力もあり、別室への入室が了承されましたので、プログラムに紹介されている堤組の現場を見学させて貰う機会を得たのです。

「映画好きの元気印さんには、またとない体験でしたね。Webに公開する動画を撮影・編集している今の仕事に、大いに役立っているのですから、堤監督の厚意に感謝しなくては・・・」

 「百聞は一見に如かず、です。観音さま。堤監督とスタッフの皆さん、有難うございました」

さらに、堤組のカメラは常に2台まわっており、1時間で9カットを撮ることなどが、プログラムに記載されています。

恵を演じた竹内 結子は、「チーム・バチスターの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」に出演していたのですが、「はやぶさ」のプログラムを読んで気が付く間抜けさ。メガネを掛けた彼女の澄んだクリクリ眼(まなこ)には、観客の心を奪う憑神(つきがみ)が潜んでいるようです。ちなみに、元気印の目はどんぐり目。自称「つぶらな瞳」ですが・・・。

「恵役の彼女は気になる存在になりましたか、元気印さん」

それにも増して、宇宙科学研究所の臨時社員でありながらカメラチームリーダー坂上 健一を熱演した高嶋 政宏がよかった。
もう一人います。熱狂的な「はやぶさフアン」を演じた生瀬 勝久(なませ・かつひさ)も見逃せません。
ユーモアタップリに彼の数カットに込めた堤監督の熱いメッセージが、それも彼が変身する様子はカットだけで提示されています。はやぶさが帰還する物語に奥行きを感じさせる、心憎い作戦ですよ。

なにはともあれ、日本の宇宙開発の歴史、はやぶさの全て、地球からイトカワまで片道3億kmの旅に出発して地球へ帰還するまでの7年に亘る「はやぶさ」プロジェクトチームの悪戦苦闘、「はやぶさ」の顛末を見守る一般人などが描かれている「はやぶさ:HAYABUSA」でした。

無事、地球に帰還するのは、「イトカワ」から採取したサンプルを収納した「帰還カプセル」(写真中央にある銀色の部分)だけです。大気圏に再突入する「はやぶさ君」に最後のミッションを行わせたプロジェクトマネージャー・川渕 幸一(佐野 史郎)の心意気が一緒に味わえる映画です。

満身創痍のはやぶさは、相次ぐ7種類のトラブルに襲われるのです。
その都度、「はやぶさ」プロジェクトを担う専門分野のメンバーからは技術に裏づけられた解決策、逆転の発想からも提案がなされ、プロジェクトマネージャーはそれらに対して結論を下さねばなりません。勇気ある決断は速やかに担当チームが実施してその結果を確認します。崩壊寸前意まで追い込まれたプロジエクトの継続をもたらし、危機一髪の事態を乗り越えた「はやぶさ」は、7年間で60億kmにも及ぶ宇宙大航海を成し遂げたのです。
2年4か月の命を与えられた「はやぶさ」は5年も永らえ、昨年6月13日にその生涯を閉じたことは世界中の人々が知っています。

そこには、想定外のトラブルは存在しないのでした。
小惑星からサンプリングして帰還させることを任務とした「はやぶさ」プロジエクトチームが共有する認識は、想定されるトラブルへの対策を事前に講じること、予期しないトラブルに見舞われても、最後まで諦めないで粘ることでした。失敗することは、そのプロジエクトの研究開発に必要な予算が皆無になる背景があります。しかしです、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還できたのは、前人未到の任務だからこそ付きまとうトラブルが解決するまでは絶対に諦めず、最後まで粘り抜いた技術者たちの戦いの成果でした。

 「元気印さん、原子力村の住民が捏造した安全神話は、もう、誰も信じていませんよ」

ボケ封じ観音さまの呟きに、なぜか説得力がありますね。

小惑星のサンプルを地球に持ち帰る「サンプルリターン」の技術実証を目的とした「はやぶさ」のミッションは、世界初の兆戦
でもあったから、「はやぶさ、そうまでして君は」(宝島社刊 川口淳一郎著)から抜粋します。

1.イオンエンジンという新しい推進機関による惑星間航行
2.遠く離れた宇宙空間での自律誘導航法
3.微小重力の小惑星でサンプル採取
4.イオンエンジンを使用した地球スイングバイ
5.カプセルによる大気圏再投入

小惑星探査機「はやぶさ」の顛末は、多くの人がご存知でしょう。
そう言ってみても、「はやぶさ」が与えてくれた感動と勇気、そして、希薄になっている日本人の誇りと情熱を呼び覚ましてくれたことです。
この映画を観て、それを再び呼び起こす楽しみに浸っても良いのでは、との気持ちが筆を走らせてしまい、本稿を書いた次第です。
余計なお世話で恐縮ですが、ことの顛末を知っている「はやぶさ・おたく」であっても新しい発見があるはず。
他方、予備知識がなくても、既述した5項目のミッションを遂行する任務を課せられたが故に、工学実験探査機とも呼ばれる「はやぶさ」に付与された技術を生み出した日本人が持っている底力の根源が分かり、自信と勇気が湧いてくる映画です。

このコーナーには、観賞した映画がもたらす余韻で千鳥足になって、勝手気ままに思い浮かぶ映画話を書いていきますので、気軽に立ち寄ってくださると有難いです。


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新鮮な岡田准一に惹かれてSP野望編を観る

2010-11-26 10:34:25 | 時の話題
その映画を観るかどうかは、監督、脚本がだれであるかで判断している元気印。それから、主人公はだれが演じているのかを観て、映画館へ足を運んでいます。あの淀長(淀川長治)さんの影響もあります。
日本映画ベスト○○、キネマ旬報ベスト○○などで評価された作品を持っている脚本家、監督が係わっている映画は、元気印にとって期待通り楽しみ味わい深いものが多いので、今もその習慣は変わっていません。
出演者の人気や世評に誘われ観賞しても失望する映画が多いようなので、だれの脚本をどの監督がメガホンをとったかを確かめてから劇場へ出向きます。

ところが、勤務が非番日の時に「笑っていいとも」に出ていた岡田准一とタモリとの対談を聴いていて、彼は芸能界の垢に染まっていない役者、そんな新鮮さを感じたのです。

お馴染みのポスター張りでは、公開予定の映画ポスター(写真はガイドブックの表紙)が印象に残っていたのでしようか、ついつい「SP野望編」を観てしまいました。どんなスタッフの映画かなどなど、一切お構い無しにです。

SP野望編は、3年前の毎週土曜日23時10分からフジテレビ系で放映されたテレビドラマの映画化でした。こんな予備知識もないまま映画を観たのですが、映画の冒頭から劇場内に向かって強烈なエネルギーを爆発させる映像、アクションの迫力に圧倒されてしまいました。

また、アカデミー賞視聴覚効果賞を獲得した「エイリアン2」、「ターミネータ2」で駆使した「プレ・ビジュアリゼーション」は、SPが警備する会場の雰囲気を盛り上げ、岡田准一のアクションへと流れるストーリー展開に融合した映像に堪能しました。ここでは、波多野貴文の演出者としての手腕が存分に振るわれており、穂垣順之助の編集センスが心憎いまでに活かされています。

プログラム・インタビューで岡田准一は、次のように語っています。

「アクションって、実は相手と密にコミュニケーションを取ってないとできないんです。相手の顔に向けて棒を振り下ろしたりするわけですから。お互い信頼し合って、この人は絶対避けてくれるって信じなければ、思い切りできない。だから本番前にはハグして「せーの!」って言ってお互い呼吸を合わせたりしていましたね」

岡田准一は「笑っていいとも」で、フイリピン武術「カリ」の稽古をしている話をしていました。

オリシという60cmほどの短いラタン(強靭な茎を持つ籐)製の棒を使う技、ダガという両刃の短剣での武闘技を特徴としているフイリピン武術「エスクリマ」のひとつのようです。

ご存知のように、フイリピンにはタガログ族、イパナグ族、ビサヤ族など6部族がおり、それらの部族は固有の武術を持っているようです。
例えば、イパナグ族は「パグカリカリ」と呼ぶ「武装した者同士の決闘」を意味する武術が、ビサヤ族には、「紛争を解決するための決闘」を意味する「カリラドゥマン」を武術としているようです。つまり、争いの決着をつける決闘で使われている武術のようです。
岡田准一がタモリに話していた「カリ」とは、「パグカリカリ」や「カリラドゥマン」から派生した武術のことでした。

エスクリマの特徴は、次のような解説がなされています。

 ★素手を使った技術
 ★ナイフを使った技術
 ★短棒を使った技術
 ★2本の短棒を使った技術

SP野某編のアクションは、それらの技を格闘技に取り入れて、臨場感・緊迫感を高めています。
ナイフと短棒を用いたアクションには、ために演じている気配は全く感じられず、臨場感に満ち溢れていました。主演の岡田准一が「カリ」や「ジークンドー」のインストラクター免許を持っていることがアクション効果を倍加しています。

ちなみに、「燃えよドラゴン」でブルース・リーがエスクリマを演じているようです。
この映画の格闘シーンで印象に残っているのは、ヌンチャクを武器にしたアクションで、リーの代名詞になっていますが、エスクリマではなかった。短い棒を使った技術を指しているようです。
ヌンチャクは、琉球の古武術で使用される武器であることだけを記しておきます。

アクションが話題の主題になりました。
映画の面白さは、それを観た人が決めることなので、十人十色の感想・評価になるでしょう。
SP野某編では、話の途中あたりである映画を連想したので、そのことを書きます。

マーティン・スコセッシが監督・製作した「デーパテッド」は、「インファナル・アフェア」をリメイクしたハリウッド映画で、2006年のアカデミー作品賞を受賞しています。
オリジナル3部作に書かれている美味しい話を1本の脚本に纏め上げて、第79回アカデミー賞・作品賞を獲得する作品に仕上げたスコセッシ監督。外国映画をリメイクした作品がアカデミー賞を受賞したのは、史上初の快挙ですから、さすが映画人です。

香港ルノワール作品「インファナル・アフェア」は、ストーリーの結末が1作で描かれ、その結果をもたらす原因は続編となる2作で描いた脚本の素晴しさに、スコセッシは惚れ込んだのでしょう。
その一方では、アンドリュー・ラウ監督が「無間道」の原題に込めた意図は、映画のタイトルバックで歌われる主題歌の歌詞で訴えているので、何方もご存知でしょう。

 仏陀いわく
 無間地獄に死はない
 長寿は無間地獄の
 最大の苦しみなり

 どうすれば
 地獄から抜け出せる
 苦しみを忘れ去りたいのに
 極楽への道はあまりにも遠い

 涅槃経 第19巻
 八大地獄の最たるものは
 無間地獄という
 絶え間なく責め苦にあう
 ゆえに そう呼ばれている

 笑って大空を眺め
 いつか運命をくつがえそう
 お前は お前
 俺は俺の道を行く
 ほほ笑みの陰で
 心に葛藤が渦巻き
 道が道を滅ぼし
 人は操られていく

これは、「インファナル・アフェア」のタイトルバックに流れてくる主題歌の歌詞から、ほんの一部を書き出したものです。

死のない無間地獄の中で悪戦苦闘するヤン(マフィアに潜入した捜査官)とラウ(警察に潜入したマフィア)は、笑って大空を眺め、いつか運命をくつがえそう。お前は、お前。俺は俺の道をと意地を張って突き進むふたりの先に待ち構えていのは・・・・・。
人は、心に渦巻く葛藤に操られて生きて行かざるを得ない、道が道を滅ぼすしかないのでしょうか?

この主題歌を聴き歌詞を読んでいると、ヤンとラウ、彼らを取り巻く人達が背負っている運命とか宿命のようなものを象徴していることを痛感するし、この映画でラウ監督が訴えている、人の心に潜んでいる闇の世界の奥深さと格闘せねば生きられない人の業のようなものの恐ろしさに震え上がります。

余談です。
歌詞で特定した涅槃経(ねはんきょう)は、あまりにも有名な名前に反比例して、その中身が知られていない希有な経典のようです。お釈迦さまの教えを知る基本仏典が涅槃経なのに(田上太秀著:涅槃経を読む)。

SPは野望編と革命編の2部作から成り、後者の撮影も前者と併せて行われていたようです。
前者で描いていない秘密も後者では明かされるようですから、野望編の途中で「インファナル・アフェア」を連想したのかもしれません。

どちらにしても、SP野望編はキャステイングが見事です。
個性溢れる俳優を揃えているのも、見所のひとつ。スタントマンに任せないでアクションを演じる岡田准一はもとより、堤真一、野間口徹が印象に残ります。時の話題になっている俳優・香川照之は与党の幹事長を演じるなど、ご贔屓の役者がどのように役柄を表現しているか・・・。
それを酒の肴にして映画オタクと楽しめる映画でしょう。
SPが所属している警視庁警備部警護課第四係は、緊張する職場に設定にしてあるので、息抜きに配置した平田敦子がいい味をだしています。

他方、高視聴率をたたき出したテレビドラマの映画化ですから、「インファナル・アフェア」に感じた映画人の心意気をSP野望編に期待する元気印はお門違いだし、SPが命がけで警備する相手が内閣官房長官です。その積りで観るなら革命編に期待が湧いてきます。

ところで、どこかの国の官房長官は、自国の国益を守るための危機管理意識を持っていないなどと毎日、国会の予算委員会で野党の代議士から袋叩きにされても「柳腰答弁」を繰り返しています。
そうなんですよ。
国益を損なっても、柳腰外交と称してその認識が全く感じられない官房長官が世間の話題になっている時にSP野望編が公開されています。生命がけで任務を遂行するSPの責任感に共感はしても、そんなやつほっぽっておけ、と言いたくなるのは、凡人の人情でしょう。

「SP野望編は、元気印が言うような薄っぺらな人情話ではありません。スタッフやキャストに対して失礼千万な感想ですよ」

元気印の「やぶにらみ」感想に、ボケ封じ観音さまの喝が入ります。
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