言語聴覚士の独り言

言語聴覚士の日記

「話が通じない」の正体

2023-01-09 23:00:00 | 
非常に読み易くわかり易く書いてありました。

学んだことを羅列します。

詳しく知りたい方は是非本を手に取り読んでください。


この本はコミュニケーションエラーの原因を脳科学で説明してくれています。 

愛や生活、意地悪や教育が原因ではなく、脳の発達の違いによりコミュニケーションエラーが起きている。

ヒトの脳にはミラーニューロンという細胞がある。

世の中の事象を脳に映す鏡である。

ミラーニューロンは「自分に必要なものだけ」を目の前の事象から要領よく切り出すために、ほどよく働いてほどよく世の中を映す必要がある。

自閉症はミラーニューロンが過剰に活性化してしまい世の中の事象すべてが脳に映ってしまい、重度の場合は周囲の「ことば」も「所作」も切り出せず(認識フレームが作れない)、コミュニケーションが取れず知的発達障害が生じてしまうこともある。

ADHDはノルアドレナリン欠乏で起こる、極端な注意力散漫な状態。

注意力が散漫なために、周囲の情報が微細に脳に飛び込んできて、その関連性を見抜く能力が低い。このため一つ一つの認識フレームが単純なブツ切れになる。

第三の共感障害は、認識フレームをつくり出す能力は正常なのに、なぜかミラーニューロンが不活性のため「他者への共感力」「気働き」だけが低いタイプである。

ミラーニューロンが不活性になる原因はアナログなコミュニケーション体験の不足である。

赤ちゃんから幼児期にミラーニューロンを使う機会が減れば、長じてからの共鳴反応は弱くなる。

成長期の子どもたちの群れ遊びでは「身体能力の違う子」同士が、互いの動きを感知し合って、かばい合ったりしながら遊ぶ。この体験が少なければ「他人の所作や思惑を察知して、気働きして動く」機能も退化してしまう。

ミラーニューロンが不活性しすぎて、共鳴反応が弱い人の特徴は、うなずかない、心が通じない、気が利かない。

ミラーニューロン不活性タイプの人に「話聞いてる?、なぜ、やらない?、やる気あるの?」は言っても意味がない。
「あなたは人に比べてうなずき方が少ないから、話を聞いてないように見えちゃうの。もう少し反応してみない?周囲の好感度が上がるよ」と導いてやるしかない。

気が利かないのは事実だが心根を叱っても不毛である。
「何をすべきか」を淡々と重ねていけば、必ずできるビジネスパーソンになる。

コロナ禍となりマスクで顔を覆い、子どもたちは群れて遊ぶことができない。
共感力の世代間格差はますます深刻になるばかりなのかもしれない。