2010.10.18 所得税/上場株式を譲渡した場合の取得費の特例
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者(以下「居住者等」という)が、平成13年9月30日以前から引続き所有していた上場株式等を平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡したときは、その譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、その上場株式等の平成13年10月1日における株価の80%相当額とすることができるという特例措置がありました(旧措法37の11の2①)。
しかし平成22年度税制改正で、この特例は平成22年12月31日で廃止されることになりました。
そこで今回は、上場株式の取得費の取扱いについてQ&Aの形式で解説したいと思います。
Q1.平成22年12月31日以前に上場株式を譲渡した場合の取得費は?
A.平成13年9月30日以前から引続き所有していた上場株式等を平成22年12月31日までに譲渡した場合は、上場株式等の実際の取得価額と平成13年10月1日の終値の80%相当額を比較して、いずれか有利な方を取得費として選択することができます。
Q2.平成23年1月1日以後に上場株式を譲渡した場合の取得費は?
A.平成23年1月1日以後に上場株式等を譲渡する場合には、平成13年10月1日の終値の80%相当額を利用することはできなくなります。したがって、
①特定口座で保有する上場株式等の場合は、実際の取得価額が取得費となります。
②実際の取得価額が不明な上場株式等の場合は、同一銘柄の株式等ごとに譲渡価額の5%相当額を取得費とすることが認められています(措通37の10-14)。しかしこの概算取得費を選択すると、実際の取得価額に比べて取得費が少なくなり税負担が増えるケースがでてくると思われます。そこで、実際の取得価額を立証するための資料として、取引している証券会社の取引報告書や顧客勘定元帳の記載、あるいは預金通帳の記載内容等を手がかりにして取得価額を把握する必要があります。
Q3.今からでもタンス株を特定口座に保管委託できるか?
A.居住者等が有する上場株式等で金融商品取引業者等に開設されている口座に保管の委託がなされていないもの(いわゆるタンス株)を、平成17年4月1日から平成21年5月31日までの間に実際の取得日及び取得価額で特定口座に受け入れることができるという特例措置がありましたが、この特例は平成21年5月31日ですでに廃止されています。
したがって、現在持っているタンス株を特定口座に保管委託することはできません。
(完)