大槻雅章税理士事務所

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№192 令和7年度税制改正大綱

2025-02-02 | ブログ
2025.02.02

令和6年12月27日に「令和7年度税制改正大綱」が閣議決定し、今後の国会審議等を経て制定されます。今回は主な改正項目を列挙します。

1.所得税

令和7年分以後の所得税及び令和8年度分以後の個人住民税に関し以下のように改正されます。

① 合計所得金額が 2,350 万円以下である所得税の基礎控除…48万円を10 万円引き上げ、58 万円とする。
② 給与所得控除の最低保障額…55万円を10 万円引き上げ、65 万円とする。
③ 特定親族特別控除(仮称)の創設…19歳以上23歳未満の一定の親族(注1)を有する居住者は、その居住者の総所得金額等から一定の控除額(注2)を所得控除する。

(注1)
・生計を一にしている者である。
・配偶者、青色事業専従者等でない者である。
・合計所得金額が 123 万円以下である者である。
(注2)
対象となる親族の収入に応じて控除額が定められており、親族の合計所得金額が58万円超123万円以下であれば段階的に控除(63万円~3万円)を受けることができる。

今回の改正により、19歳以上22歳未満の子供の給与収入額が103万円を超えても、子供の合計所得金額が85万円(給与収入額ベースで150万円)までは親は特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられます。また、85万円(給与収入額ベースで150万円)を超えた場合でも親が受けられる控除の額が段階的に3万円まで控除できる仕組みが導入されました。

2.法人税

中小企業者等に対する軽減税率が「令和9年3月31日までに開始する事業年度」に2年間延長されました(赤字部分が改正)

中小法人(資本金1億円以下等の法人)
年800万円以下の部分…15%(ただし所得金額が年10億円を超える場合は17%)
年800万円超の部分…23.2%
ただし、 グループ通算制度の適用を受けている法人は適用除外。

3.消費税

外国人旅行者向け免税制度(輸出物品販売場制度)が見直されました。
① 出国時に税関において持出しが確認された場合に免税販売が成立する制度とし、その確認後に免税店から外国人旅行者に消費税相当額を返金するリファンド方式となります。
この見直しにより、消費税相当額を含めた価額で販売し、出国時に持ち出しが確認された場合に、免税品購入者に対し、消費税相当額が返金されることになります。
② 不正目的で購入される可能性の高い金地金等の物品については、免税販売の対象外として個別に設定されます。また、消耗品について、同一店舗一日当たりの購入上限額及び特殊包装が廃止されます。
③ 100万円(税抜き)以上の免税品については、国税庁への購入記録情報の送信事項にその免税品を特定するための情報(シリアルナンバー等)が加えられます。
④ 免税対象物品を免税店以外から海外に配送する「別送」を認める取扱いが廃止されます。ただし、免税店から直接海外に配送する「直送制度」の仕組みは引き続き存置されます。
⑤ 令和8年11月1日以後の免税対象物品の譲渡等について適用され、「別送」を認める取り扱いは令和7年3月31日をもって廃止されます。

これらの見直しは、免税購入品が国外に持ち出されず、日本国内で大量に横流しされる不正利用を排除することにあります。また、免税店での業務負荷等を解決できるので、外国人旅行者の手続きの利便性を向上するためとされています。

4.防衛特別法人税(仮称)の創設

防衛力の抜本的な強化に必要な財源として令和9年度に1兆円強を確保するため、以下の防衛特別法人税(仮称)が創設されます。

① 防衛特別法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額(課税標準)に4%の税率を乗じて計算した金額です。
② 課税標準は、基準法人税額から基礎控除額500万円を控除した金額となります。
③ 令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

(完)