TAZUKO多鶴子

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『洋の美』を『和』にする『美』

2007-05-26 | TAZUKO多鶴子からの伝言
ブログ写真は亡き母の着物の帯です。
「この帯は、画家に油絵を描いてもらった特別なものなんだよ…」
と幼い頃から
私に何度も嬉しいそうに話してくれた母を
この帯を見る度に思い出します。
私の母は
若い頃、洋裁学校をしており
多くの洋服や和服を作ったり洋裁指導をしていたようです。
私も母から洋服の作り方や和服の作り方を
何度か教えてもらいました。
今となっては
それが私の財産でもあります。
先日、
夜遅い教育テレビで面白い放映がありました。
1960年に放送されたファションカラーの古い番組を
再放送していたのですが
ついつい面白くて見てしまったのです。
母が活躍していた時代のファション界だったので
興味がわいて見てしまったとうい訳です。
この番組を見て思ったのですが…
この当時は
経済だけに流されず
ファションや流行カラーを
芸術や画家と上手く結びつけようとする努力や
良い文化を作ろうとしている様子がうかがえます。
もしかすると
『和服の帯に洋画を描く』
という母の発想は
この時代背景にあるのかもしれません。
『洋画を和服に和合させる美』
日本の歴史は
古くから
他国の文化の影響を受けながら
上手く洗練させ
日本に合う優れた文化を作って来ました。
でも
近年は何故だかそれを忘れているようです。
この時代に育つ子供達。
子供の教育が近年問題になっているようですが
優れた文化性は
そういった洗練された美しい文化の中で
物を観る眼を自然に養い育む事が出来ると思うのです。
ですから
今の時代では難しいと考えられます。
私が画家として歩んでいる今
知らず知らず…いつの間にか
この道に進んで行った大きな理由は
きっと
祖父や父の古美術や洋画に囲まれ
母からの洋裁和裁と色の中で育ったお陰ではないかと思います。
小さい頃から
絵を描く事が大好きでも
絵を一杯描いても
知識を一杯詰め込んでも
芸術性の眼の優れた大人になるには難しいと痛感します。
自然・国・町・家・部屋等
深い文化性のある環境の生活の中で
はじめて培われるものだと思うのです。
そういった事が
今の教育の中で
忘れてしまっている
大切な一つだと私は思うのです。
それは
数字では決して計れない
とても重大なことではないでしょうか。