一人の女性が手織体験の最中でした。
小柄な可愛らしい、知的な雰囲気を持つ落ち着いた
女性でした。
彼女は、タイやラオスなど東南アジアの文献を本訳する
仕事をしています。
民族衣装や織物文化を紹介する文書の中で織物に関する
機械や織機のことや、織物技術に関する事が出てきますが、
自分が実際に手織を体験する必要に駆られて、
今日はTCCに来ています。
手織体験をしながら、東南アジアの話から日本の織物文化の
話になりました。
織物は、エジプト文明の遺跡から織物が発見されています。
ミイラを包んだ麻の織物を見ても現在の機械で織られた物に
ひけをとらない緻密な織物が織られていました。
5000年以上前にすでに現在と同等の織り技術を持って
いたのです。
そして糸を作り、織るという基本の方法は世界共通です。
日本でも弥生時代には織物はありました。
アイヌの人たちの織物の織機の基本も同じでした。
日本の弥生遺跡から出土するスピンドル(紡ぐ道具)
は現在も使われています。南米ペルーでも子供が
スピンドルを使い羊やヤクの毛を紡いでいる光景を
目にした事があるでしょう。
現在でも未開のジャングルの奥地で使われている
イザり機は日本でも弥生時代や平安時代には使われて
いました。
織物、染物で日本古来の物と言いますが、
基本は、日本古来の物ではないのです。
それは世界共通でその国の気候や土地の立地条件などで
それぞれ違った発達をしています。
その土地の人達の糸を紡ぐ、糸や布を染める、
織物を織るという行為や創る心は同じです。
日本の藍染めは、東南アジア山岳部、タイ、ミャンマー、
ラオス付近が元だという研究もあります。そこから台湾、
沖縄そして日本と渡ったのです。
だから昔しは縞木綿ではなく島々を渡ってきた嶋木綿で
あったのです。
日本で始めてコットン(棉)が渡来した三河の西尾市に
ある天竹(竺)神社の由来である崑崙人(コンロン)はインド人
とありますが、インドの崑崙人ではなく、私はベトナム
半島南部の地名にカムロン(Cam Renh)、とかクアンロン
(Quan Long)とか云う地名があることと、
崑崙人が持っていた一弦の琴はベトナム付近の楽器で
あることを考えれば、私達三河縞を研究している
[穂の会]では崑崙とはベトナム南部の地名が訛って
聞こえたのではないだろうかと考えている。
などとTCCの主人の自論と彼女のタイ、ラオスの文化や
日本人のルーツの話しに華が咲いているうちに、
織り進めたランチョンマットが見事に織り上がりました。
彼女の様な研究家と知り合い、交流出来る事が出来た
TCCの主人は幸せ一杯の表情でした。
蒲郡市の観光の中心地竹島海岸竣成苑内にある竹島クラフトセンターの主人が投稿するブログです。
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