
湯を沸かして、沸騰した中に玉ねぎの皮を
入れると、玉ねぎの匂いが立ち込める。

数十分間煮出すと玉ねぎの染液が出来上がりました。
煮出した染液に糸を入れると、徐々に白い糸が
淡く赤み掛かった黄色に変色して来ました。
「おー染まったじゃん」

と言うと
「まだこれからよ、見ててごらん」

数十分間染液で煮出した染め糸を媒染液に浸すと
「お見事!おースゲー!」


柔らかな黄色の糸が鍋から現れました。

これを数回繰り返す度に糸の色が鮮やかに
変化をして来ます。
水洗いをして乾燥した糸をまた重ね染めを
すると云う作業の繰り返しだそうです。

科学染めを信用している者は草木染めの堅牢度は
悪いと言うが、こうして何層にも重ねた糸は
1層目が禿げても(記者はこの文字はあまり使いたくないが)
2層、3層に染まっている糸の堅牢度の
データーが必要だなと感じた記者でした。
工業産地の大きな生産設備も使わず、綿作りから始まり
糸紡ぎ、草木染め、手織りと、まったくの手作業で
現代人が自らの手で織物を作り上げています。
寒さから身を守り、身を飾ると云う人類の歴史の
中で数千年に及ぶ日常的作業が、現代の科学生産
の便利さの中で忘れ去られてしまった。

しかし、こうして人間社会の中で必然的に自然志向
とともに意識して行う行為は、
何を意味しているのだろうか・・・、
