「私の家には江戸時代の三河木綿と三河縞があります」
店に手織体験に訪れた女性の一言から始まった。
今日は三河木綿の古布の入った段ボール箱を持って来て頂いた。
拡大鏡で除くと江戸期の手紡ぎの綿糸が現れ
当時の人々が糸を紡いでいる様子が本当に手に取るように観察出来た。
数十点の古布木綿の中で、特に感激したのは三河地綿を紡いで織った藍染めの布であった。
「この木綿は三河地綿を紡ぎ織り上げたものだ」
和綿の感触とは違う木綿地に私が紡いでいる糸とまるで同じ特徴を呈していた。
1513年に興福寺の記録に三川と特記されていた木綿は三河地綿であった可能性も考えられるのだ。(私の推測である)
現代は木綿の種の移動が容易となり、地方独特の木綿種の存在は少ないが、三河木綿は西尾市福地の天竹神社の神事として残されたおかげで、三河種のその特徴が種別できる