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法律考第四回 行為能力その2

2007-11-14 14:16:23 | 憲法考

(2)被補助人に関する制度

補助制度は、従来の制度では、保護の対象とならなかった従来の制度では、保護の対象とならなかった精神の障害によって事物の理非善悪を弁識する能力または弁識に従って行動する能力が著しく減少している「心神耗弱」に至らない軽度の精神上の障害者を保護する目的で設けられた制度です。

 本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、公権監督人、保佐人、保佐監督人、又は検察官の請求により、家庭裁判所は補助開始の審判をすることが出来るとされています。この場合は成年被後見人や被保佐人になるべき精神障害があるものは除かれます(民法第15項)。本人以外の請求による場合は、本人の同意が必要となります(民法第15項)。

 補助開始の審判は、後に説明する補助人の同意を要する旨の審判(民法第17項)又は補助人に代理権を付与する旨の審判(民法第876条の項)の審判とともにしなければならない(民法第15項)。

 補助開始の審判を受けた者は、被補助人となり、補助人を付けられます(民法第16条)。

 補助制度は、被補助人補助人の同意を得てする一定の幾つかの法律行為をあらかじめ家庭裁判所の審判で決めておくことで、被補助人自身や相手方の保護を目指す一面を持つ制度であると言える。この審判を請求出来る者は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、公権監督人、保佐人、保佐監督人、又は検察官に加えて、補助人若しくは補助監督人である。この審判で同意を得ることが出来る行為は民法第13項に列挙された、

一 元本を領収し又は之を利用すること
二 借財又は保証を為すこと
三 不動産其他重要なる財産に関する権利の得喪を目的とする行為を為すこと
四 訴訟行為を為すこと
五 贈与、和解又は仲裁契約を為すこと
六 相続の承認若くは放棄又は遺産の分割を為すこと
七 贈与若くは遺贈を拒絶し又は負担付の贈与若くは遺贈を受諾すること
八 新築、改築、増築又は大修繕を為すこと
九 第602条〔短期賃貸借〕に定めたる期間を超ゆる賃貸借を為すこと

等である(民法第17項)が、ただし、この同意を与えるべき審判の請求を本人以外が請求する場合には、本人の同意を得なければなら無い(民法第17項)。補助人の同意を得なければなら無いと審判された行為について、被補助人本人に不利益を及ぼす恐れが無いにも拘らず、補助人が同意を与え無い場合には家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる(民法第17項)。補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる(民法第17項)。

 精神の障害によって事物の理非善悪を弁識する能力または弁識に従って行動する能力が著しく減少している「心神耗弱」に至らない軽度の精神上の障害が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない(民法第18項)。家庭裁判所は、民法第18項に規定する者の請求により、保佐人の同意を得るべき民法第17項の審判の全部又は一部を取り消すことができる(民法第18項)。民法第18項に規定する者の請求により、保佐人の同意を得るべき民法第17項の審判の全部と補助人に代理権を付与する旨の審判(民法第876条の項)とを総て取り消す場合は、補助開始の審判(民法第15項)自体も取り消さなければならない(民法第18項)。

 

 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない(民法第19項)。保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて民法第19項を準用する(民法第19項)。

(3)制限行為能力者の相手方の保護

制限行為能力者の相手方の催告権

 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす(民法第20項)。制限能力者がまだ能力者となっていない時にその法定代理人、保佐人又は補助人に対し彼らの権限内の取り消すことができる行為を追認するかどうかの催告をしたが、 1ヶ月以上の期間内に確答をしないときも同様です(民法第20項)。 後見人が後見監督人の同意を得て追認すべき場合などには、1ヶ月以上の期間内に後見人が貢献監督人の同意を得て追認すべき故の確答を為さなかった場合には取り消したものと看做す(民法第20項)。 被保佐人や第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、民法第20項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす(民法第20項)。

制限行為能力者の詐術

 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない(民法第21条)とされているが、ここでの詐術能力者であると誤信させる行為を言うのだが、積極的に能力者であると欺く場合の他、積極的に欺いてはいないが、相手方の誤信を強めるような言動をした場合制限能力者であるが、保護者の同意をえたと信じさせる場合も含むとされる。ただ、制限行為能力者であることを単に黙秘していただけでは、民法21条の詐術に該当しない。

 民法総則編での行為無能力者制度についての項は此処で終わりますが、行為無能力者制度については、民法親族編の第四章から第六章にも亘っての条文があるので、項を改めて行為無能力者制度についての書くことになりますので宜しくお願いします。


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