住所
各々の人の生活の活動の主なよりどころとする地をその者の住所とする(民法第22条)。複数あっても良い。住所が定まらない時は現在いるところが住所となる(民法第23条1項)。日本に住所が無い者は、日本人に限らず居所を住所とする(民法第23条2項本文)。ただし、ある法律関係に適用されるべきものとして選択された法に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない(民法第23条2項但し書き)。例えば、法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする(民法第50条)。 ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす(民法第24条)。
不在者の財産の管理
不在者とは、それまでの住所や居所から去ってしまっていて、その地で自身で法律行為を為すことが出来ないものを言う。生死不明の者も失踪宣告を受けるまでは不在者として扱われます。
不在者になる前にその者がその財産の管理人を置かないときは家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によって、その財産の管理につき必要な処分を命ずることができます。本人の不在中管理人の権限が消滅した場合も同様です(民法第25条1項)。本人が後日、管理人を置いたときは家庭裁判所はその管理人、利害関係人又は検察官の請求によってその命令を取消すことが必要です (民法第25条2項)。不在者が管理人を置いた場合に、その不在者の生死が明らかでないときは、 家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求によって管理人を改任することができます(民法第26条)。
管理人の地位は「権限の定めの無い代理人」としてのもので、また、不在者の財産を管理すると言う事務の受任者としてのものである。権限の定めの無い代理人は
一 保存行為
二 代理の目的物または権利の性質を変えない範囲内でその利用又は改良を目的とする行為
のみできる権限を持ちます(民法第103条)。
受任者は委任の本旨に従って善良な管理者の注意をもって 委任事務を処理する義務を負います(民法第644条)。受任者は委任事務を処理するにあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引渡すことが必要です。 それについて取得した果実についても同様です(民法第646条1項)。受任者が委任者のために自己の名で取得した権利は委任者に移転する必要があります (民法第646条2項)。 受任者が委任者に引渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を 自己のために消費したときはその消費した日以後の利息を払わなければなりません。 なお損害あったときは賠償しなければなりません(民法第647条)。 受任者が委任事務を処理するのに必要な費用を出したときは、委任者に対してその費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができます(民法第650条1項)。 受任者が委任事務を処理するに必要な債務を負担したときは、委任者に受任者に代わりその弁済をさせることができ、 またその債務が弁済期にないときは相当の担保を立てさせることができます(民法第650条2項)。 受任者が委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは委任者に対してその賠償を請求することができます(民法第650条3項)。
管理人の職務としては、財産目録の作成と不在者の財産の保存に必要と認める処分があります。
家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する(民法第27条1項)。不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる(民法第27条2項)。家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる(民法第27条2項)。
管理人が権限の定めのない代理人の代理権の範囲(民法第103条)
に定めた権限を超える行為を必要とするときは 家庭裁判所の許可をもらって103条に定めた権限を超える行為をすることができます。 不在者の生死不明の場合に その管理人が103条の権限を超える行為をすることが必要なときも同様です(民法第28条)。
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